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AWESOME Choices Issue no.05「リケジョから化学メーカーの研究開発職」 というキャリア



はるなさん

現在入社7年目、総合化学メーカーで製品開発をしています。具体的には、電気自動車向けの接着剤の開発です。この仕事の面白さは自分の開発した材料が世界中の製品に使われることで微力ながら世の中をもっと便利にすること、もっと素敵にすることの一助となっていると実感できるところです。 学生時代は、名古屋大学農学部応用生物科学科で生分解性プラスチックに関する研究(学士)、京都大学大学院工学研究科で高分子材料の力学物性について研究をしていました(修士)。
一度転職をしているのですが、前職も化学メーカーで6年程研究開発をしていました。

現在総合化学メーカーの製品開発職で活躍中とのことですが、学生時代に理系の道に進もうと思った理由について教えてください

最初に理科や化学に興味を持ったのは小学生の頃です。親の意向もあるのかもしれませんが、女性の偉人の伝記を読んでいて、キューリー夫人ことマリー・キュリーの話が妙に心に残り、一番かっこいいと思いました。
その後、中学生の頃TVCMがきっかけで、化粧品に興味をもち、購入した時に裏の成分表示をホームページで調べてみると、化学で習うような雰囲気のものが使われていることを知りました。化粧品のような身近なものに科学技術が詰まっているということを知り、広く科学に関する仕事に興味をもつことになり、理系を志すようになりました。

また正直、理系から文系には転向できるけど、逆は難しいのかな?という個人的なイメージが有り、理系を選んだ側面もあると思います。

身近な化粧品について興味を持ったことが、理系の道を選ぶきっかけになっていたんですね。

では大学・大学院の学部や専攻を選んだ理由についても教えてください

高3の時に 化学Ⅱで高分子ポリマーを習った時に、化学が直接的に普段の生活に役に立っていることがわかり、化学の中でもこの高分子ポリマーをやりたい!仕事にしたいと思いました。大学は学部を工学部か農学部かぎりぎりまで迷ったのですが、私が受験した当時、遺伝子組み換え食品が話題になっていた時期でした。「バイオテクノロジー、かっこいい!」と感じ、農学部なら化学も生物も両方できて就活の時に有利かもと考え農学部に進学しました。

ただ結局、高分子ポリマーを深く勉強するには、専門の学科で専攻したほうがいいなと思い、大学院では工学研究科に進みました。高分子の中でも自分の学びたい専攻が強い大学を探した結果、大学も別の大学に進むことになりました。

「理系」を選んでからも、自分の関心に合わせて学部・専攻を選んでいたんですね。

大学を卒業後、これまでに経験したお仕事を選ばれた理由について教えてください。

大学院修了後、シリコーンを専門に扱う化学材料メーカーに就職し、約6年間半導体向けのシリコーン材料の開発に携わりました。化学メーカーに絞って就活を行っていたのですが、学生時代に学会で発表をしていた際に、会社の方がポスターを見に来てくださったのがこの会社を知ったきっかけで、専攻を活かせるのかもしれないと思ったのが入社を志したきっかけです。

就職後に組織の再編や部門の廃止といった変化を経験し、一つの会社に長く勤め続ける以外にもキャリアの可能性があることに気づきました。その後の人材の流動性が高まったタイミングで転職を決断しました。

前職は、アメリカ資本の会社で、自由な社風が魅力的でしたが、海外メーカー向けの製品開発を担当しており、国内メーカーとの直接的な関わりが少なかったため、外資系企業でありながらも日本支社に権限委譲が行われている今の会社に転職しました。
それから約4年、インフラ向けの接着材料の材料開発・用途開発に携わり、その後現職である電気自動車向けの接着剤の材料開発をしています。製品のマーケットはばらばらですが、全て高分子に関する材料開発・応用技術開発なので、学生の時に志した高分子ポリマーを仕事にするという夢はかなっているように思います。材料開発だからこそ、自身の強みを活かしながら様々な業界の材料開発に関われるのは魅力の1つだと感じていますし、実際、すごく楽しいです!

学んだことが、今の仕事にもつながっていてとても充実している様子が伝わってきました。

では、お仕事の中でご自身が「理系が出ているな」と感じることなどはありますか?

仕事って意外に感情で進んだりするのですが、理系同士の会話だとデータ・事実をもとにした客観的な議論がしやすいように思います。
また、これ発明(=特許)になるかも、となんでも記録するのは理系の性なような気がします。

データや事実を参考にするところは、まさしく理系らしさですよね。

では、ご自身にとって「理系で学んだこと」や「リケジョ」に対して何か思うことなどあれば、教えてください

農学部生命科学科では、農学部だからこそ生物・化学を広く学べたことがよかったなと感じています。また大学院では材料科学の中でも高分子化学やレオロジーと言われる分野で、高分子の化学構造と物性の相関を調べるようなことを専攻していました。

今振り返ると、理系の勉強ができたこと、大学で専攻したことは一生の糧になったと思います。

大学院では材料を混ぜて、かためて、測定して…の繰り返しの生活でしたが、その中で、指導教官や先輩と相談しながら、自分で実験を計画して、実行して、結果を見て考察して、また新たな実験を組む、自主的に物事を進める力がついたように思います。

私の場合は専攻分野の知識が直接的に仕事に役立っていますが、そうでなくても、論理的に考える力や研究をチームで進めるためのコミュニケーション力(相手に自分の考えを伝える、協力してもらうために説得するetc)、また海外の論文や知見を理解するための英語力や会話力など、一般的な仕事にも役に立つことはたくさん身についたと思います。
「リケジョ」という言葉がなくなるくらい、理系を選択する女性が一般的になる世の中になっていけばいいなと思っています。

理系をChoice(選択)したことが一生の糧になったと感じられているほど、今のお仕事でそのスキルを実感されていることが伝わってきました。

最後にこれからの進路を考える女子中高生や理系学部で学んでいる学生の方などに向けて、ぜひ一言アドバイスをお願いします

理系、という言葉だけで敬遠せずにぜひ理系の仕事にも興味を持ってもらえると嬉しいです。とっても楽しいですよ!

最後に

お話を通して、自分の「好き」に向き合いながら、柔軟に進路やキャリアを選んできたというのがよくわかりました。何よりも、インタビューのコメントから、お仕事がとても楽しいというのが伝わってきたのが印象的でした。貴重なお話ありがとうございました。はるなさんの更なる活躍を応援しています!

あとがき

いかがでしたか?
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