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詩 「メサイアコンプレックス」 (⚠️記事の後半は、私が作品づくりの際に念頭においている一語「Life is a beautiful mistake」の話。)

作:悠冴紀

生き方に関する指図など要らない
考え方を正す示唆しさなど要らない

救ってくれるな
教祖気取りのドヤ顔など
私には浅はかなペテンにしか見えない

全てを平らかにする一本道への誘導
「あなた」を辞めて「私」になりなさいと
暗に説いているだけの支配欲

何様のつもりなのか?

悟り人 気取りの上から目線の
なんと滑稽こっけいなナルシシズム

自らの在り方を頂点の理想像とし
結局誰もを自分と同じにしたいだけ

精神科医の真似事を好む
素人技の自己啓発もどき

放っておいてくれ
私は「あなた」になりたくない

自分の矛盾を棚にあげて
他人のいびつさを治そうとする傲慢ごうまん

何が正解かを知っているかのごとく
普遍的な絶対の答えを諭そうとする

だが生命はそもそも歪なもの
何かの間違いで産み出されたもの

この世が完璧に秩序立っていたなら
今頃 世界は真空の無だろう

人様をして無にかえすことの
一体どこが偉いのか?

辟易へきえきする
それはれっきとした殺人だ

求める人々に差し伸べる手ならば
何の文句も特にはなかった

私は助けなど求めていない

己の言葉の響きに溺れながら講釈を垂れ
他人の弱みに巣食って自尊心を満たす人々

一人や二人の話ではない
何故だか世に溢れかえっている

虫酢むしずが走る
良かれと信じているからこそ
相手の拒絶も汲み取れない

己の病にすら気付かない者が
一体どうして他人を治せようか?

なんと傍迷惑な尊大さ
結局自分に酔っているだけ

正してくれるな
私は真っ直ぐな善人になどなりたくはない


どう捉え どう生きるかは
個々様々に勝手に決める


人様を下に見るその手の特別意識に
私は心底うんざりなんだ

*********

※2021年11月作。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、私の作品を一部でも引用・転載する場合は、「詩『(悠冴紀作)』より」と明記するか、リンクを貼るなどして、著作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように配信・公開するのは、著作権の侵害に当たります!

すみません、久々に?毒を吐いてしまいました😅
最近SNSの世界をフラッと散策する度、何かいいことを言って大勢に敬われようとするあまり、結果的に教祖様気取りの上から目線で、似たり寄ったりな鼻につく説教をするだけになってしまっている残念な人たちに出くわし、「またか! 面倒くせ~😱」と嫌気がさしてきて、人間の脳内言語で溢れかえっているネットの世界から心離れしつつあったので、つい……💦

でももちろん、私がnoteでフォローしている人たちの中にそういうことをしている人は見かけません。むしろあなた方の日頃の何気ない投稿の数々が、私を引き留めてくれています、と伝えておきたい。そこは素直に感謝です🙏✨

ところで、今回の作品の中盤に出てくる以下のくだり▼

だが生命はそもそも歪なもの
何かの間違いで産み出されたもの

この世が完璧に秩序立っていたなら
今頃 世界は真空の無だろう

という部分について、少し解説を添えておきます。理論物理学の分野で、インフレーション宇宙論というのがあります。あまりにも有名なので、たぶん皆さんもご存知だろうと思うのですが、その理論によれば、宇宙は凝縮ぎょうしゅくされたミクロの状態に始まり、秩序だったマクロ宇宙へと膨張ぼうちょうしていく過程で、何らかの欠陥が生じるとされています。水が氷に変化する過程で、ヒビが入るのと同様に。そんな欠陥(=ヒビだかシワだか傷だかのヒモ状のもの)がとなって、周りの物質を引き寄せた結果、現在の銀河が誕生したのではないか、とも言われています。最新の研究では、この理論がその後どう更新・発展させられてきているのか、私の現在の知識では全然追い付けていないのですが、学生時代に私が科学雑誌などであれこれ調べた時点では、こういう内容でした。(かなり大雑把な概略ですが🙇)

それを基にして、逆向きに考えると、宇宙が、世界が、はじめから整然と完璧な正しさで秩序立っていたなら(あるいは膨張によって完璧な秩序に至っていたなら)、今頃あらゆるものが、ついとなる存在に綺麗に打ち消されてプラスマイナス=ゼロとなり、果てしない真空の無が広がるだけに終わっていたのではないか。つまり欠陥(あるいは歪さ)なしには、この世に生命など誕生・存在することすらなかったのではないか。そういう話にもなってきますよね?

Life is a beautiful mistake.

