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【小説】恋の幻想

朝はハンバーガーにしよう、気分が落ちている時には、ガツッとしっかりしたものを食べた方が良い。

コンビニとかも有るけど、ハンバーガーって攻撃的になる食べ物に感じるからな。

駅で待ち続ける人間はちょっと攻撃的になった方が良い、人は肉系の食べ物を食べると攻撃的になるという、炭水化物も大切だから、ハンバーガーしか無いな。

自分の考えに悦に入っていて、女の子がハンバーガーが好きか如何かと考えたりしていなかった。

駅前のインターネットカフェで一晩過ごして、身体がちょっと疲れていたのかもしれない。

まあ家で寝ても煎餅布団一枚だから、あんまり変わりはないような気がするけどな。

自分の家を借りてから、外で寝る機会が無かったから、何かあった時にはここも良いなと思った、ホテルじゃ無いからその使い方に問題ありだが。

朝が早いとまだまだ店は開いていない、大手の喫茶店や大手のハンバーガーショップが、営業をしているよ位に電気を点けていて、選択肢無く店に入る。

毎日朝はコーヒーが欲しい方だから、コーヒー付きのセットを3つ頼んだ、考えて選択するのは面倒だからな。

番号で呼ばれると、食欲をそそる匂いが鼻を衝く、普段の朝はハンバーガーなんて贅沢は出来ない。

金額もそうだが、時間的にコーヒーを飲む位しか時間が無い、早起きして朝ご飯を食べるより、眠って居たいのは自分だけじゃない筈だ。

あの子は何が有って如何しようとしているんだろう、袋を下げて今すぐ食べたい欲求と闘いながら、家への道を歩く。

駅から家までは15分くらいある、駅近よりも家賃の問題を最優先したら、歩くのはやむを得ない。

少し坂に成っている道を歩くと、目覚めている人も多いのが解る、あちこちの家に灯りが点って、これから動き出そうとしている。

家々からはそれぞれの朝の匂いが漂う、この家はパンかあそこの家はご飯か、随分前から忘れていた朝の食卓を思い出す。

それでも今日はこっちにはハンバーガーが有る、持って歩く間に冷めてしまわないか心配になって、ここで食べたくなるが、3人で一緒に食べた方が良いだろう。

自分の家が見えてくると、明かりがついていて、2人とも起きているのだろうと考えた。

起きているんなら静かに入っていく必要は無い、片方の手に袋を持ち換えて、ドアを開ける。

「ただいまって、ここ自分の家か。」いつも一人の家に帰って来るのは勝手が違う。

家もいつもと違った人間が寝ているので驚いているだろう、家に感情が有ったらの話だが。

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