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【小説】SNSの悪夢


そこは静かな住宅地だった、真昼間に来たのだから、人も車も少ない、子供の声が聞こえるほどには近い所に学校があるのか、子供の声がこだまの様に聞こえてくる。

幸せな風景を想像させる風景が広がっていて、その中に居れば誰もが幸せなんじゃないかと考えてしまう。

『でも、見えている物が全てではないよ、本当の問題は中に有るんだから。』心の中で呟いている。

一見すると問題の無いように感じる家が並んでいる、個性も問題も埋没させて、普通って言葉の中に埋もれてしまう宅地群だ。

探しているようには見えない様に、家の表札を確認する、あの男の名前も住所も解ったが、顔や家族は確認できてない。

家を確認しなければ、間違った人間を陥れることになる。

自分の例が有るのでそれは避けたい、とやかく言う人間に問題を確認させたいのだ。

セールスマンに見える服装で来たから、この辺を歩き回っていても訝しがられないだろう。

店で噂を聞いてみたいと思ったが、ここには小さい店舗も無い、車でスーパーまで行くのだろう。

新興住宅地は何処でもそうだが、近所の人間を気にしたりしない、都会のマンションは人との繋がりを持とうとしないと言われて久しいが、新しくできた住宅地もそうだ。

家を買うために夫婦そろって仕事に出て、帰るのは暗くなってからでは、ご近所で付き合いったって、あいさつ程度になるだろう。

近所で悪評が広がっても、生活できている限りは問題視しない、本当に問題になるのは、生活に影響が出る場合だ。

仕事先で問題が出るとか、家庭内で問題が出るとか、現実の問題が起こらなければ、誰も気にしない。

そうだ、どんな生活をしているんだろう、それを見てから奴の復讐を考えよう。

最初は名前や住所を晒してやろうと思っていた、自分を責め立てるようなツイートに書き込もうと考えていた。

けれど書き込んだところで、復讐には為らないかもしれない、もっと効果的な、何か無い物か?

それを知るためにも、家と家族を確認して、問題を曝け出してやる、問題のない家庭なぞない、若しかしたら批判している本人や家族が不倫してるって在り得ないか?同族嫌悪って言葉もあることだし。

ゆっくり回っていると、件の家に行きついた、まだ立てて間もない感じの綺麗な家だ、小さい自転車があるから、子供がいるんだろう。

普通の生活をしている奴に益々怒りが湧いてくる、今日帰ってきたところを見て顔を確認して、明日は朝からついていって調べてやる。


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