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メイリの世界に現れた時、外の世界での時間から継続しているようでありながら、わずかな断絶…
朝を待って飛行艇は、竜の大地に行くらしい。 ィロウチはまだ、自分が小さな目によって竜…
それがどこなのかが分からない。 いや、どこなのかが特定できるのか、特定できたとしてそ…
風が出てきた。 強い風だ。日暮れ前の凪が終わったようだ。もうじき夜になる。 道に突っ…
世界とは、届く限りの内側のことだ。 ただ足で歩き、走るしか行くことができないならば、…
だがルシフスはまだそこにいた。 ィロウチの小さな目から投影された映像に、暗い空に浮か…
そこに、ホーサグはいた。 突然、脳裏に浮かんだルシフスという名前に、全身が小刻みに震えていた。かつて経験した、砂嵐の印象と重なり合って、その特別な名を受け止めた。 嫌悪と恐怖、畏怖。自分でも滑稽なほど、その言葉に敏感だった。 それは意図せぬ変身のおぞましい記憶とも結びついている。変身については、その後魔法によって解いてもらえたものの、完全に元に戻ったわけではなく、納得できる自分になるために、時間をかけて鍛える必要があった。 そんな苦い記憶の鍵となる名前がルシフスだっ
朝が薄れてゆく。 太陽が高くなるにつれ風が止まった。 飛行艇は、動きだそうとして軋ん…
風に夜のにおいが溶け込む頃、男は店を開ける準備を始めた。 『青い猫亭』 このソドウとい…
出発まで三日を要した。 一日目は船の建造を、主にオクライが行った。魔法を使えば、建造…
メイリは静かに立ち上がる。もうこの場所に寝ているわけにはゆかない。 まだ幼いが、裸で…
自分の名を呼んでみる。 「メイリ」 良い名である、とは思わない。悪いとも思わない。ただ…
少女は停まっていた。 ソドウと呼ばれる街の大樹に封じられて、もうずいぶん長いこと凍結…
身体の目を閉じる。小さな目は、宿の建物の上にあった。その場で街を見回す。 光が、まだあちこちにあるが、少し減ったようだ。グラウゼもまた、ようやく就寝の準備にかかったらしい。 その全体を見たくなって、小さな目を高く運ぶ。見下ろしながら、後退するように昇って、夜の風景をまとめていった。明かりがあるのはグラウゼの中だけ。周囲は深い闇に包まれている。 ロウチは、少し予定を変えた。このまま大地をどこまでも真っ直ぐに進み、あの夜に見た世界の果てを、その先を目指すつもりだった。が、