【世界遺産①】空爆で崩壊・鉄筋コンクリートによる都市再建の街「ル・アーヴル」
こんにちは。
今回はフランス世界遺産編です。
ご紹介するのは、壊滅と再建の街、「Le Havre ル・アーヴル」。
フランスの北西部、大西洋に臨むノルマンディー地方にあるル・アーヴルは、
マルセイユに次ぐフランス第二の港町。
このル・アーヴル、決して長い歴史や、有名な歴史的建造物があるわけではないのに世界遺産に登録されている、少々珍しい街です。
街を少し歩いてみると、誰しもがちょっとした違和感を抱くはず。
こちらは市役所・区役所。
白のコンクリートでてきています。
無駄なし、シンプル、そんな印象を抱きます。
フランスの街並みでよく目にするオスマン建築や、
ヨーロッパの雰囲気あふれる大聖堂などの歴史的建造物が少ない。
そして、そのかわりに幾何学的で統一感のあるコンクリートの建物が、
非常に規則正しく並んでいる。
その様子はとても美しい、と同時に少し奇妙である。
そう。ここの街の注目ポイントは「建築物・都市計画」。
ここル・アーヴルは、もともと
第二次世界大戦中のフランスの悲劇、ノルマンディー上陸作戦での砲撃、空爆によって、街全体のなんと8割以上が破壊された場所。
記録によると、およそ8万人もの人々がその住居を失い、街としての機能も完全に失われてしまったという悲しい過去を持つのです。
その、ボロボロになった街の復興に「都市計画」という形で尽力したのが、
「オーギュスト・ペレ」
1900年台、当時としてはまだ新しく、前衛的とされていた「鉄筋コンクリート」に注目し、様々な建築物を残した人物です。
現代においても、都会的でおしゃれな建物は
あえて無機質で、コンクリートを裸のまま見せる、「打ち放し」のものがありますが、まさにこの「うちっぱなし」を建築に取り入れた先駆・パイオニアは彼と言えるでしょう。
そんな彼は「コンクリートの詩人」とも呼ばれていたのだとか。
オーギュストペレは、再起不能状態にあった133ヘクタールの地域を、コンクリートをもって生まれ変わらせることに成功しました。
最新の建築素材と、消失を免れた歴史的建造物や街並みを生かしつつの再建。
蘇ったル・アーヴルは、機能的でありながら洗練された美しい街に。
こうして、「ル・アーヴル:オーギュスト・ペレにより再建された街」として、
2005年にユネスコ世界遺産へ登録されました。
そして、ル・アーヴルといえば、忘れてはいけないことが一つ。
「印象派発祥の地」であるということです。
実はこの場所、印象派画家クロード・モネが少年時代を過ごしたことでも知られています。
モネの絵には、この街やノルマンディーの海がたくさん登場するのです!
ということで、次回はそんなモネをはじめとする印象派画家を魅了した、
「絶景・絶壁の街エトルタ」をご紹介します。
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