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中学校除籍 その4  生きている事の証明ができない

市の教育委員会では埒が明かないことがわかったため、私は県の教育委員会に電話をしました。

ここは市の教育委員会と違い、応対は丁寧でした。
「私では即答出来ないので、上司と相談してみます」との返事をいただきましたが

数時間後に来た電話は

「これにつきましては、市の教育委員会の管轄となりますので、こちらでは対応できかねます」との、空疎な回答でした。

私は
「先ほども話しましたように、市の教育委員会ではどうにもならないのです。生きている人間を〇者行方不明者の欄に入れたまま放置している現状なのに、当時の校長が退職しているため手を打ちようがない。と言われたのですよ」
と訴えても
「申し訳ございませんが、それは市の教育委員会の管轄であり、県の教育委員会で解決できる問題ではないのです」
といったやり取りの末、私は電話を切りました。

あとは、おおもとの文部科学省か。
そう考えて文科省へ電話してみました。

ここで、私は世間一般でいう

「たらい回し」

を経験します。

実に6部署をたらい回しにされました。
部署ごとに一から説明しなければならないので、疲れてきます。説明するのが苦痛になる。たらい回しは、相手に諦めさせるという効果を狙ったものだと知りました。

ところが6番目に回された部署の担当者の女性がたまたま良い人だったため
「名古屋市の教育委員会に私が直接電話して、解決方法を探るよう指示したいと思います」
と言ってくれました。
地獄に仏とはこのことかと思いました。

文部科学省からひと言指示が行けば、事態は好転するかも知れない。一縷の希望が見えた気がしました。

数時間後に名古屋市教育委員会から電話が来ました。
先ほどとは打って変わってような丁寧な口調で
「言い方に問題がありましたことを謝罪いたします。ですが、お問い合わせの件につきましては先ほども申し上げた通り、
校長の一存で除籍扱いにされた人の籍を回復させるのは校長本人にしか出来ません。
その校長はすでに退職しておりますので、
退職者に教育委員会内の資料を変更する権限はないため、現実的に無理となります」
「私はいま生きていることが証明できるので、特例を認めてもらえませんか?」
「それは出来ません」
と堂々巡りの答えしかもらえませんでした。

これは、もう弁護士しかない。
と考えた私は、市内の弁護士センターに相談に行きました。

すると
「意味がないと思いますよ」
といきなり言われました。

「説明しますね。まず行政を訴えることはものすごく長い時間がかかります。あなたはその間の弁護士費用を全額工面しなければなりません。
5年、6年と長い裁判になった場合、それ相応の金額になります。
それに勝ったとしても
あなたが得るものは中学校の卒業証書一枚だけで、賠償金が得られる訳ではないのでそれまでの弁護士費用は戻ってきません。
得られるものが少なすぎる。
引き受ける弁護士はいないと思われます」

というまたもや絶望的な返事でした。

自分が公文書の中で

『生きている扱いを受けていない』

このことは
あまりにもショックで
屈辱的でもあり、怒りがこみ上げてきますが
もう手の打ちようがない。

私は涙が溢れて止まりませんでした。

生きている人間を
生きていないことにするなんて酷すぎるじゃないか!

悲しみと怒りと絶望に襲われ
私は抑うつ状態へと沈んでいきました。




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