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『大きな熊が来る前に、おやすみ。』/読書感想文(2022上半期5冊その3)

2022年上半期に読んだ本の中で、好きだった本を5冊選んで、書いています。

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本日は3冊目。
島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ。』

短編小説が3つ入っている本作。
恋愛小説です。

島本理生さんの作品を読むのは、
記憶の限り初めてだったのですが、文章自体も物語もすごく好きでした。


『大きな熊が来る前に、おやすみ。』句読点を伴うタイトルは珍しいなと思います。
文章が発音された時の音や、流れ、区切り、余韻を大事にされているのかなと読む前に思いました。

たしかに語り口は清らかでなめらかで、美しい。
スラスラと読めるのに、余韻が残る不思議な文章です。とてもとても好きでした。


登場人物は、
内面に誰もが覚えのある、人間の暗い部分や寂しい部分をより色濃く映しています。

純粋にこの人が好き!と漫画の中の人物を語るように推すことはできません。

けれど、それがまたリアルです。
普段は友人であっても、決して明かされない他人の深部を小説を読みながら体験しているような気持ちになります。

私、徹平のことは好きだけど、そういうふうにエネルギーのある愛情じゃなくて、自分から真っ暗な深い穴に潜っていくような気持で毎日過ごしているんです。

島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ。』
大きな熊が来る前に、おやすみ。 より

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561字

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