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建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた対応(厚生労働省・労働政策審議会)

労働政策審議会安全衛生分科会の議題と資料

明後日(12月13日)オンラインで開催される厚生労働省「労働政策審議会安全衛生分科会」の議題と配布資料。

議題
(1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について
(4)新規化学物質の有害性調査結果について
配布資料
議事次第
資料1-1 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱
資料1-2 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案概要
資料2-1 石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の一部を改正する省令案要綱
資料2-2 石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の一部を改正する省令案概要
資料3 建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について
資料4 新規化学物質の有害性調査結果について
参考資料1 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律の概要等
参考資料2-1 現在の労働安全衛生関係法令における化学物質管理の体系
参考資料2-2 変異原性試験等結果検討委員候補者名簿
参考資料2-3 変異原性が認められた届出物質
参考資料2-4 変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針

労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案

明後日(12月13日)の厚生労働省「労働政策審議会安全衛生分科会」資料1ー2は「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案」概要。

資料1ー2 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案概要(PDF)

石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案等

また、明後日(12月13日)の厚生労働省「労働政策審議会安全衛生分科会」資料2-2は「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令案」概要。

資料2-2 石綿障害予防規則等の一部を改正する省令及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令案概要(PDF)

建設アスベスト訴訟最高裁判決等を踏まえた対応

そして、明後日(12月13日)の厚生労働省「労働政策審議会安全衛生分科会」資料3は「建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について」。

その資料によると、事業者による保護措置対象に危険有害作業を請け負わせる請負人(個人事業者を含む)を措置対象に加えるように省令改正する方針のようだ。

2 具体的な省令改正のイメージ
【基本的な考え方】
○ 今回の改正は、労働安全衛生法第22条に基づき定められている省令の規定について、事業者による保護措置の対象を、以下のとおり拡大することを目的とする。
①直接危険有害作業に従事する者に対する措置
⇒ 当該作業を請け負わせる請負人(個人事業者を含む。)を措置対象に加える
②危険有害作業が行われている作業場にいる者に対する措置
⇒ 当該作業場で何らかの作業に従事する全ての者(資材搬入業者等を含む。)を措置対象に加える
○ 上記①については、作業の一部を請負人に請け負わせる場合に限定し、事業者の労働者が作業に従事しない場合(作業の全部を請負人に請け負わせる場合)は対象としない。
※ 注文者等としての立場での規制は別途あり(安衛法第31条の4等)
○ 上記①の作業の一部を請負人に請け負わせる場合について、一連の作業工程の中で、時間的・空間的に、事業者の労働者が作業に従事しておらず、請負人のみが作業に従事する場面※においても措置義務があるものとして、検討を行うこととする。
※ 例えば、4週間かかる作業の一部を請負人に請け負わせ、1週目は労働者と請負人が混在して作業、2週目は労働者のみで作業、3週目は請負人のみで作業、4週目は労働者と請負人が混在して作業というような場合には、3週目の請負人のみが作業する場合の保護措置についても、検討対象とする。

資料3 建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について(PDF)

追記:「厚労省が省令改正の方針」朝日新聞報道

朝日新聞は「建設、製造などの現場で働く『一人親方』らフリーランスの個人事業主を、アスベストや放射線などから守るため、厚生労働省は、請負契約の相手企業に安全対策を義務づける方針を固めた。アスベスト被害をめぐる訴訟で、企業に雇われている働き手だけでなく一人親方も保護対象にすべきだ、と最高裁が判断したことを踏まえた」(「個人事業主の安全対策、契約先企業の義務に 厚労省が省令改正の方針」2021年12月19日配信)と報じた。

厚労省の審議会で詰めの議論に入っており、労働安全衛生法に関わる約10の省令を年度内に改正する方針だ。これらの省令は、アスベストや放射線、有機溶剤などの取り扱いを定めている。改正の影響は建設、運送、製造、舞台制作などの個人事業主やその契約企業に幅広く及ぶ見込みだ。

労働安全衛生法とその関連省令は、有害物質などを扱う企業に対し、排気や警報などの装置を設けることや、マスクなど保護具の使用、危険な場所への立ち入り禁止や避難といった対策を義務づけている。違反した場合には、懲役刑や罰金刑もある。ただし、現在の保護対象は、企業に雇われている労働者に限られている。

省令の改正で、同じ現場で仕事を請け負っている一人親方ら個人事業主や、一緒に働くその家族にも同じ安全対策をとるよう契約企業に義務づける方向だ。資材の搬入や警備などの出入り業者にも義務づける。

契約企業に一人親方らへ命令する権利はないため、マスク着用などは必要性の周知を義務とする。

アスベスト訴訟で最高裁は5月、一人親方のアスベスト被害について国と建材メーカーの責任を認めた。同じ現場で働いていて危険性が同じなら、一人親方も労働安全衛生法の保護対象と考えるべきだ、との判断だった。一人親方の家族や搬入業者、アスベスト以外の物質なども見渡した省令の改正は、最高裁の判断の趣旨を汲もうとするものだ。

建設業の一人親方は、労災保険の加入者だけでも2018年度末時点で60万人近くいる。(橋本拓樹)

追記:労働政策審議会安全衛生分科会、12月22日

厚生労働省「労働政策審議会安全衛生分科会」は先週月曜(2021年12月13日)に引き続き、明後日(12月22日)もオンライン・ペーパーレス開催される。議題は「建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について」。配布資料は下記の厚労省サイトにて明日(12月21日)公開予定。

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*ここまで読んでくださり感謝。(佐伯博正)