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つむぎ

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詩人・佐藤咲生。
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#孤独

詩「うるおい」

詩「うるおい」

ちぎったパンもいらないと、
透け始めた手を払いのける。
過去の記憶に抱きかかえられて、
背の向こう側をたしかめることが
一生できない。
吐きそうだった。
横たわる体の重さをだれにも量らせない。
そのために育んだ生傷の数々。

悲しくないことが正常なことだから、
生きる正常さとは異常であることです。
感情が非常食。
感情の機能性。
そして痛みと鈍さを
ただ証明していきます。
あの手が透け始めるまえ

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詩「空と海を」

詩「空と海を」

海は沈まない。
空は浮かばない。
わたしたちの繊細な夕暮れが、
どこまでも伸びてゆく春。
やんわりとした肌合いで、
とつぜん射るように冷たく光る。
そこかしこで閉じるものの気配が、
咲くもののはじまりを開く。

手のひら一つ分の今日が
軽いのか重いのか、
量るのはどこまでも自分だ。
軽いと思ったって
まちがってはいないし、
重いと思ったって
まちがってはいない。

空と海を混ぜるように、
そこにあ

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詩「あの頃へ」

わからないまま歩いていくことの狂おしさを
傾いていく西日が捉えて離さない日
発作のように泣いたけど
きつく握ったまなざしを手放すように
いまそっと、瞳を開けよう

抱きしめられると安らぐことに気づいた日から
孤独の大きさは変容してきた
それなのにわたしはわたしをわたしだと
抱きしめなければならなかった
あの頃の自分とここにいる自分を抱きしめるための
変わらぬ孤独

今ここに見つけたい

街をおも

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