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【エッセイ】歯が折れました。


歯が折れました。

 1週間ほど前のことである。
 夜勤でガムを噛んでいたらゴリッという音とともに奥歯がへし折れてしまった。
 ものすごく昔に治療して、被せ物をしてあったのだが、その中で歯がスカスカになっていてへし折れたようだ。記憶が定かではないが治療の際におそらく神経を殺したのだろう、折れるほどスカスカになっていく過程で特に痛みも違和感も感じることはなかった。

 とりあえずへし折れた歯をティッシュに包んで帰宅、つまにカクカクシカジカと話してみて「奥歯だしほったらかしとくって手もあるんじゃね?」と相談してみたのだが。
「そういういい加減なところが良くない。へし折れたということは歯茎の中に歯の根っこが残っているわけで、それが歯肉の中で腐敗した場合、あなたは下顎を切断しなければならないことになるという可能性もなくもない。なにしろすぐに歯医者にいけ。GO」
 と、けしかけられる始末で、私としても今後の人生を下顎なしで過ごすのはちょっと辛いような気もするので仕方なく至近の歯医者に電話したところが妻のいうようにすぐには診てもらえない。
 すでに予約がいっぱいで現状直近で予約が入れられるのは来週の木曜日すなわち2月15日であるということで、そこに予約を入れて、それが明日というかすでに今日なのだ。

 で、こんなことをなぜ業務から帰宅した深夜にnoteで記事にしているのかと言えば、歯医者に行きたくない、歯医者ってやつにはとにかく良い思い出がないし、一旦治療が始まると長期間かかるし、大抵の場合治療には結構な痛みをともなうわけで、そりゃできれば行きたくないというのが本心なのであるが、下顎を切断されるのはもっといやであるというワガママのせめぎ合いの如き精神状態になり、まぁちょっと現状を文字にしてみれば多少気持ちも軽くなるかと思い、書いてみた次第です。

 書いてみた次第ですが残念。

 残念。
 まったく気持ちは軽くならない

 自業自得。

自由律俳句

奥歯へし折れて早春の華風に吾は凍える


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