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原典を読みながら環境・農業問題について考えてみる

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聖書や日本書紀、平家物語などを読みながら、「日本」について外国人に説明するにはどうしたらいいかとか、農村部の論理と都会人の論理がどう違うかと言ったことについてのヒントを考えていま…
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#古事記

「ハキダメキク」は抜くべきか?他

「ハキダメキク」は抜くべきか?他

「鉄の古代史(奥野正男)」に岡山県の雄町遺跡から出土した食用植物種子のリストが載っています。

炭化籾、マクワウリ、スイカ等とならんで、エノコログサ、タデ、タカサブロウ、ハコベ、カタバミ、カナムグラなどの雑草種子も書かれています。

え?、タカサブロウ?、カナムグラ?、食用種子?

そんなものを貯蔵していたの?、カナムグラの種子をわざわざ?、一瞬目を疑いました。

よく読むと溝遺構出土とありました

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中世のカブと大根はどうだったのだろう?

中世のカブと大根はどうだったのだろう?

近松門左衛門の五十年忌歌念仏の農民・佐治右衛門のセリフには大根を育てていることは出てきますが、カブは出てきません。

もちろん、たまたまこのセリフに出てこなかっただけで当時の農民が育てていなかったと言うことにはなりませんが・・・

大根、カブと言うと、日本書紀では仁徳天皇の歌に大根が出てきます。また、古事記では仁徳天皇が青菜のスープを飲んだと言う記事がありますが、この青菜はカブのことだという説があ

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クラゲのように・・・と言う表現はどこから来たのか?

クラゲのように・・・と言う表現はどこから来たのか?

古事記で、日本の国土が出来る前の状態は、次のように書かれています。

次に国稚く浮かべる脂のごとくして、くらげなすただよえる時、葦牙の如く萌え騰る物によりて成れる神の名はウマシアシカビヒコヂノカミ。次にアメノトコタチノカミ。

これを日本書紀の文章と比較してみると、

本伝では、

開闢くる初めに洲壌のただよえること、譬えば游魚の水上に浮かべるがごとし。時に天地の中に一つの物生まれり。状、葦牙のご

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古事記の神統譜は日本書紀第二別伝、第四別伝を「合成」した形になっている

古事記の神統譜は日本書紀第二別伝、第四別伝を「合成」した形になっている

古事記本文の書き出しは、日本書紀第四別伝の後段とほぼ同じであると述べました。

この後、古事記本文は以下のように神々の名を記しています。

次に国稚く浮かべる脂の如くしてくらげなすただよへる時、葦牙の如く萌騰る物によりて成れる神の名は宇麻志阿斯訶備比古遅神。次に天之常立神。

次に成れる神の名は国之常立神。次に豊雲神。

この順序は日本書紀第二別伝に似ています。

第ニ別伝はこう記します。

古に

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「天の浮橋」で和合があったと言う平家物語神学

「天の浮橋」で和合があったと言う平家物語神学

平家物語・剣の巻でイザナギ・イザナミが登場するまでの神々の系譜を見てきました。

いよいよ、剣の巻での「国産み」の様子を見ていきたいと思います。

第七代伊弉諾・伊弉冉より天の浮橋のもとにてはじめて和合のまじわりあり。

それまでは体がない、体があっても顔つきがない、顔つきがあっても男女の別がない、性別があっても交わりがない神々しか登場してこなかった。

イザナギ・イザナミに至って、はじめて男女の

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平家物語の神統譜と日本書紀別伝

平家物語の神統譜と日本書紀別伝

平家物語巻11第107句「剣の巻」が記す

神々の系列は、(1)国常立尊、(2)国狭槌尊、(3)豊斟渟尊、(4)埿土煑尊埿土・沙土煑尊、(5)大戸之道尊・大苫邊尊、(6)面足尊・惶根尊

で、この後、伊弉諾(イザナギ)、伊弉冉(イザナミ)が登場してきます。

この登場の順番は、日本書紀本文と同じで、古事記本文とは違います。

では、日本書紀に「一書に曰く」と記された別伝と比較するとどうなるのでしょ

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平家物語の「神統譜」は日本書紀本文に一致し、古事記本文には一致していない

平家物語の「神統譜」は日本書紀本文に一致し、古事記本文には一致していない

平家物語巻第11、107句「剣の巻」は、国常立尊に続いて、

以下のような神々の系譜を語ります。

国狭槌尊より体はありて面目なし。豊斟渟尊より面目ありて陰陽なし。第四より陰陽ありて和合なし。埿土煑尊埿土、沙土煑尊、大戸之道尊、大苫邊尊、面足尊・惶根尊等なり。

日本書紀本文は、国常立尊の後、

次に国狭槌尊。次に豊斟渟尊。

次に神有り、埿土煑尊埿土・沙土煑尊、次に神有り、大戸之道尊・大苫邊尊。

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日本書紀第四別伝と古事記の神々の系譜

日本書紀第四別伝と古事記の神々の系譜

他の別伝とは少し趣きが異なる日本書紀のアフター天地開闢物語の第四別伝。

神々の系譜をこう述べています。

天地初めて分かれしときに、始めに倶に生れる神有り。国常立尊と号す。次に国狭槌尊。又曰く、高天原に生れる神、名付けて天御中主尊と曰す。次に高皇産霊尊。槌に神皇産霊尊、皇産霊、此には美武須毘と云ふ

つまり、第四別伝は、「天地開闢の時に国常立尊や国狭槌尊が生まれた」と言う記述と「高天原に天御中主

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