いきなりですが、このフレーズは、作品づくりをするときに、しばしば私の脳裏をよぎる言葉の一つなんです。座右の銘とまで言ってしまうと何やらちょっと大袈裟な印象になりますが、「ああ、そうそう。それこそまさに私が作中で描きたいものだわ」という感じで、しっくりくるんですよね。

もちろん、人生においては、なるべくバランス重視で過剰な偏りがないよう心がけた方が、余計なトラブルやミスが減らせてスムーズに生きられるだろうし、社会的にも、周りの迷惑になるほどの凸凹でこぼこ感を表に出しすぎないよう、ある程度の節度と品性が要される。でも創作においては、そういうわけにはいかないんですよね。ものの考え方や興味の持ち方を、あんまり平らかにして正しすぎると、凄みも面白みも奥行きもないつまらないものしか生み出せなくなる。

──そんなわけで、立場の問題もあって、困るんですよね。私のように難あり、、、なものにこそ興味を向けて描こうとする難ありな人物を見つけるなり、すかさず正論を振りかざして「それはmistake、つまり間違いですから良くないですよ」と懇切丁寧に教え諭そうとし、誰彼構わず正そう正そうとしてくる手合いがいると💧 手っ取り早く言えば、創作の妨げになるから迷惑以外の何ものでもない、という話。

ええ、はい。わざわざ教えていただかなくても、それが mistake だと承知の上ですよ? 私は黒いがそこまでアホではない。歪みが、欠陥が、過ちが、私の創作における宇宙ひも、、、、であることを知っていて、また私がモチーフとして描きたいのも、何かの、あるいは誰かの宇宙ひもたる mistake である。mistake あるところには物語があるから。そういうわけです。

Life is a beautiful mistake.
単なる「Life is beautiful」ではなくて、「beautiful mistake
ここが肝なのです。

ちなみに、beautiful をそのまま「美しい」と訳してしまうと、何やら私には似合わず美学に酔いしれて、それこそいかにも「いいこと」を言おうとしているような拒否感を覚えてしまうので、そこは自分の中では「魅力的な」とでも訳すことにしています A^_^;) mistake の方は、「失敗」とか「誤り」が一番わかりやすいけど、宇宙ひもの話にあわせて「欠陥」と言い換えることもできる。また「Life」は「人生」であると同時に、「生命」とも訳せますしね。色々当てはめることのできる一文だと思います。

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さて、ますます本文の詩作品の話からは遠ざかってしまいますが、せっかくなので、この機にその一文を含む曲についても紹介しておきますね。

音楽に関しては、私はかなりの雑食型で、クラシックからロック、ポップス、ハウス、トランス、アンビエント、モンロク、ゴシックメタルまで(笑)、そのときどきの気分次第で幅広く色々なジャンルのもの(主には洋楽)を聴きますが、問題のフレーズは、トランス界の帝王 DJブライアン・トランソー(通称BT)の「Forget me」という曲から取ってきたものです。正確には「Life's such a beautiful mistake」という一文なんですけどね。

実際の歌詞を一部お見せすると、こんな感じです(私の拙い日本語訳も添えておきますね。こちらでは beautiful をそのまま「美しい」と訳し、Lifeを「人生」と訳しておきます)▼

「Forget me」

Let us remember
Life's such a beautiful mistake
It's precious and fragile
Sometimes more than we can take

僕たちの記憶に刻んでおいてくれ
人生がいかに美しき間違いであるかを
それはかけがえのない壊れやすいものだ
ときに僕たちが思うよりずっと

It's stronger than fire
Greater than all things men create
And I don't know what you want from me
But I don't want to be perfect anymore

それは炎よりも強く
人類が創るどんなものより偉大だ
君が僕に何を求めているかはわからない
でも、僕はもう完璧でなどありたくないんだ


―――――――――


🎧では最後に、BT の「Forget me」を丸ごと試聴できるよう、リンクを貼って締めくくりといたします。BT の曲は静かめの綺麗な曲もあれば、躍り出しそうなノリノリの曲もあり、かなり幅が広いんですが、これはけっこうアップテンポな一曲ですよ。YouTubeなので、最初に余計な宣伝が入るかもしれませんが、良ければ聴いてみてください m(_ _)m▼

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※私こと小説家・悠冴紀のプロフィール代わりの記事はこちら▼

※私の詩作品をご覧いただける無料マガジンはこちら▼ (私自身の変化・成長にともなって、作風も大きく変化してきているので、制作年代ごと三期に分けてまとめています)
📓 詩集A(十代の頃の旧い作品群)
📓 詩集B(二十代の頃の作品群)
📓 詩集C(三十代以降の最新の作品群)

※ 小説家 悠冴紀の公式ホームページはこちら


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