sakaagari

ある程度生きてきました。このごろ今までのことをだれかに話したくなりました。興味があった…

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ある程度生きてきました。このごろ今までのことをだれかに話したくなりました。興味があったら見てください。

最近の記事

【Starlight Destiny#76】名犬ハッピー(9)

数年が経ったある日、エアメールが外国から届いた。 その手紙には、ハッピーを預かっていた私たち家族に向けた言葉が 綴られていた。 「日本に行く予定なので、近いうちにハッピーを迎えに行きたい」と 書かれていた。 普通なら喜ばしい知らせだろうが、私たち家族は複雑な気持ちだった。 それでも、ハッピーが一人で日本で耐えてきたことを思えば、私たちは快く送り出すことに決めた。しかし、母は大泣きしていた。 数日後、外国の方がハッピーを迎えにやってきた。ハッピーは喜んでいたが、私たちは笑顔

    • 【Starlight Destiny#75】名犬ハッピー(8)

      ハッピーはおもいっきり遊んだりすると、 心地よい疲れからすぐに深い眠りに落ちてしまう。 その麗しき眠りから目を覚ますと、彼の毛並みはぼさぼさになっている。 しかし、母は優しくブラシを手に取り、ハッピーの毛並みを整えてくれる。最初は嫌がるハッピーだったが、最近では逆に寝ぐせをつけるようになったのだ。おそらく、彼は母に甘えたかったのかもしれない。 毎朝の習慣として、母とのこの貴重な時間を過ごすことが彼らの心をつなげているのだろう。

      • 【Starlight Destiny#74】名犬ハッピー(7)

        祖父が具合を悪くし、お店に出られない時期に、 祖母は一人で経営に苦しむことになりました。 そんなある日、私はハッピーが台所に入って来るのを見ました。 彼は突然立ち上がり、お味噌汁の入った鍋を前足の肉球でトントンと 叩いたのです。「あれ?これを食べたいの?」と私が聞くと、 彼は「ワンワン」と答えました。 そして彼はまた炊飯器のところで立ち上がり、ワンワンと吠えました。 私たちは彼が猫まんまを求めているのだと思い、 それに合わせて食事を変更することにしました。 今となっては信

        • 【Starlight Destiny#73】名犬ハッピー(6)

          ハッピーは他人の幸せを願い、心を打つような行動をする犬でした。 一日中犬小屋に繋がれている隣の犬とは違って、ハッピーは自由に 過ごすことができました。 その時、周りには野良犬がたくさんいたので、母は心配しました。 しかし、ハッピーは外国で予防接種を受け、日本に引っ越す際に発行された首輪をしていたおかげで、近所の人々は彼を野良犬だと思わなかったのです。それは、なんともありがたいことでした。 ハッピーは自由に一人でどこへでも行き、知らないうちに帰ってくる生活を続けました。

        【Starlight Destiny#76】名犬ハッピー(9)

          【Starlight Destiny#72】名犬ハッピー(5)

          ハッピーを預かってから数か月が経ったある日、 彼が日本語を理解していることを実感する瞬間を迎えた。 近所のストアに買い物を頼んだ際のことだ。 祖母は何かの料理に醤油が必要だったが、 なんと家には醤油がなかった。彼女は困り果てていた。 すると、そばでしっぽを振りながらこちらを見つめていたハッピーが 目に入った。祖母はハッピーに買い物かごに「しょうゆ」と書かれた紙を入れて 「ハッピー、嘉山さんのところに行って醤油を買ってきて」と伝えた。 すると、ハッピーは「わんわん」と吠えなが

          【Starlight Destiny#72】名犬ハッピー(5)

          【Starlight Destiny#71】名犬ハッピー(4)

          ある日のこと、ほろ酔い気分で帰宅した曾祖父は寄り合いの集まりで 財布を落としてしまいました。 翌朝になって気付いた彼は、自分の不注意に落ち込み、 預かっていたお金を落としてしまったことに悔いを抱いていました。 祖父は自転車で近所を探すものの、落とした金はどこにも見つかりませんでした。そして、財布を弁償するべく銀行にお金を下ろしに行こうと準備をしていると、そこへハッピーが曾祖父のところにトコトコと歩いてきました。ハッピーは曾祖父が着ていた着物の匂いを嗅いで、 外に出たがってい

          【Starlight Destiny#71】名犬ハッピー(4)

          【Starlight Destiny#70】名犬ハッピー(3)

          ハッピーの散歩は、母との特別な時間でした。 言葉では話せないけれど、母の声や視線を通じて、 ハッピーは常にまっすぐで純粋な目で私を見てくれました。 ある日の散歩中、母が道で転んでしまいました。 母は立ち上がることができず、そばに寄り添って、 体を押し付けてくるハッピーを見て涙が溢れました。 ハッピーは、泣いている母にパワーを与えるために吠え、 母の足を引きずりながら一緒に帰ってくれました。 その時の痛さと喜びに涙は止まることがありませんでした。 私はハッピーにお礼として

          【Starlight Destiny#70】名犬ハッピー(3)

          【Starlight Destiny#69】名犬ハッピー(2)

          母の家族は、食品を販売していたため、 そして曾祖父が動物を苦手としていたため、どのように扱うべきか 戸惑っていました。 加えて、家族全員が英語でコミュニケーションをする必要があるため、 わずか3日でさまざまな悩みや苦しみがありました。 母は、ハッピーが相手がどのようなことを考えているかを 人の表情で理解しているように見えて、 母は言いました。 「ハッピーは人から距離を置いて観察しているようです」。 食事は1日1回の大きな犬用の缶詰と牛乳500mlと卵2個でした。 最初

          【Starlight Destiny#69】名犬ハッピー(2)

