見出し画像

山上容疑者は弱者ではなく、ただの犯罪者

1.山上容疑者への同情の集まり

2022年7月8日に安倍元総理が山上容疑者に殺害され、一ヶ月が経った。この事件で驚くべきことは、まだ裁判も始まっていないのに、山上容疑者の減刑を求める署名が7000に達しそうである(2020年8月23日時点)。このままの目標の7500を達成するかもしれない。

偽善ここに極まっている

山上容疑者はただの犯罪者である。テロリストですらない。したがって共感する主義主張はない。ただ自分の苦境を他人の責任にして日本史上最悪の事件を起こした人物である。家庭環境が悪かったようですが、それは犯罪を正当化する理由にはならない(犯罪者でなければ同情はします)。

弱者への同情

山上容疑者はカルト宗教によって人生を狂わされた、可哀想な人であるらしい。実際平凡(彼に比べれば)な人生を歩んでいる私には彼の苦しみなど想像もできない。

ただ家庭環境や生まれつきの能力の差は、程度の違いはあれど、誰しもある。生まれ持って全てを手にしている人もいれば、マイナスの状態でスタートする人もいる。でもそれを嘆いたところで何も進歩はない。

以下に引用する、立川談志さんの名言はそれをよく表している。立川談春さんは弟弟子の立川志らくさんに嫉妬したそうだ。それを見て師匠の立川談志さんは談春さんにこう諭す。

よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいといったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿という

東洋経済ONLINE 嫉妬に狂う弟子を諭した「立川談志」本質突く名言

立川談志さん自身が若いときに落語会でなかなか芽が出ずに苦労したようです。

犯罪者に自己投影する人たち

宗教2世で苦しんでいる人は特に山上容疑者に同情する人が多いようだ。自分も同じような苦しみを抱え、同じことをしていたかもしれないと。ただ間違ってはいけないのは、頭の中で考えることと、犯罪を実行するには絶対的な壁が存在することである。

誰だって強さと頻度の程度はあれど「こいつぶっ殺したい」と思うことはある。私だってもちろん何度もある。だがほとんどの人は実行はしない。しなくていいのである。実行する奴は犯罪者であり、断じて考えているだけの人と同じではない。

安倍氏の生存権と昭恵夫人の悲しみ

山上容疑者を庇う人たちは、安倍氏の生存権と、安倍氏の妻である昭恵夫人の悲しみをどう捉えているのかが不思議である。安倍氏の享年は67歳だったので、平均寿命から考えてまだ10年は生きられただろう。公人として、私人としてやりたいことはいくらでもあっただろう。それを理不尽な暴力で奪われたのである。

山上容疑者を庇う人たちは、安倍氏が殺害されることに同情をしないのだろうか?

夫を理不尽に殺された昭恵夫人には同情しないのだろうか?

こういう言い方は嫌いだが、もし自分の家族や友人が山上容疑者に殺害されても同情するのだろうか?もちろん一般人はこのような犯行のターゲットにはならないだろう。しかし安倍元総理も一つの命である。

人の命は地球より重いという、人権擁護者にとって安倍元総理の命は普通の人より軽いのだろうか?

2.山上容疑者の狡猾な犯行計画

山上容疑者の犯行は怒りに任せての突発的な犯行ではないだろう。彼は旧統一教会を叩く上で、最大限注目を浴びる計画を立てて、最高の結果をもたらした。もし旧統一教会の幹部や母親自身を殺害するよりもはるかに高い効果をもたらした(断じて認め難いが)。

マスコミも国民も山上容疑者の思惑に大いに巻き込まれている

無差別殺人に近い

私は山上容疑者の犯行は、「死刑になりたくて無差別殺人をした」という犯罪に近いという印象を持っている。8月20日に中学3年性の少女が無関係の母子を刃物で切り掛かった事件が起きたが、政治テロよりもこちらの方が事件の本質として近い気がする。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/197252

山上容疑者にとって安倍元総理は直接の恨みの対象ではない。彼に直接の被害を与えたのは旧統一教会と母親だっただろう。しかしこれらを狙っても一時マスコミを騒がせただけで終わっただろう。

安部元総理は日本の政治家の中で知名度が高く、今でも影響力が大きい。かつ祖父の岸信介氏が統一教会の設立に関与したため、なんとなく関係しているように見える。しかも安部元総理にはアンチがごまんといる。マスコミも安倍氏のことが大嫌いなので、積極的に山上容疑者の犯行を擁護する。

旧統一教会の悪事はクローズアップされ、政財界との繋がりは徹底的に炙り出されることになった。彼は安倍元総理を殺害することで最大限の注目を浴びることに成功した。

模倣犯の懸念

山上容疑者の犯行は大量の模倣犯を生むきっかけになるかもしれない。なぜなら、この犯行はあまりに大きく成功してしまった。カルト宗教、悪徳会社、国や司法制度などへの不満は山ほどある。それらを叩く手段として著名人を殺害することが最良の手段であることを、山上容疑者は実証してしまった。

著名人は安倍元総理のような政治家に限らない。財界、芸能界、学会の人もターゲットとなりうる。最近ならYouTuberやTikTokの人気配信者もターゲットになるかもしれない。

もし山上容疑者と同じような境遇の人間が犯罪をしたら、擁護者たちは模倣犯も擁護するのだろうか?

ちなみに山上容疑者の犯行について、まだ裁判も始まっていないのでどれだけの罪状になるかはわからない。彼の罪状は一人の殺人罪なので、死刑にならない気がする。せいぜい無期懲役だろうか。一国の元総理大臣を殺害しておきながら、無期懲役とはなんともおかしな話な気がするが、ある意味で命は平等とする日本の精神にかなっているかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?