#14 自分の仕事の先を想像すること
私の所属する会社では、数年に一度お客様アンケートを実施しています。アンケートの回答で、改善要望のあったコメントから、自分の仕事の先を想像することの重要性を改めて感じましたので、ご紹介します。
私の所属する会社は、主に国や都府県、市町村、企業団体からお金をもらい、水インフラ(ダム、水路、ため池など)の整備をする組織です。
少しだけ業務内容の解説を挟みます。私たちの業務は、管理業務と建設事業に分かれます。
管理業務とは、既存施設の維持管理を行うものです。巡視や点検、決められた計測、時に小規模な工事を行います。
建設事業とは、期間と費用が定まったプロジェクトとして、数年のスパンで水インフラの新設や既存施設の改築を行います。例えば、ダムの建設や水路の地震対策などです。期間内にはいくつのも大きな工事を実施していくとこから、管理業務よりもお金がかかります。
私たちの組織にとってのお客様とは、水インフラの恩恵を受ける都府県や市町村、企業団などの団体を指します。お客様からお金を預かり、水インフラを適切に整備することで、水の安定供給を実現するのが、私たちの使命になります。
ようやく本題です。
お客様アンケートの結果をみると、次のような改善要望が挙げられていました。
プロジェクト(建設事業)に要する費用の増額情報を早期に提供してほしい。また、コスト縮減に取り組んでほしい。
プロジェクト(建設事業)やそれぞれの工事に要する期間の変更情報を早期に提供してほしい。
断水予定等の情報を綿密に情報提供してほしい。
簡潔にまとめると、お金と時間と水運用に関する情報の早期提供を求めているということです。
これらの背景としては、次のようなことが挙げられます。
建設事業の場合、プロジェクト開始時点で事業に要する費用が決まっているが、物価高により計画以上の費用を要することがある。管理業務では、人件費の高騰や施設の老朽化の進展で、必要額が年々増えていく。
管理業務、建設事業双方で、毎年工事を実施するが、想定外の事象(例えば地盤が想定より悪かった)に直面し、結果的に工事工期が延びたり、費用が増嵩したりすることがある。
工事実施や日常点検等でやむを得ず通水を止めることがある。止める日数が長くなるほど、お客様への影響が大きくなる。
こうした背景から、お金と時間と水運用に関する情報提供を求められているわけです。加えて、これらの情報は、お客様自身がお客様側の組織内に説明しなければならない重要情報でもあるということです。
費用増額にしても、期間延長にしても、断水時期の変更にしても、私たちが提供した情報をもとに、都府県や市町村、団体の組織内で、それぞれの担当が説明を行う必要があります。場合によっては、レクや根回しもあるでしょう。
お客様側にも動いてもらう必要がある以上、私たちからの情報提供が遅れるほど、お客様側の担当の仕事が大変になる構図がみえてきます。
つまり、私たちが良い仕事をするためには、
単に自分の守備範囲を守るだけでなく、
自分たちの仕事の先にある仕事に想像を働かせ、
その仕事が少しでも楽になるように、
自分の仕事の仕方を工夫しなければならない
ということです。
お客様からしたら、私たちにはまだまだ仕事の改善の余地があるということであり、アンケートの結果はそれをこっそりと教えてくれていました。
アンケート結果から気づいたことは、あらゆる仕事にあてはまる大切なことでもあります。自分の仕事の先の仕事にも目を向けて、双方の仕事が楽になるように、仕事の仕方を工夫していきたいですね。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。