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トップが多様性に本気で取り組み、個の強みにフォーカスし公開することは、企業にどんな価値をもたらしているのか?を勝手に考察してみた

はじめに

「多様性」や「ダイバーシティ」という言葉をビジネスの場で耳にするようになって久しくなりました。

最近では企業の成長戦略やミ ッション・ビジョンにも明記されることが多くなってきています。また、雇用の形も従来のパートナーシップ型からジョブ型への流れ にともない、個人の強みにフォーカスした人材・組織開発も増えてきています。

Awesome!のクライアントの皆様も強みを知り、意識することで意欲度が変わったり、自分らしい勝ちパターンを発見しパフォーマ ンスに変化を感じられている方も多いのではないでしょうか。

先日、クライアントさんとの会話の中で、ある日本企業の役員の方々がクリフトンストレングス(通称:ストレングスファインダー) の診断結果を公表している件が話題に上がりました。
レポート記事自体も非常に興味深いものでしたが、同時に「企業のトップの方々 が、診断結果を公表することの意味や意義はいったい何なのか?」という疑問が浮かびました。きっと、なにかしらのメッセージやメ リットを考慮して公開しているはずです。

今回は、この疑問を「トップが多様性に本気で取り組み、個の強みにフォーカスし公開することは、企業にどんな価値をもたらしてい るのか?」という問いに変換し、入手可能な情報やデータを元に、私の独断で考察をしてみたいと思います。

丸井グループ上層部の「多様性と個の強みの公開」の背景

上層部の上位資質の診断結果を公表している企業は、「OIOI」で知られている丸井グループです。

初めて役員の方々のスキルマトリックスが公開されたのは、 2019年2月に発行された「VISION BOOK 2050」でした(下記参照)。

(スキルマトリックスが記載されているレポートはこちら)
https://www.0101maruigroup.co.jp/sustainability/pdf/s_report/2018/s_report2018_a3.pdf

もともと環境への配慮・社会的課題の解決・ガバナンスへの取り組みと、 ビジネ スが一体となった未来志向の「共創サステナビリティ経営」を目指していた丸井グループは、「インクルージョン(包摂)」が実現するための鍵になると考えて いました。
この点について多くの投資家の方から評価をいただいていたのと同時に「これを実現するためのビジョン・目標・進捗を示してほしい」という要望が あったそうです(以下リリース記事参照)。

https://www.0101maruigroup.co.jp/pdf/settlement/19_0215/19_0215_1.pdf

インクルーシブを実現するためには、多数にフォーカスするのではなく、多様なニーズを知り、それらを取り込んだ経営が必要になってきます。そのためには、 それを牽引する役員層が十分に多面的である必要がある
これらを見える化する ために、スキルマトリックスを公開することになったということでした。

その翌年の「共創経営レポート2019」ではMBTIタイプの公表、翌2020年の「共 創経営レポート2020」では、右記のようにクリフトンストレングスのTop10の資 質が公開されています。

(2019年MBTI)

https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/pdf/i_report/2019/i_report2019_29.pdf

(2020年クリフトンストレングス)

https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/pdf/i_report/2020/i_report2020_37.pdf

そして最新の「共創経営レポート2021」では、クリフトンストレングスのTop5に加え、経営層として必要な共通スキルとそれぞれの方が 持つ独自のスキルのマトリックスがまとめて公開されています。

(2021年スキルマトリックス)

https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/pdf/i_report/2021/i_report2021_29.pdf


丸井グループの企業価値を調べてみた

そんな丸井グループの企業価値はどれくらいなのか?
いくつかの主要国内百貨店と比較しながら、主な経営指標を調べてみました。 (元データにより順位は若干違いがありました。私が参照したのはこちらです)

売上高でみると、丸井グループは業界の中で9位ですが、営業利益・経常利益・純利益の部分では業界トップでした。丸井グループが 利益面で優位にある要因として、他の百貨店とは異なり、立地や対象顧客に応じて、ブランドコンセプトを変えながら中規模店舗を展 開し、日常的に利用できる店舗づくりと品揃えを特徴とすると同時に、気候変動を重要な経営課題の1つとして認識し、グループ全体 で気候変動のリスクの管理や、温室効果ガス排出の抑制に向けた取り組みを積極的に行い、気候変動をチャンスに転換する事業戦略を 取っていることが挙げられていました(引用:MONEY TIMES)。

この方向性は、VISION BOOK 2050に記載されていたこと合致し ています。

参照:https://strainer.jp/

また過去6年間の株価の推移を見てみると、2017年以降、他の百貨店は下降傾向な中、丸井グループは2020年にいったん落ち込んだも のの、2021年には2017年の株価を上回り、2022年現在は過去6年の間で最も高値となっています。

参照:日経電子版株価 情報参照(6月時点)

企業価値や規模を表す時価総額は、業界トップの4400億円を超えており、他との差は明らかでした。

参照:https://strainer.jp/

まとめ

いずれの企業価値を示す指標を見てみても、丸井グループの価値の高さは顕著でした。コロナ禍以降、百貨店業界を取り巻く状況は非常に厳しかったと推測されるものの、他とは明らかに違う傾向であることがわかりました。
先日、神戸OIOIにも足を運び、実際の店舗の様子を体感してきました。その点も加味して分かったことが以下の3つになります。

  1. グループのビジョン達成のために、役員層の多様性に重きを置き、継続的にその多様さを客観的に評価し、公開している

  2. 企業ミッションを実際の店舗でも導入し、体感できる形で展開し、それが“OIOIらしさ”として定着してきている

  3. コロナ禍で厳しい中でも、業界トップの高い利益率を出しており、株価・時価総額とも業界No.1の位置にいる

今回、この記事をまとめるにあたり、過去4年分の共創経営レポートに目を通し、実店舗ビジットを通して実感したことは、企業ミッションが「絵に描いた餅」ではなく、その本気度と実現度でした。利益や時価総額などずば抜けている点も納得です。ぜひ、機会があれば役員の方たちに、多様性を公開したことによる投資家や顧客からの反応や、企業価値への影響について聞いてみたいのと同時に、この役員の方たちの元で働く社員の方にも、働きやすさや意欲度の変化、また新たな価値創造になにか影響はあったのかなども聞 いてみたいなと思いました。
そして、これまでOIOIには足を運ぶことがあまりなかったのですが、これからは一顧客としても、機会を見つけて店舗にも足を運び、企業の多様性とデータに隠れたヒントを見つけに行ってみたいなと思います。

今日も資質に感謝!

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