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#076.君が思い出になる前に。

高校生になる長男が、

友達と浴衣を買いに行くと言う。

「昔、着たのがあるでしょ」と妻。

その浴衣、今は実家にあるので

現物は確認できず、

柄もサイズもうろ覚え。

確か、写真があったはずと、

データをあさる。


たった数年前なのにずいぶん幼い。

今や、私の身長を追い越した彼には

もうサイズが合わないだろう。

柄も、高校生が着るにはちと渋い。

本人に写真を見せたが微妙な反応。

これが似合うの似合わんの、

ああでもないこーでもないと

友達同士でワイワイするのが

楽しいお年頃だろう。

存分に青春を楽しみたまえ。


浴衣の写真を探すついでに、

ついつい昔の写真を眺めてしまう。

生まれたての娘を

だっこする5歳の長男。

その横で妻の膝にのる次男。

そこに写っていたのは

「幸せ」そのものだった。

まあ、写真なんてものは

不幸な状況ではあんまり撮らんから

当たり前ではあるのだけれど。


10年分の家族写真が詰まった

外付けハードディスク。

もし、火事や災害にみまわれて

着の身着のままで逃げる時でも、

これだけは絶対に持ち出す。

私たちが生きた証だから。


これからも家族にレンズを向け

シャッターを切り続けるだろう。

そろそろ新しいハードディスクを

買いに行かなくちゃな。

データの容量いっぱいに

幸せな「今」を満たせるよう、

日々を積み重ねていきたい。



ハッピーな瞬間、切り取ってますか。


ほな、また。

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