【小説】SNSの悪夢
朝からなんだか視線を感じた、走っている時にも見られていた気がしたし、レジに入っても視線を感じる。
誰かが見ているのは感じるが、それが誰で何処に居るのかが分からない、解らないのは気持ちが悪い物だ。
わざわざ文句を言いにレジに来る人も居るので、視線は気にしない様にしているけど、家を出てからずっと感じている違和感は何だろう。
私は別に有名人でも無いし、見られる理由が分からない、仕事で見られるけど、それは間違って無いか確認するためだと思う。
私自身を見る人は居ない、それでも仕事では嫌な顔は出来ない、笑顔でなくても良いが、仏頂面はご法度だ。
それさえもマニュアルで決まっているのだ、きっとロボットが安かったら、ロボットに変えられるんだろう。
いつもレジに立つと笑顔を貼り付ける、その後はマニュアルに沿った言葉を使う、まるでロボットだ。
同じ様な言葉ならマニュアルと違っても良いじゃ無いかと思うが、間違っていると副店長から指摘が来る。
『私は女優、間違わずにセルフを言うのよ。』そう考えながら、マニュアルとして強制されている言動をする。
それにしても、レジでも視線を感じるのは不思議だ、普段視線を感じると直ぐにクレームが来る。
クレーマーは大概は文句が言いたくて、クレームを付けているお客だ、何だか嫌な事でもあったんだろうかといつも考えている。
「お客様は神様やろう、お前のその態度は何や。」普段どうりにレジをしていても駄目なら、自分としては謝るしかない。
客なんて神様じゃ無いよ、クレームを許すと客の方がそれで良いと思ってくる、そうするともっとクレーマーになる。
店がそれで良いと思っていると、そんな客ばかりが主流になる、私が経営者なら断るけど、一従業員ではそれもできない。
休憩になったら、発散しよう、この視線はきっと気の所為なんだ、何も無いもんね、そう考えていた。
スーパーのレジに立っている女がたまにキョロキョロしている、人間は見られていると気になるものだ。
自分がこれだけ見ているのだから、解っているんだろう、立花はそう考えていた。
ここでSNSをする訳じゃない、きっと休憩でレジを離れた時に、ネットに文句を言いに来るんだろう。
自分にはまるで関係ない事象を探して、そこを問題にするのだ、そんな事より自分の問題を解決すればいいのに。
仕事を失った自分が言うのもなんだが、問題を解決しないと何時までも引き摺る。
嫌なら嫌と言えばいいのだ、それで仕事が無くなるかの知れないって考えは、無いことにした。
文を書くのを芸にしたいと思っています。 頑張って文筆家になります。 もし良かったらサポートお願いします。 サポートしていただいたら本を買うのに使います。 ありがとうございます。