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まちづくりを考えるヒント ~ 岩手県・宮城県・福島県視察レポート ~

先月、東日本大震災の被災地に赴き、復興の状況を見、お話を聞かせてもらいました。日本全体のまちづくりの観点からも、大変参考になるものがいくつもありました。
今回は訪問した岩手県1町、宮城県2市、福島県1市、計4自治体にある一部地区における取り組みの視察を通じて感じたことをまとめたいと思います。

■ 「平成の大合併」の影響

まず強く感じたのは、平成の市町村合併の「負の部分」が災害復興には如実に表れているということ。
4ヶ所のうち2か所で「合併しなければよかった」との声を聞きました。両地区とも、旧町が吸収合併のような形で合併しており、一つの地区では全市の1/130、もう一つの地区は全市の1/6しか人口がいないため、市の中での扱いが後回しにされていると感じているということでした。
各地区の旧役場はその地区の「出先事務所」として置かれていますが、お話を伺っていると、地元の方が出先事務所にいい印象を持っておらず、働きも十分だと感じていないことがわかりました。
基礎的自治体であれば、少なくとも町内の中心部の復興には真剣になるはずです。しかし、その地区の中心部には道の駅はあるものの、到底中心部とは思えない現状で、車で約20分かけて隣町まで買い物にでかけているとのこと。
そうした状況ですので、現在、人口は被災前の1/4に減ってしまっています。
合併した市内各所には町内から移住した人も少なからずいるので、そうした「元町民」ともうまく連携できればよいのですが、残念ながら「町を出ていった人」という感覚を持っている人もおり、連携もうまく進んでいないようです。
高齢化率も間もなく70%に達するほどで、すでに代々受け継がれてきた神社のお祭り、神輿なども断絶してしまったそうです。
その地域のある町内会は、戸数がわずか10戸ですが、行政の支援が受けられないため、民間の地域支援プログラムに応募し、地域交流センターを自分たちで建設し、運営していました。そしてその運営費を稼ぐために、地域交流センターを宿泊施設にしてお客を受け入れたり、地場の特産品を製造販売しているとのこと。
ここも合併していなければ町から支援を得られていたかもしれません。
平成の合併により大きくプラスの方向に進んだ自治体があるからこそ、震災が浮き彫りにしたマイナスの影響を強く感じました。

■ 住民を分裂させないための合意形成

次に、まちづくりの合意形成の難しさとそれがうまくいかなかったときの亀裂の深さを感じる事例です。
防潮堤の再構築とそれに伴うまちづくりがテーマとなった地区で合意形成に苦労し、形にした方からお話を伺うことができました。
ポイントは、住民の中で「賛成派vs.反対派」の構図にしないことだったそうです。
最初に両者が合意できるところを見定めたところ、その地区の場合は「砂浜の保存」だったため、そこをベースにして議論を進めることができました。
一方、行政側も「9.8mのコンクリート造りの防潮堤」という行政の条件を前提とする話し合いならば、協力と知恵出しを惜しまないという姿勢で取り組んでくれました。
結果、防潮堤の高さに道路や道の駅をかさ上げして造ることに成功し、目の前に約10mの防潮堤が立ちはだかるという景観にならず、同時に砂浜も残すことができました。
逆に、住民間での合意形成ができなかった場合、行政は時間の制約もあるため、行政側の計画を進めるということになり、そうすると「行政側に立つ人vs.反対に回る人」の溝ができ、深まっていった話も聞きました。そうすると今後のまちづくりにも影響せざるを得ません。

■ 可能性のあるところに人は集まる

各地で聞かれたのは、人不足の声です。
これは被災地だけの話ではありませんが、単純に若い人がいないという話から、ビジョンをもって経営できる人がいないということまで幅広く聞きました。
やはり、その地に夢と希望があり、チャレンジのし甲斐があるという環境でなければ、若い人は寄ってきません。その可能性をどこでアピールするかが大切です。
福島の視察地では、それをアピールする努力をした方がお世話をするなかで、70人ほど移住してきているという事例を伺いました。
その方たちの仕事は新しいジャンルというだけでなく、多くの人を巻き込み、若いママたちなどが働きやすくする仕組みにチャレンジしたり、社会への働きかけともなるサービスを提供したりするというものです。少しずつその活動によって支援の輪ができているのが見えました。今後の可能性も感じることができ、心強いものでした。
またこの地域では、お酒を醸造している20代の若者たちの話も聞きました。ただし、国内向け日本酒の新規免許は発行されていないため、どぶろく醸造の資格を取り、日本酒に他の成分を添加し、日本酒以外の酒として売らざるを得ない状況です。量は多くはないとはいえ、ネットでは販売開始後10分で完売するほどの人気だそうです。
国内の日本酒の消費量が減り続けているなかで、強い違和感を覚えました。国内で日本酒が作れないため、海外に出てしまった若者の話を聞きました。
全体のパイが減少しているから、新規で日本酒製造の免許は出さないと役所は説明しますが、実態は逆のような気がします。つまり、元気と勢いを取り入れないので、日本酒のじり貧が続くのでは?と。
ここはよく勉強してみたいと思います。

■ 人口減のまちづくり

全般的に感じたことは、いまや津波からの復興という局面は過ぎたということでした。通常の過疎地域と同様の課題と対峙しています。
また、福島の原発事故からの復興はようやく始まったという感触を得ました。津波被害と異なり、基本は震災前の街並みがある程度残るなかでの、改めてのまちづくりです。不思議な感覚です。
地域資源を自由に使える、使えるスペースがふんだんにある、ゼロに近いところからまちづくりができるなど、各地には様々なポテンシャルがありました。その力を引きだすために何ができるのか、改めて考える機会となりました。
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町の資源を活用して特産品をつくる町で
高い壁の防波堤ではなく、なだらかな階段で必要な高さをかさ上げし、道路と建物を置くことで「防潮堤の圧迫感」を解消。階段は、浜辺でのイベントの「客席」にもなる
「ゼロからのまちづくりは可能性しか感じられない」という思いを具現化するようなワークスペース
地域の方々の集いの場にしたJRの駅員室。市からの委託を受けて運営。
利用者の中心はJR利用者である高校生。学校の帰りに集える場所がない彼らにとっては、重要なコミュニケーションの場になっている


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