詩「あの頃へ」

わからないまま歩いていくことの狂おしさを
傾いていく西日が捉えて離さない日
発作のように泣いたけど
きつく握ったまなざしを手放すように
いまそっと、瞳を開けよう

抱きしめられると安らぐことに気づいた日から
孤独の大きさは変容してきた
それなのにわたしはわたしをわたしだと
抱きしめなければならなかった
あの頃の自分とここにいる自分を抱きしめるための
変わらぬ孤独

今ここに見つけたい

街をおもうとき
おなじように君を思い出す
わたしは強くなって
強くなどないこと証明したい

発作が静まったとき
ゴミ箱の中に積み重なった
こんもりと白いティッシュの山と
それをみつめるわたしの糸がふと緩むの

わたしもあなたも
もしかしたらもう直らないのかもしれないね
それでもわたしたちはみんなとても優しくなった
この街にて責めらるるときには、
かの街に逃れよ。
過去から流れていくその影の美しさを祈る
こめかみがひしひしと痛み
目を上げると
夕暮れの窓は青い


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