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パナソニックが持ち帰り残業を労働時間と認め再発防止策を提示して遺族と和解

パナソニックが持ち帰り残業を認めて遺族と和解

NHK NEWS WEB(関西NEWS WEB「パナソニック工場社員自殺で遺族と和解 持ち帰り残業認め謝罪」2021年12月7日配信)は「富山県砺波市にあるパナソニックの工場に勤めていた男性が、おととし自殺したことについて、会社は、男性が自宅に持ち帰っていた仕事を残業と認め、長時間労働でうつ病を発症して自殺に至ったとして、遺族に謝罪し、和解しました」と報じた。

富山県砺波市にあるパナソニックの工場に勤めていた男性が、おととし自殺したことについて、会社は、男性が自宅に持ち帰っていた仕事を残業と認め、長時間労働でうつ病を発症して自殺に至ったとして、遺族に謝罪し、和解しました。

おととし自宅で自殺したのは、砺波市にあるパナソニックの電子部品工場に勤めていた当時43歳の課長代理の男性で、遺族の代理人などによりますと、自殺の半年ほど前に昇格したことで業務量が増え、自宅にパソコンなどを持ち帰って長時間、仕事をしていたということです。

労災を認定した砺波労働基準監督署では、自宅での仕事を残業と認めませんでしたが、パナソニックはパソコンの起動時間などを独自に調査した結果、残業と認めたうえで、長時間労働でうつ病を発症して自殺に至ったとして遺族に謝罪し、解決金を支払うことで、6日、和解したということです。

男性の妻は、7日、富山市で会見を開き、「会社全体の仕組みや職場の雰囲気などを変えないと再発防止にはつながらない」と訴え、代理人の松丸正弁護士は「持ち帰り残業もきちんと認め、責任を認めて謝罪した点は評価できる。労働時間をきちんと把握すればこうした悲劇は防げるはずだ」と指摘しました。

一方、パナソニックは「安全配慮義務を怠った結果、社員が亡くなるという痛ましい事案が発生しました。再発防止に向けた取り組みを徹底して推進します」とコメントしています。
パナソニックの再発防止策
富山県の工場に勤めていた男性が自殺したことについて、パナソニックは、「上司が役割を十分に果たさず認識が甘かった」などとして、再発防止策を徹底するとしています。
この中では、責任者や上司に対し、▼みずからの役割を再確認し、コミュニケーションの能力を高めるための教育を定期的に実施するとともに、▼毎年行う多面的な評価などで適性に課題がある場合には役割を見直すとしています。
また、今回の事案が発生する前には、「持ち帰り残業」など、会社の施設の外での労働時間を客観的に把握する仕組みがなかったとして、▼パソコンの稼働時間を勤務を管理するシステムに反映させる仕組みを今年度から導入しているということです。

労基署が持ち帰り残業を労働時間に不算入?

毎日新聞(デジタル版「パナソニック工場の男性自殺 持ち帰り残業認め、遺族と和解」2021年12月7日配信)によると、「砺波労基署は21年3月、責任の重さや仕事量の変化で、男性が強い精神的負荷を受けていたとして労災認定。ただ、持ち帰り残業については『会社や上司から指示されたものではなく、黙示の指示もあったとは認められない』として労働時間に算入しなかった」そうだ。だが「パナソニックは、男性が使っていたパソコンの記録を調べ、自宅で長時間の作業を余儀なくされていたと認めて、遺族に謝罪した」とのこと。

また、朝日新聞デジタル(「パナで工場社員自殺 『持ち帰り残業』含む長時間労働、責任認め和解」2021年12月7日配信)も「労働基準監督署は自宅に持ち帰った仕事を会社の指示と認めなかったが、同社(パナソニック)は独自調査で会社の責任を認めた。企業が裁判を経ず、持ち帰り残業を労働時間と認めるのは異例」と報じた。

余儀なく持ち帰りは労働時間(厚労省指針)

朝日新聞デジタルは前掲の記事の中で「厚生労働省は17年、労働時間の認定にあたっては、労働者の行為が客観的にみて会社や上司の指揮命令下にあったといえるかどうかなどで判断するとしたガイドラインを作った。持ち帰り残業について同省は『仕事を持ち帰って行うことを義務付けられていたか、余儀なくされていたことが確認された場合に労働時間と評価する』と説明する」と厚生労働省ガイドラインについて記載している。

厚生労働省は17年、労働時間の認定にあたっては、労働者の行為が客観的にみて会社や上司の指揮命令下にあったといえるかどうかなどで判断するとしたガイドラインを作った。持ち帰り残業について同省は「仕事を持ち帰って行うことを義務付けられていたか、余儀なくされていたことが確認された場合に労働時間と評価する」と説明する。

パナソニックは、男性が自宅に持ち帰っていた業務用パソコンのログなどを独自に調査。自宅での作業についても、業務上、余儀なくされていたものだったと認定し、労基署の判断よりも踏み込んだ形で会社の責任を認めた。過大な仕事内容・仕事量に加え、持ち帰り残業を含む長時間労働を是正するなどの安全配慮義務を会社が怠った結果、男性が亡くなったと認め、遺族に謝罪した。

同社は和解にあたり、持ち帰り残業を含む労働時間の正確な把握のほか、業務量の適正化や社員間でのコミュニケーションの見直し、研修・面談などの対策をとる考えを示した。

遺族側代理人の松丸(正)弁護士(大阪弁護士会)は和解内容を「過労死問題に対する社会の厳しい視線を反映した判断といえる」と評価。「国が採用している労働時間の考え方が、働く現場の実態を反映しきれていないことが浮き彫りになった。当事者企業の対応が国の対応を追い越したケースだ」と話す。

記事中で紹介されている厚労省ガイドラインの正式名称は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」。

また、記事の中で「当事者企業の対応が国の対応を追い越したケースだ」と話していたされる遺族側代理人・松丸正弁護士は(堺法律事務所サイトによると)過労死弁護団全国連絡会議代表幹事、過労死防止大阪センター代表幹事。

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*ここまで読んでいただき感謝(佐伯博正)