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【漫画感想文15】大人になって考えが改った「のび太と雲の王国」

本作はのび太が雲の上に自分達の王国を作ってしまおうという思いつきから始まりました。20年以上前の漫画ですが、環境問題を子どもたちに教える先駆的な作品だったと思います。

偶然のび太たちは雲の上に天上人が住んでいるところを発見します。天上人は今でいう持続可能なテクノロジーを有していて、地上では絶滅した生物を保護していました。しかし地上人(普通の人類)が地球環境を悪化させているのをみて、これ以上地上人の好きにさせていたら地球が滅ぶと危機感を抱いていました。

そこで地上人の文明を崩壊させる、ノア計画を実行に移そうとします。ノア計画を知ったのび太とドラえもんは脱走して天上人と交渉しようとします。そのために雲戻しガスという、天上人にとっては最強の兵器を導入します。

子どもの時に読んだ時は、自然を破壊する地上人(我々)はなんて悪い奴らなんだ、滅ぼされてもしょうがないという感想を抱いていました。

しかしちょっと成長すると、問答無用でノア計画を実行する天上人の方がおかしいと思うようになりました。優れたテクノロジーがあるなら、それを地上人に提供してくれてもいいじゃないかよと。

大人になってみると、これって国際情勢そのものだと思うようになりました。自分達の正義を勝手に主張して、力でもって相手を自分達の思う通りに動かそうとする。ドラえもんが交渉材料として雲戻しガスを使わなければ天上人は聞く耳持たなかったでしょう。

しずかちゃんが議会で述べているように、環境改善のために動いている人はいっぱいいます。それを見もしないで力ずくで自分達の思い通りに動かそうとするのは、なんとも傲慢だと思いました。

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交渉をするために雲戻しガスを用意するドラえもん。力がなければ相手を説得できないのが現実です。

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悪人に雲戻しガスを奪われたドラえもんは、天上世界を守るために特攻してガスタンクを破壊します。人間(ドラえもんはロボットですが)は失敗したら命をかけて責任を取るべきです。

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私が成長するに従って読むたびに感想が変わった、味わい深い作品です。


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