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佐藤咲生
2022年10月2日 19:39
ちぎったパンもいらないと、透け始めた手を払いのける。過去の記憶に抱きかかえられて、背の向こう側をたしかめることが一生できない。吐きそうだった。横たわる体の重さをだれにも量らせない。そのために育んだ生傷の数々。 悲しくないことが正常なことだから、生きる正常さとは異常であることです。感情が非常食。感情の機能性。そして痛みと鈍さをただ証明していきます。あの手が透け始めるまえ
2022年9月11日 16:27
海は沈まない。空は浮かばない。わたしたちの繊細な夕暮れが、どこまでも伸びてゆく春。やんわりとした肌合いで、とつぜん射るように冷たく光る。そこかしこで閉じるものの気配が、咲くもののはじまりを開く。手のひら一つ分の今日が軽いのか重いのか、量るのはどこまでも自分だ。軽いと思ったってまちがってはいないし、重いと思ったってまちがってはいない。空と海を混ぜるように、そこにあ
2022年9月11日 16:24
わからないまま歩いていくことの狂おしさを傾いていく西日が捉えて離さない日発作のように泣いたけどきつく握ったまなざしを手放すようにいまそっと、瞳を開けよう抱きしめられると安らぐことに気づいた日から孤独の大きさは変容してきたそれなのにわたしはわたしをわたしだと抱きしめなければならなかったあの頃の自分とここにいる自分を抱きしめるための変わらぬ孤独を今ここに見つけたい街をおも