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シャンプーとバス


わがままで困らせた夜も
正解を教えてくれなかった朝も
もう来ることはないけど

カーディガンはもう要らないように
溶けるのは時間の問題さ

つま先だち 覗いたラストシーン
バランス崩す甘い香り

シャンプーの匂いはお揃い
夜行バスは定刻通り
さよなら 知らない街へ

行先はどこ
くだらない約束も連れていって

シャンプーの匂いだけお揃い
帰り道はたがいとっくに遠い
夜行バスは定刻通り


朝10時、アラームで目覚める。
あと数時間後にはバスの時間だなと思う。
イコールそれは君と居れる時間でもある。
身支度をして、気持ち早く家を出て、
なんとなく歩いて駅まで向かった。
3月にしてはすごく天気が良かった。
ちょっと暑いけど、
上着脱ぐのはめんどくさいと、
言ったのが君らしかった。
お土産買おうかなとか言ってたのに、
やっぱめんどくさいって止めてたのも、
君らしかった。

 でも、俺は君のこと全然知ってるわけじゃなかった。

バスは定刻通り来た。
約束通り。
約束通り君は街を出るし、
約束通りバスは君を連れてく。
今日ぐらい少し遅れてきてもいいじゃんかと悪態をつく。
それは困るよと、少し笑ってくれた。

 君はいつもいい匂いだった。
最後まで振り返ることはなかった。
でもシャンプーの匂いだけはお揃いだった。

フィクションはフィクション。

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