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バレエ「Roméo et Juliette ロミオとジュリエット」〜エトワール昇格の歴史的瞬間!〜


こんにちは。
今日は、パリロックダウン解除直後の6月にパリ・オペラ座(バスチーユ)で鑑賞した、バレエ「ロミオとジュリエット」の感動を残します。

私がバスティーユのオペラ座に足を運んだ6月12日は、
今シーズンのロミオとジュリエットの初演となる日でした。

コロナの影響でオペラ座でのバレエ上映も中止されていたので、
ロックダウンが明けたら直ぐにでもバレエが見たい、
その中でもとにかくクラシックな古典作品の世界にどっぷり浸かりたい!
という思いで初演のチケットを取りました。
(フランス中の誰もが待ち侘びていたのでしょう。早い段階で席は満席に近く、
私がチケットをとる頃にはもうS席しか空いていませんでした!)

さまざまな演目がバレエの中でも悲劇と愛の物語として知られるロミオとジュリエット。
第一幕の街中での家を巻き込んだ華やかな争いのシーンから、
かの有名な第二幕、寝室のシーンまで、
どんな踊りを見せてくれるのだろうとワクワク。

しかもこの晩の注目はもう一つ。
ヒロイン、ジュリエット役、パク・セウンさん 韓国人バレリーナの存在です。
この日は、彼女自身にとっても初のジュリエット役ということで注目が集まっていました。ちなみにお相手のロミオ役は、昨年12月にエトワールに任命されたポール・マルクさんです。

このパク・セウンさんの踊りですが、本当に素晴らしかった。
小柄で華奢で守りたくなるようなラインの細い体は
悲劇のヒロイン・ジュリエットの儚く壊れそうなイメージにぴったり。
それでありながら、そんな身体からは想像のつかないようなダイナミックで大きな動きと、しなやかでのびやかな踊り。
「なんて美しいジュリエットなんだろう」とため息が出てしまうほどでした。


パクさんはソウル生まれで、韓国国立バレエ学校に10歳で入学。2007年にはローザンヌのバレエ・コンクールでグランプリ、2010年ヴァルナ国際バレエコンクール金賞、2018年ブノア賞最高女性ダンサー賞など、数々のコンクールで受賞しているという経歴の持ち主。うん、その素晴らしい踊りと表現力に納得の経歴です。

アジア人バレリーナらしい、繊細な表現力があり、
踊りも細やかなところまで正確かつ美しい、そんな印象を受けました。
とにかく、彼女のジュリエットは、私のイメージするジュリエットそのものだったと感じたことを覚えています。


そしてこの夜。
私たちバレエファン、そしてパクさん本人にとっても驚きの、
とっておきのサプライズの瞬間があったのです。

全幕終了後、いつもとはなんだか異なる雰囲気。
フィナーレを終えたバレリーナの他に、正装を身に纏ったいかにも支配人らしき人物がステージ上に現れると、

ルドルフ・ヌレエフ版『ロミオとジュリエット』でジュリエットを初めて演じた
パク・セウンさんをパリ・オペラ座バレエ団の5つの階級のうち最高位となる「エトワール」に任命すると発表。

オレリー・デュポン舞踊芸術監督により、アレクサンダー・ネーフ総監督からエトワールに任命されたのです!

この発表に全てのバレリーナ、観客は拍手喝采。
もちろん観客はスタンディングオベーション。

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パクさんは驚きを隠せない様子で、顔を抑え、周囲を見渡し、
そして次の瞬間には嬉しさのあまり涙を流していました。
さきほどまで完璧で美しすぎるバレエを見せてくれていたバレリーナが
目の前で大粒の涙を流しながら、喜び、観客へ感謝の思いを何度も伝えている様子見て、私たちも大きな喜びに包まれました。
また、バレリーナの1人の人間としての一面を垣間見れたような気持ちになり、本当に心が揺さぶられました。

まさか、これほどまでの歴史的瞬間に立ち会えるとは思っていなかったので、
私も大興奮。


実は、公演後は帰路が混むので、
人混みを避けようとグランドフィナーレが終わったら一足早く席を立とうとしていたので、「うっかり帰らなくてよかったー!」と心から思ったものです…笑


一生忘れることができないであろう 6月のロミオとジュリエット初演。
素晴らしい瞬間に立ち会わせてくれたバレエの神様、ありがとう。
そして、私たちに本物のジュリエットの姿を見せてくれたパク・セウンさん、
本当にありがとう♡

やっぱりバレエっていいなあ。




鈴木沙喜代



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