          【Starlight Destiny#68】名犬ハッピー(1)

          小学生の頃、私の母がよく話してくれた実話があります。 母が10歳ほどの時、アメリカの基地にいた外国の方にお豆腐を 配達していた際、祖父が本土へ帰るため、一時的に犬を預かるよう頼まれ、ハッピーという名前のコリー犬と数年間一緒に暮らすことになったのです。 ハッピーはオスで、当時5歳のワンちゃんでした。 毛並みが美しく、性格は穏やかで頭も良い犬でした。 外国の方に育てられていたため、日本語が通じず、それが困難でした。 教えていただいた言葉は 「ステイ」「ストップ」「イエス」「ノ

          【Starlight Destiny#68】名犬ハッピー(1)

          【Starlight Destiny#67】虫よけ団子作り

          以前、母が祖母に教わったという虫よけ団子を製作することになりました。父は、母が以前火事を起こした経験があるため、安全面を考慮して、 蚊取り線香を使う代わりにハッカ油と重曹を混ぜて お団子にすることを勧めました。 お団子は気になる場所に置くだけで効果があり、香りが消えるとハッカ油を追加することもできます。さらに、部屋の香りも爽やかになります。 この内容について、話し続けながらお団子を作っている間に、 蚊に刺されている子供3人を注意していますでしょうか?

          【Starlight Destiny#67】虫よけ団子作り

          【Starlight Destiny#66】キャラメルとちーちゃんの歯の運命

          ちーちゃんは、かけがえのない恩人から手に入れたというキャラメルを 受け取りました。これは歳月を重ねた人々にとっては危険な誘惑であり、 ちーちゃんは迷います。 自分で食べるか、それとも誰かに分けるか。 しかし、贈り主がニッコリと微笑みながらちーちゃんを見守っている様に、誘われるようにキャラメルの甘い香りが漂っています どんな感想をお聞かせしましょうかと。興味津々 ちーちゃんは思い切って一口噛んでみると… あれ、やっぱりそうなりましたか キャラメルと共に歯がくっついてしまい

          【Starlight Destiny#66】キャラメルとちーちゃんの歯の運命

          【Starlight Destiny#65】コロッケダブル地獄

          母は猫のひたいほどの土地にじゃがいもを植えていた。 日曜日になると、父と一緒にそそくさと物置小屋に出かける様子を よく目にしていた。 収穫の時になって子供たちと私は召集され、 驚くことに種芋はわずかこれだけだったのだ。じゃがいもの生命力には感嘆すら覚えた。 母は麦わら帽子をかぶり、誇らしげな後ろ姿で採れたてのじゃがいもを掘り起こしていた。私たちの手で、約2時間かけてみかん6箱ほどのじゃがいもを収穫した。 帰りの車中では父が「じゃがいもは蒸かしてバターで食べたいな」と言い、ち

          【Starlight Destiny#65】コロッケダブル地獄

          【Starlight Destiny#64】くず野菜すーぷ

          我が家では、父のお給料日が近づくと買い物に行く機会が少なくなります。そして最後の1週間のメニューは「くず野菜すーぷ」となります。 お給料日以降からコツコツとためていた たまねぎの皮、ニンジンの皮、キャベツの青い部分、ねぎのネッコなどを 鍋に入れ、水を加えて手でちぎって煮込みます。 これが非常にシンプルな一品となります。 具材を一定の時間煮込んだ後は、 ジューサーでかけ、再び鍋に戻して煮込みます。 味は塩とこしょうのみです。 このスープには肉の代わりに油揚げを加え、カレーライス

          【Starlight Destiny#64】くず野菜すーぷ

          【Starlight Destiny#63】クリスマス会の出来事(2)

          私が幼稚園に通っていた頃、イエス様の物語は先生が絵本や 紙芝居でわかりやすく教えてくれました。その時の感動は、今でも忘れられません。 大人になっても、「天にまします我らの父よ~」という言葉が口から溢れることがあります。 さらに驚いたことに、黙示録までもが心に響く歌になっています。 しかし、家に帰れば、その全てを胸に封じ込めなければなりません。 この世界観の違いを感じながら、私は幼少期を過ごしました。 クリスマス会では、私たちは讃美歌を歌いました。 大きなツリーの横には、小

          【Starlight Destiny#63】クリスマス会の出来事(2)

          【Starlight Destiny#62】クリスマス会の出来事(1)

          曾祖父が固く反対したにも関わらず、 私はキリスト教の教えを受ける幼稚園に入園しました。 両親が拝み屋の家系であったにもかかわらず、 私は異なる価値観を学ぶ必要性を感じたのです。 その教えから、喜びと感謝の心を持って生きることを学びました。 見えない神様からの恩恵に感謝し、毎日を宝物として過ごすようにしています。 家にいるときは数珠を手にし、お経を唱え 幼稚園では合掌し、そして讃美歌を歌うという、 少し滑稽な日々を過ごしていました。 12月が近づくと、幼稚園では大きなクリスマ

          【Starlight Destiny#62】クリスマス会の出来事(1)

          【Starlight Destiny#61】祖母の一周忌法事

          祖母の一周忌法事の際の出来事 お経を聞いていました。 その時、稟僧が現れ、「お祖母さんはもう成仏されてこちらにはいらっしゃいませんよね」と言いましたが、 私は無意識に「暗い部屋で寂しそうにしている様子を見ると心配になります」と言ってしまいました。 すると、稟僧は直ちに姿を消し、 しばらく経ってから「長がおっしゃる通り、お線香を手向けられる時間が非常に短くなっています。長が感じ取られたのはそのことだと思われます」と言いました。 私は一瞬、驚きました。 祖母が亡くなってから

          【Starlight Destiny#61】祖母の一周忌法事