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空想紀行文

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#小説

散文詩 『ラピス・ラズリ』

散文詩 『ラピス・ラズリ』

ラピス・ラズリ   

鉱石のような恋をしなさいと母さんは言いました。
私は青紫色の瞳を感じて、誘われるようにカーテンを綴じます。
むかし飼っていたハムスターのお墓を柔らかく思い出しながら
君が赦した金属光沢をするらり撫でるのです。

 ふと嗅いだマスカットの匂いにつられて家を出る。外はぞっとするほど暗くて、足下だけが上からの光を反射している。遠くの工場が琥珀色に光って深く煙を吐いているのが見える

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短編『明日は明日の雨が降る』

短編『明日は明日の雨が降る』

明日は明日の雨が降る

覚(さと)は早起きだった。朝の退屈を楽しむのが好きなのだ。
PODD(時間律隔離寝台)は過保護で、いつでも二度寝していいのよとベッドを暖めつつ、コーヒーのためのお湯も沸かし始める。
「わたしの意思なんて」
知ってるくせにね。そう思いながら、朝ごはんのメニューを頭の中で考える。考えた内容が意識に上ったときにはすでに、PODDはフライパンにエクストラバージンを引いていた。今日は

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短編『シェル・マインド』

シェル・マインド

「私は貝になりたい」なんていうけどさ
人間はほんと俺たちのことわかってないよ
貝って大変なんだぜ?
ひらくか、とじるかだ
いろんなひらくがあるし、いろんなとじるがあるんだ
たべるときは胃の中の酵素をゴロゴロさせるんだ
そして戦う
みてくれよ俺の殻を
守るためならツルツルにするさ
攻め勝つためにギザギザなんだ
でっかくて動かない、すっげえ硬いのが海にはいっぱいあるんだ
それに勝っ

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空想紀行文 4月24日 無宗教都市キハナ

空想紀行文 4月24日 無宗教都市キハナ

旅が好きなのですが、こんな状況では次の旅の計画すら立てられません。
そのため、空想の世界にて架空の都市へ出かけたいと思いました。
今後も旅欲が破裂しそうになるたび、この営みに頼るでしょう。

ー4月24日 キハナ

列車に揺られつつ、キハナへ向かう。久々の夜行列車は意外と快適だが少し寒かった。身体が窮屈さを感じる前に入眠しようと、アウターを2枚着込んで目を閉じた。この国の列車は予定時刻より早く着い

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