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#45.チョコレート・チョコレート・チョコレート

駅前にチョコレート屋ができた。

いつもの帰り、ふと濃厚なチョコレートの香りがして辺りを見回すと、どうやらこの前まで工事していた場所からするようだ。
近寄って様子を伺うと綺麗に並べられた色とりどりのチョコレートたちがいた。

専門店だそうだ。
世界を超えて銀河中の様々なチョコレートを楽しめるらしい。
ガラスのショウケースがキラキラと眩しい。
気になったので中に入ってみることにした。

一口サイズで、凝ったデザインのチョコレートがたくさんある。
話を聞くと、味にも色々種類があるそうだ。
特に気になったものをピックアップしていく。

ベリーソースでコーティングされ、ラムのリキュールが入ったハート形の、アガットラム

オレンジで香りづけされ、千鳥格子の柄が描かれた、ダムピール

丸い形でコーヒーとダークチョコレートの深みのある味わいが特徴の、ブラックブラック

ペガサス座流星群の星屑を使った、星空を閉じ込めたような目にも鮮やかな、パールペガサス

貴重な青薔薇前線で降った青薔薇を特殊な箱に入れてチョコレートとなった、オーシャンブルーローズ

もっとたくさんあったのだけど、全部買うと大変なことになりそうだったのでこの辺で自重した。
一つ一つ丁寧に箱に仕舞われて、まるで宝箱のようだ。

紙袋に入ったそれを抱き抱えるように持ち帰る。
チョコレート・チョコレート・チョコレート
幸せになれる魔法の呪文。
なんてふざけてみたり、浮かれている。

家に帰ってすぐに冷蔵庫にしまい、手洗いを済ませてコーヒーの準備をする。
いや、やっぱり紅茶にしようか。

棚から紅茶缶を取り出す。今日はアッサムにしよう。お湯を沸かしてティーポットを用意する。

沸騰するまでの時間にチョコレートの説明書を読む。色味や味わいに合わせてそれぞれコンセプトがあるらしい。
お湯が沸いたようなので早速紅茶を淹れる。

冷蔵庫から箱を取り出す。
もったいない気がして一日一個ずつ食べることにした。
今日はアガットラムにする。

深く艶やかな赤がハート形に鮮明に映えて綺麗だ。小さなサイズだけど、一口で食べ切らずに少しだけかじる。
ベリーの爽やかな酸味とラムの濃厚な香りがチョコレートとマッチしてもうとにかく美味しい。
紅茶にして正解だった。
チョコレートの味を邪魔せず引き立ててくれる。

幸せを噛みしめるように飲み込む。
こんなに小さなチョコレートで幸せになれるなんて随分と現金であるような気もするけれど気にしない。

箱を閉じてすぐに冷蔵庫にしまう。
続きは明日だ。ちょっとずつ、食べ進めていこうと思う。

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