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1920 -ミュージカルが教えてくれた#02-

ゆったりとしたシルエットの衣服を纏い、頭を覆うコロンとした可愛らしい形のクローシェハットからはウェーブがかったボブカットの髪が覗く。
それらで形成された柔らかな雰囲気に、直線的且つゴツっとした形のアールデコジュエリーがアクセントを効かせる。

…!!

そのビジュアルは一瞬で私の心をタイムスリップさせ、ワクワクさせてくれた。

思い返せばあれは2015年。
『スコット&ゼルダ』というミュージカルを観に行く予定が決まっていた私は、作品の予習をした上で観劇したいと張り切り 色々調べ出していた。タイトルにもなっているスコットとゼルダは小説『グレート・ギャツビー』(華麗なるギャツビー)の著者であるスコット・フィッツジェラルドとその妻ゼルダのことであり、二人が生きた時代こそがまさに『グレート・ギャツビー』で描かれている時代なのだという事で…私はまずその小説から入ることにした。
小説は想像力を掻き立ててくれる。
登場人物たちがどんな顔をしているか、どんな服を着ているか、その場にはどんな音楽が流れているか。
そんなことを自分で自由に想像するのが楽しくて仕方がない。

頭の中が"私なりに創り上げた1920年代の世界"でいっぱいになったところで、いざ観劇!

想像していた世界が目の前にあらわれ動き出した瞬間、途轍もなく感動したのを今でもよく憶えている。
文字から得た情報だけで組み立てた頭の中の世界と立体化された舞台上の世界とを照らし合わせられるこの体験をしたいがために、観劇するまで映像作品は観ないようにしていた。
その効果で感慨もひとしお。
特に心奪われたのは、あの煌びやかな世界を生きる人たちの纏う雰囲気(オーラと言った方がよいか、、)だった。


そうして私はようやく映画『華麗なるギャツビー』を観ることに。
ひとりひとりの細かな表情まで観られるのは映画の醍醐味。決してハッピーとは言えないストーリーだし、ギャツビーがミステリアスなのは言わずもがな、なんの濁りもなく底抜けに明るい!みたいな人もメインキャラクターの中にはいない。それが良い。人のダークな部分であったり、煮え切らない思いであったり…そこを深く覗かせてくれる作品にどうしても惹かれてしまうのだ。
禁酒法の時代にお酒を飲みまくる描写や豪華な暮らしの中に不倫等の家庭問題が生じている描写から、いろいろな点で相反するものが共存している様子が窺える。つまりはグレーな部分が多い。白黒つかない、不明瞭で、曖昧模糊。だからこそ、ストーリーに寄り添いやすいのかもしれない。

2015年に小説『グレート・ギャツビー』、ミュージカル『スコット&ゼルダ』。翌年2016年に映画『華麗なるギャツビー』。そして2017年にミュージカル『グレート・ギャツビー』と出会い、数年間にわたり私は20年代に引き寄せられてきた。更に2020年ごろにはトゥエンティーズという台湾発のアパレルブランドに出会い…これがもうドストライク!(ブランドコンセプトを拝読してめちゃくちゃ共感した)益々引き寄せられている気がする。

"狂騒の20年代"という言葉で歴史に刻まれるほど強烈なイメージをつけられているその時代のアメリカは、なんだか特別な魅力を感じられるのだ。
事実、当時フラッパーと呼ばれた女性のファッションスタイルはおよそ100年の時を越えて現代に生きる私の心を掴んで離さない。ファッションだけでなく、チャールストンや無声白黒映画なども含めて当時の文化まるごと全部にどこか強く惹かれるポイントがあるようなのだ。

きっかけはミュージカル。
そこからどんどん繋がって派生して、今やこの歴史の切り抜きが自分の大切なエッセンスになっている。
ミュージカルは偉大だ。
その時代の社会、文化、芸術をひっくるめて伝えてくれるのだから。
こんなにも沢山の"好き"に出会わせてくれるのだから。


❤︎最後まで読んで下さりありがとうございます!

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