実際の医療用麻薬の使用感の話し

最近、某芸能人が麻薬使用で逮捕されましたね。
そんで巻き起こったのが
『麻薬って海外じゃ合法化されてるし、もう日本でも合法化していいんじゃね？』みたいな議論。

だって、医療用麻薬とかあるじゃん。
麻薬が絶対悪じゃなくない？海外みたいに麻薬合法化！
みたいなやつ。

この話題。実際無菌室で医療用麻薬使ってた私が耳からテレビのニュースを聞いてどう思ったか。

『いやいやいやいや、
麻薬そんな良いもんじゃないよ
まぁ、悪いってわけでも確かにないけどさ』

私は骨髄抑制期に医療用麻薬を実際に使ってました。

※免疫抑制期……免疫力が0に近く全ての感染症にかかりやすい時期。あらゆる臓器や器官で炎症が起こる。

免疫抑制期の時の私は口内が荒れて口を開けることも閉めることも出来ない状態。よだれ垂れ流しになったり、逆に口が乾いたり、なにも喋られないから医師や看護師とも筆談。もちろん固形物は痛くてなにも食べられないし、でも胃腸を動かしておかないと後に食べるのに困るようになるから1日1本はアイスを溶かして飲む。お尻も真っ赤っかに腫れ上がって紙でお尻が拭けないし水で洗うのも激痛。ガーゼを使い捨てたり、生理食塩水で肌に刺激を与えないように洗ったりしてました。肌も熱に弱くて40℃のお湯も熱くて触れない。そこで、痛みを抑える為に医療用麻薬投入。

実際の使用感

6年前もそうだったけど。別に医療用麻薬使っても痛みがあることに変わりありません。ちょっとマシになるぐらいで、痛いもんは痛いです。もちろん、効くまで量増やしたり食べたり歯磨きする時だけ一時的に量を増やしたり調整はするけど、それでも10の痛みが7ぐらいになるレベル。

・痛みがマシになる
・よく眠れた
・腸の動きが鈍くなるから下痢が緩和された
この3つが個人的なメリット

・視界がボヤける
・頭がずっとポヤポヤしている
・痛みがマシになると量をどんどん増やして欲しくなる
この3つが個人的なデメリット

ドナーの骨髄が生着したのが確認されて、免疫力が戻ってきてからは炎症も治まってきて、私も麻薬のおかげで調子も良くて、そうなれば麻薬を早く終えたい。
……でもやめたら痛くなるかも。でも、いつまでも頼ってちゃいけないし…でも……何か変わるかもしれない。
と、やめ時を見つけるのは難しかったです。

そしてこれは、やめてから分かったことだけれど、医療用麻薬のお陰で緩和されていた拒絶反応が麻薬をやめた途端顕著に出て激しい水下痢になりました。一晩で一気に2〜3リットルの水分を失ってすぐ補液が開始されたけど、その時ばかりは死んだと思いました。急激に水分を失って、次の日の朝(土曜日だったけど)ストレッチャーで運ばれて大腸カメラの検査。私はヘロヘロ。すぐステロイドが開始されて、補液も全開状態でした。

麻薬、使ったことない人には分からないと思いますがべつにそんな良いもんじゃないです。痛いのがマシになったのは有り難いけど頭ポヤポヤだし何してんのか分からないし、視界ボヤけてフワフワだし。こんなんで車とか運転したらそら危ないわ。って思います。
いわゆる、ぶっ飛んでる状態だったけど気持ちいいとは思わなかったです。

もちろん、医療用とか必要な人には必要です。
私にも必要でした。使ってました。
でも合法化して、なくても生きていける人が使って安全かと言われれば【NO】だと私は思います。
だって医療用麻薬の専門の先生が新しく就いて、毎日病室にきて、毎日量を調整するような【お薬】ですよ。一般の健康な人が好き勝手使っていい【お薬】ではないなと思いました。
麻薬って【趣向品】じゃなくて【お薬】なんです。


目もボヤけてポヤポヤの頭で聞き流したニュースでも
【麻薬合法化の声】に『何言ってんの？』って思いました。
なくていいもんは、ないほうがいい。
それが実際に医療用麻薬を使用していた私の意見です。