私の母と事務のおばさん
父の会社には高畑さんという事務員がいた。
私が生まれる前から働いていて、子供はいなかったけれど、夫婦仲はとても良かった。
ただ、旦那さんが体が弱く、病院に行くことが多くてお休みがちだった。
高畑さんは父と同い年で、母とは違って、いつもパーマをかけたふわふわの髪型をしていて、爪にはマニキュアが塗られていた。香水の香りもふわっと漂っていた。
母が機関銃のように話すのとは対照的に、高畑さんは優しくゆっくりと話してくれるのが大好きだった。悩み事があると、母には言わずに高畑さんに相談することが多くなっていた。
ある日、高畑さんが休んでいる時に彼女の席に座ってみた。そこには花柄のかわいいクッションがあり、電卓の横にはハンドクリームが置いてあった。恐る恐るその香りを嗅いでみると、とても良い香りがして、小指で少し取って頬に塗ったことを覚えている。
その瞬間、自分が高畑さんになったような気分になった。
母が入院している間は、高畑さんに学校での出来事や、習った笛の曲を吹いたりして話すのが日課になっていた。
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