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詩 『月明かりに照らされて』

作:悠冴紀

今日も私は深い夜空の下に立ち
月明かりに手を差し伸べる

静寂の夜の中
ゆっくり真っ直ぐな線を描いて
降り注いでくるその光は
今 この手の上で弾け
大地に一つ影を落とす

眠りについた者たちを
起こさないよう気遣いながら
この手をかたどった影を一つ
静かにそっと地球の上へ
──

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※この詩は高校生頃(1993~94年頃?)に書いた作品です。

作風としては、物悲しい雰囲気と捉えられることが多いのですが、私自身はとても心地よい気分で書きました。

この詩を思いついたのは、ある夏の夜。緑豊かな田舎暮らしだった当時、真夜中にフラリと外を出歩くのが好きだった私は、愛犬をつれて庭先に座り込み、延々と夜空を眺めていました。澄みきった大気の中を、月明かりだけがあまりに鮮やかに、それでいて押し付けがましさのない落ち着いた様で、その存在を主張していた。

思わず手を差し伸べ、零れ射す光を受けて過ごした日々の記憶が、今も瞼の裏に鮮明に残っています。そこで生み出された “ 影 ” は、孤独の象徴や物事の残酷な側面などというマイナスのイメージではなく、むしろ生への実感を与えてくれるプラスの存在だったのです 🌙

注)この作品を一部でも引用・転載する場合は、「詩『月明かりに照らされて』悠冴紀作より」と明記するか、リンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように公開・配信するのは、著作権の侵害に当たります。

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