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昼間に花火

夏の終わりに
君と並んで座ったあのベランダに
ひとりで線香花火を灯してみた

日差しはまだ強く
昼間の空には星の代わりに
雲がゆっくりと流れていた

君と笑い合った夏の夜を思い出し
手の中で花火が小さく揺れた
それはまるで君との思い出が
今にも消えそうな儚さで

ひとりになっても
変わらない季節の風が頬を撫でる
君が隣にいない今
この花火は、少しだけ悲しくて

静かに沈む花火の火が
空に溶けるように消えていく
その瞬間、昼間の空に浮かぶ雲が
まるで君に似ている気がして

夏の終わり、昼間の花火
ひとりで灯すその小さな光に
君との思い出が詰まっている


儚く/美しく/繊細で/生きる/葛藤/幻想的で/勇敢な 詩や物語を作る糧となります