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そう
2020年10月26日 10:43
湖畔のガソリンスタンド。薄暗い店内から非常灯の明かりだけが漏れている。その明かりが天井からぶら下がる給油用の管をうす気味悪く浮かび上がらせている中で、ギターをしょって座っているのが俺だ。そうこうしている内にベースをしょった友人・ケーゴがやってきた。来るなり「タバコ」とぶっきらぼうに言うのにムッとしながらも1本差しだす。長髪、学ラン、タバコ、ベースとはたから見たら完全なる不良だが、根は真面目な奴で
2020年10月21日 18:40
隣を歩く彼は背が高く足がすらっと長い。私の歩幅に合わせようとはしてくれているが、それでも少し私は早歩き気味になっている。たしかに、私は歩幅は小さい。しかし普段は遅いということもない。つまり今日は特殊ケースであり、その要因は普段履かないフワッとしたスカートと少し高めのヒールである。 彼は高校の同級生で同じ大学へ進学した仲である。そして同時に親友の彼氏でもある。さらに言えば、二人をつなげたのは言
2020年10月19日 13:08
アパートの6畳間、私は煙草に火をつけてプカプカと煙を吐く。唸る車のエンジン音が聞こえる度に、少しドキッとするようになったのはいつからだろうか。本当は最近引っ越してきたヤンチャなお兄ちゃんの車だと知っているけれども。もちろんあの人のエンジン音は、もっと低く独特な音だったことも。先ほど吐いた煙を指でつかもうとするけど、スルスルと流れに乗って煙は消えていく。残るのはマルボロの匂いだけである。一方、彼女