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人材マネジメントとは何か -壺中人事塾での学びシリーズ-

9月から参加している壺中人事塾。始まって早いものでもう1ヶ月が経ち、3ヶ月の学びのうちの3分の1がもう過ぎてしまったことになります。早い!

3回目の今日のテーマは「人材マネジメント」です。人材マネジメントとは何か?すごく難しく悩ましく思う人の多いテーマではないかと思います。

ちなみに・・一応謝罪しておくと、この「人材マネジメント」は初回の講義で扱われた内容で、「図解 人材マネジメント入門」でも一番最初の章にあります。たまたま私のnoteを書こうと思い立ったタイミングで「人事評価」「賃金」から書いてしまったのですが、本来今日の人材マネジメントの話がすべての根幹で、最初に書くべきところでした・・・ごめんなさいw

マネジメントとは何か?

当たり前のように使うこの言葉。でも一体、なんのことなんでしょうね?

マネジメントといえばやっぱり、P.F.ドラッカーということで、ドラッカーの定義では
「組織をして成果を上げさせるための、道具、機能、機関がマネジメントである」
ということになっています(P.F.ドラッカー「明日を支配するもの」p45)。

「図解 人材マネジメント入門」の中での坪谷さんの定義はこうです。
「組織が成果を出すために『なんとかする』こと」(坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門 p9)。
この定義を見たときに、正直ちょっと拍子抜けしましたw 肩の力が抜けた、というのか。とっても平たくやさしい言葉で定義されていて、これまでなんだかマネジメントということをものすごく難しくとらえていたように感じました。確かに簡単なことではないけれども、シンプルに言えば、そう、なんとかすること、なんだよなあと。

人材マネジメントとは何か?

これについてはアメリカ発祥の「Human Resource Management(HRM)」の略語で、HRMが始まった背景には、1950年代後半から1960年代、アメリカが日米貿易摩擦などで経済力を失い「人に対するマネジメントを変えなければならない」という危機感があります。ここで、それまでの「労務管理(personnel management)」からHRMと舵を切っていった歴史があるのです。

この「労務」という言葉も人事の中ではおなじみのワードですが、「労務管理」と「人材マネジメント」の違いを整理するととっても興味深いものがありました。

出展:「【Next2021】人を生かして事をなす。人材マネジメントの理論と実践のツボ

労務管理は「労う(ねぎらう)」という漢字の通り、事を成す主体である従業員を平等・公平に扱う思想が前提になっています。そして人を代替可能な「コスト」とみなしています。
人材マネジメントでは、人をコストとしてではなく、投資する対象の「資源」とみなします。つまり人材マネジメントの中では人は平等ではなく、偏りを持たせて投資する対象です。

これを講義で聞いて思い出したのが、リクルート時代の研修制度の中にあった「Career Cafe 28」というものでした。これは28歳の女性のキャリア構築支援のための研修です。在籍当時、28歳限定、しかも、女性のみというのが、なんと偏った話なんだろう・・・と結構疑問に思っていたのですが、そもそも人材マネジメントとは「偏り」が前提なんだと聞いて、なるほどなあと思いました。投資対象を決め、偏りをもたせて投資することこそ人材マネジメントの本質だとすると、とっても理にかなった話だったんだなあと。

※ちなみにリクルートの女性のキャリア構築支援についてはこの記事に詳しいです。

さらに、人材マネジメントの歴史としてよくいろんな教科書に出てくる「ホーソン実験」についても言及せずにはいられませんね。作業室の明るさが、作業効率にどのように影響を及ぼすかを検証するための実験でしたが、この実験から「労働者の作業能率は、客観的な職場環境よりも職場における個人の人間関係や目標意識に左右される」という仮説が導かれています。

この実験を受けて出てきたのが、
・「欲求5段階説」で有名なマズロー
・名著「心理学的経営」でも出てくるハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」
・マグレガーの「X理論・Y理論」
などで、「自己実現」「やりがいのある仕事」といった論を展開しています。

経済学でベッカーによって「人的資本」への投資が経済的効果をもたらすと実証されたのもこの文脈の流れの中の出来事です。人的資本という言葉は最近本当によく聞きますよね。ベッカーが「人的資本」という論文を書いたのは1964年のこと。全然新しい話じゃないですね。

今回の講義では、今までいろんなところでバラバラに聞いてきたことがこうしてひとつの大きな流れの中にあることがつかめて、それがすっごく嬉しかったです!

「マネージャー」に関する個人的な話

最後にひとつ、自己開示させてください。
わたしは会社員時代、マネジメント経験はありません。「マネージャーになりたい」みたいなことは、心の奥にあったと思うけど、なんとなく言ってはいけないことのように感じていたというか・・・「マネージャー」という人はとっても高尚な仕事をする人で、自分なんかが担えるものじゃない、というような認識があったのかなと思います。

この「自分なんかが」というこじれは、社会人人生が始まってから長い間自分を狭い世界に閉じ込めてきたものだと思っています(これについてはあまりにも話が逸れるのでどこかまた別でw)。でも2021年あたり、社会人13年目くらいになってやっと、コーチングに出会ったり、いろいろなご縁があってこの自分自身のこじれと向き合い、「自分なんかが」という認知をやっと捨てることができました。マネジメント経験はないけど、あらゆる組織のリーダーのみなさんとともに、コーチングや経営合宿の場などを通してマネジメントとは?を共に考える今があって、ひとつの会社でひとつの組織を率いるよりもずっと高い抽象度でマネジメントというテーマを扱う世界線にとてもワクワク、ドキドキしています。

こういう私自身の経験から、マネジメントということを、難しく考えすぎる必要はないんじゃないかと、今は言えます。人事の本質は「人を生かして事を成す」こと。これは人材マネジメントの本質でもあります。

ただ、どう人を生かすか?どう事を成すか?これには正解はなく、自分らしいリーダーシップの発揮の仕方が全員にあります。この自分らしいリーダーシップとは何か?に深く向き合いながら、そのリーダーシップを起点に「人を生かして事を成す」こと。これだけ握っていれば、マネージャーの仕事はそんなに難しく考えなくてもおかしなことにはならないんじゃないかなと、今は思います。


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