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【セルフ・コンパッション】あるがままの自分を受け入れる#02

ストレスを受け、自己批判の思考を繰り返すだけでは、悩みは解決しない。

自分への思いやりの気持ちを向けると良い」という発想から、セルフ・コンパッションの研究が始まった。

1.セルフ・コンパッションとは?

前回の#01と重複する部分もあるが、復習として読んでいただきたい。

・自分の悪いところも良いところも受け入れ、自分への温かく優しい感情を高めること

・他人のために何かをしようとするならば、まずは自分自身が安全で健康でなければ救えない

結果:困難に対応できる力が尽き、周囲と調和した行動が取れたり、幸福感が高まる


2.従来のストレス対処法

①問題解決法
(ストレスの原因を取り除く)

②合理的思考法
(問題への考え方やとらえ方を修正する)

③カウンセリング
(誰かに相談する)


詳細は下記のようになる。


問題の原因が明解で単純な場合、情報収集ができる場合、誰かに指示を仰げる場合に、これらを元に手段を考えれる方法。
原因が複雑な場合は解決されない

自分の感情や思考を観察し、考えやとらえ方を修正する方法。
悩みが解決されないままになると、批判的な思考が頭の中を占めてしまう

カウンセリング中は、批判的な思考は生じず、解決策が思いつき、アドバイス通りにできそうだと思える
その場しのぎになり、②のように自己批判的な思考が生まれ、「また聞いてもらおう」と依存してしまう


①②③のように、そもそも問題を突き止めることが難しく、仮にできたとしても、問題自体がなくならなければ、再発する可能性がある。

また、自分でコントロールできない問題には、ほとんど対応できない。


3.仏教の考え

人生の悩みや苦悩は、何かに満足できないことから生じる。

大成功や完璧を求めることで、ちょっとした成功を喜べなかったり、周りと比較して、自分の方が劣っていると思うと、「もっと、もっと」という欲求に支配され、常に不満足感を抱える。

→自分の幸せを追い求める心は、かえって否定的な感情を生み出し続ける
→しかし、現在自分にあるものをそのまま受け入れると、満足や安心というポジティブな感情を生む。


4.マインドフルネス

仏教の考え方のように、考えを変えようと意識しても、かえってそのことが気になったり、感情をコントロールしようとしても、上手くいかなかったりする。

→考えや感情を頭の上を通過する葉っぱのようにとらえ、ただ感覚が変化しているにすぎないとことに気づく=マインドフルネス

マインドフルネスは、うつ病、不安症、摂食障害、不眠症などの精神疾患に効果があるとされる。

❌自尊心が高い=幸せにつながる

⭕️自尊心が高くなくても、セルフ・コンパッションが高い=幸福感が高く、不安や抗鬱が低い


マインドフルネス
→判断することなしに、様々な感覚を受容することに重点を置いている

セルフ・コンパッション
→自己の感情や思考を優しく受け入れ、他者との共通性を認識することに重点を置いている


マインドフルネスを高めるには、セルフ・コンパッションを高める必要があり、
セルフ・コンパッションを高めるためには、マインドフルネスの態度が必要である。

5.セルフ・コンパッションへの誤解


①自尊感情との違い
・自尊感情は、他者と比較して、自分が優位にあるという評価や、他者からの直接的な肯定的評価を受けることで高まる。

(例)
 ・上司に褒められた時、同僚より早くい昇進した時
  ▶︎喜びを感じて仕事への自信が付き、自尊感情が高まる
 ・仕事の成果がない
  ▶︎自尊感情は低下する

・自尊感情
 →他者との比較で成りたつ
・セルフ・コンパッション
 → 他者との比較を行わない
 →自分の評価が良くても悪くても、それをあるがままに優しく受け入れ、嫉妬や怒りに支配されない

⭐️成功や失敗に一喜一憂することなく、困難に直面しても、自分の中で持続可能な範囲でパフォーマンスを行うという点で自尊感情とは異なる。


②自己愛との違い

・自己愛が強い人は、現実以上に自分が有能だと自惚れ、それをアピールして称賛を求める。
・高い評価を維持するために、他者の評価には敏感で、絶え間ない努力を続けるが、評価を無視して、横暴な振る舞いをすこともある。

⭐️自己が傷つきやすい状態や、自尊感情と同様に、他者と比較して評価する点で自己愛とは異なる。


③自己憐憫や甘やかしとの違い
・自分の失敗を優しく受け入れるセルフ・コンパッション≠自分を憐れむこと、甘やかすこと
・自分だけがひどい目に遭っていてかわいそうだと思うだけでは、落ち込むだけでやる気は出てこない。
・自分のよくない所をそのままにして過ごしているのでは、失敗を繰り返す。

⭐️失敗の中でも自分が頑張ったこと、貢献できたこと、得られたことなど、良い面についても、悪いところと同様に受け入れ、そこから自分を改善し、次のステップへ向かう点で自己憐憫や甘やかしとは異なる。



〈参考: セルフ・コンパッション:最良の自分であり続ける方法 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文 〉

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