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【小説】恋の幻想

泣き続けてた忍が泣き止みそうになって、やっと眠れるかなーと思う自分は冷たいのかもしれないな。

「ごめんなさい、ご迷惑ですよね。」この子はこの言葉を繰り返している、だからと言って、そうだねーとは言えないよね普通は。

「私もこの家に住んでるわけじゃないからね、はっきり言えないよ。でも当ては無いんでしょ。」ここはハッキリ言わないとね、如何するか考えているとは思うけど。

親が探してる可能性もあるけど、身体の痣を見たら探してたって帰れって言えないもんね。

「優しいんですね、お二人とも。」お世辞を言ってくる。

「あたしは優しくなんてないよ、彼は優しいけどね、生き物は何でも拾ってくるんだよ。」ねっ、優しくないでしょ。

その言葉で泣いていた彼女がぷっと吹きだした、何が面白いのって考えていたら、こう言った。

「確かに生き物を拾ってきたんですもんね。」自分の事、生き物って言われて笑うか普通。

「笑えるんなら大丈夫だね、もう寝ようか、一緒の布団で悪いけど、ほら寝ようよ。」取り敢えず寝たら何とかなる、そんな感じで生きてきたから、私としてはそれしか言えないよ。

「そうですね。」素直に答えて、布団に入る、きっと眠れないんじゃないかとは思うけど。

「ねえ、聞いても良い?」暗くした部屋の中に声が漂う。

「ごめんなさい、話さなきゃいけないですよね、こんなにして貰っているのに。」彼女の声も浮かんでいる。

「言いたくないのに無理するのは駄目よ、心が疲れちゃうと何もできなくなるから。」そう言って慰める。

「いえ言いますというか、聞いてくださいってのが本当ですよね。」彼女が話し出す。

「嫌な話なんだよね、大丈夫?」聞いても仕方が無いけど、心配になってきた。

私は元々世話好きって訳では無いから、こう云う時に何を言ったらいいのか解らない。

「大丈夫です、聞いてください、本当はあの方、あのー。」と言って言葉を切る。

「良平って覚えて上げて、あなたを拾ってきた人だから。」笑いながら言っている、笑う事態じゃないけど、良いことだと思う。

「そうですね、なんて言ったらいいんでしょう、広い美とって感じでしょうか。」冗談が言えれば、生きて行けるね。

「冗談が言えれば、何が有っても生きて行けるね、良かったよ、ちゃんと冗談が言えてさ。」と言っておく。

「こんなに絶望が有っても、何だか希望がありそうに思えます。」そうだよ、希望は箱の底の底に有るんだからね。

「希望は最後に有るんだよ。」



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