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漫画の感想

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2024年2月の記事一覧

「八月の光」×「ビラヴド」×伊黒小芭内で社会構造と個人の関係について考える。

「八月の光」×「ビラヴド」×伊黒小芭内で社会構造と個人の関係について考える。

「奴隷制度が人の心にもたらすもの」について描いた、トニ・モリスンの「ビラヴド」が面白かった。

「奴隷制度について描いている」と書くとついそちらに意識がフォーカスされるが(そしてもちろんとても重要な問題だけれど)、自分がこの話で一番興味を惹かれたのは物語の語りの手法だ。

「八月の光」の解説の中で、フォークナーが活躍した時代はちょうどヨーロッパでモダニズム文学が流行していた、と書かれている。
 ア

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「進撃の巨人」のアニメオリジナルエピソードに納得がいかず、見続けようか悩んでいる。

「進撃の巨人」のアニメオリジナルエピソードに納得がいかず、見続けようか悩んでいる。

 話題にする時期として微妙だし余り不満を言うのもなと思ったが、どうしても気になったオリジナル箇所があるのでそのことについて書きたい。

◆なぜ入れたかがわからない。

 アニメは原作とラストが違うと聞いて見始めたが、シーズン1の後半で気になる改変が二ヶ所あったのでこの先見ようか迷っている。

 一か所めは地下道の前でアニがアルミンに問い詰められたシーン。
 アニメではアニが唐突に笑い始めたけれど、

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「性格が悪いと思うキャラは?」という質問の答えには、その人の世界観、人生観が表れる。

◆「性格が悪い」とはどういうことなのか。

「このキャラは嫌い、自分にとって不愉快だ」と思うキャラはいても、そのキャラが「性格が悪いのかどうか」はよくわからないことが多い。
 自分にとっては不愉快だが、他の人にとってはそうでもない、むしろ好ましい(逆も然り)こともある。

「どのキャラが性格が悪いと思うか?」という質問の答えは、「どのキャラが好きか/嫌いか」という質問以上に、答える人の人生観や世界

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創作は創作として読むのが筋だと思うので。

 自分は上記の増田とは逆で、「エルフ夫とドワーフ嫁」は合わないと思う部分が多く序盤で読まなくなった。

 話題に上がったことをきっかけに、婚活のエッセイを読んだ。
 作者は、男に対してかなり警戒心を持っていると感じた。自分の感覚で言うと一般的な範囲の警戒ではなく、忌避感に近い。
「『エルフ夫とドワーフ嫁』の根底には、男性に対する拭いがたい怖さや不信があった」と感じたため、エッセイを読むことでエルド

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「人に無能力のレッテルを貼ることで、自分の万能感を相対的に上げる」→「価値の搾取」を描いた「夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない」を読んで欲しい。

「人に無能力のレッテルを貼ることで、自分の万能感を相対的に上げる」→「価値の搾取」を描いた「夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない」を読んで欲しい。

 久しぶりに宮崎夏次系の「夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない」を思い出して読んだ。

「相手に何もやらせず、無力感を与える」
「無能であるとレッテルを貼る」
「主体性を乗っ取る」
 そうすることで「無能な相手を助けること、代わりに色々やってあげること」を自らの居場所にしたり、相対的に自らの有能感を上げる手法を「価値の搾取」と呼んでいる。

 大多数の親はどのタイミングでどの程度子供に干渉す

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「進撃の巨人」全34巻を一気読み(再読)した感想を箇条書き。

「進撃の巨人」全34巻を一気読み(再読)した感想を箇条書き。


◆あまりに面白くて「なぜこんなに面白いのか」真剣に考えてしまう。

 アニメは原作とラストが違うという噂を聞きつけて、アニメを見始めた。
「滅茶苦茶おもしれえええ。続きどうなるんだ(知っている)」→ちょっとだけ原作で予習しておくか→「超おもしれええええ(人生二十回目くらいの叫び)」→結局全34巻一気読み。
 読んでいる途中、余りに面白くて「なぜこんなに面白いのだろう」と真剣に考えた。

◆半生記

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