斎藤肇
「魔法物語ロウチ」のまとめ。ほぼ毎週書かれる新しい原稿が発表されるごとに追加してゆく予定。過去に講談社で発行された『魔法物語』上下の続編を最終的に完結させるために執筆中。
メイリの世界に現れた時、外の世界での時間から継続しているようでありながら、わずかな断絶…
陽光を受けてなお、薄く闇に包まれている。 風景は暗く、濁っている。 音はしている。無…
朝を待って飛行艇は、竜の大地に行くらしい。 ィロウチはまだ、自分が小さな目によって竜…
それがどこなのかが分からない。 いや、どこなのかが特定できるのか、特定できたとしてそ…
風が出てきた。 強い風だ。日暮れ前の凪が終わったようだ。もうじき夜になる。 道に突っ…
世界とは、届く限りの内側のことだ。 ただ足で歩き、走るしか行くことができないならば、…
だがルシフスはまだそこにいた。 ィロウチの小さな目から投影された映像に、暗い空に浮か…
そこに、ホーサグはいた。 突然、脳裏に浮かんだルシフスという名前に、全身が小刻みに震…
朝が薄れてゆく。 太陽が高くなるにつれ風が止まった。 飛行艇は、動きだそうとして軋ん…
出発まで三日を要した。 一日目は船の建造を、主にオクライが行った。魔法を使えば、建造…
メイリは静かに立ち上がる。もうこの場所に寝ているわけにはゆかない。 まだ幼いが、裸で…
風に夜のにおいが溶け込む頃、男は店を開ける準備を始めた。 『青い猫亭』 このソドウとい…
自分の名を呼んでみる。 「メイリ」 良い名である、とは思わない。悪いとも思わない。ただ…
少女は停まっていた。 ソドウと呼ばれる街の大樹に封じられて、もうずいぶん長いこと凍結…
身体の目を閉じる。小さな目は、宿の建物の上にあった。その場で街を見回す。 光が、まだ…
遠い昔になにかがあった。 けれど、なにがあったのか語り継がれてはいない。 魔物の軍と…