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【小説】恋の幻想

「たっだいまー。」楽しそうに彼女が帰って来る、手には新しい下着を持って。

「ただいまじゃ無いだろ、女の子と俺だけにするなんて、困るだろ。」と文句を言う。

「自分が連れてきたんじゃないの、文句言わない、ちょっとお風呂見てくるね。」スッと彼女は風呂に向かう。

俺には何もできないから、部屋で待っていると、彼女が女の子を連れてきた。

「ご迷惑をお掛けしてます。」ブカブカのTシャツとスエットを着て、女の子が部屋に来る。

「別にいいけど、親が心配してるんじゃないの、もう遅いし送って行こうか?」男1人の家に泊める訳には行かないから。

「それより、話を聞きましょうよ、だって何も解らないのに返すのもね。」彼女が話を聞く気満々で言っている。

「じゃあ、親に電話だけでもしといて貰った方が。」これは俺が誘拐と言われると嫌だから、自己保身で言ってみた。

「ちょっと待って、話聞いてあげようよ、何かあったの?」こうやってると本当にちゃんとした人間みたいだ。

急に婚約破棄言い出した人間とは思えないな、彼女は結婚をしようとした時のいい人に見える。

「でも、親に言って於いた方が良いんじゃないの?」自分もそこは拘って置く、何かあっても責任取れないからね。

女の子を見ると居心地悪そうだ、そりゃそうだ、知らない人間2人に何故か聞かれている状況は、嫌だろうなそりゃ。

「家を出てきたんです。」ポツリと語りだした、家での割には荷物少なかったみたいだけどな。

「なんでか教えてくれる?」理由如何でこっちの対応も変わって来るからな。

「彼と町を出てゆく筈だったんです、来なかったけど。」だから泣いていたのか。

「親は心配してるんじゃないの?」聞くと、彼女が首を振っている、なんなんだと思って、彼女を見る。

「親に殴られたりしてたの?」今度は彼女が言い出した、きっと風呂で何か見たんだな。

「ううん、親は殴るだけの関心も無いんじゃないかな。」さっきよりも小さい声で呟いている。

「裕子さー、今日は泊ってくれる、俺は外で止まるところ探すから、彼女を止めるにしても、ここに2人はマズイ。」それしか無いよな。

「そうやって私に頼むんだ、付き合いが長いから聞いてやるけど、貸しだからね。」ちょっと大きな声で彼女が言う。

「ごめんなさい、私の所為で。」女の子が恐縮しているみたいで、そうだよな他人の家に居るんだからと考えていた。

「大丈夫よ、この人人が良いからたいていの事では迷惑がらないから。」彼女に一言が多い。

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