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《ショートショート集》

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傑作間違いなしのショートショート集です。たまに傑作以外も混じっています。探してみてください。
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2022年11月の記事一覧

【ショートショート】「みちあんないするカーナビ」(5,269字)

「面白いカーナビ買ったからドライブ行こうぜ」  大学の同級生である紅葉谷の誘いを受け、俺…

8

【ショートショート】「家族会議は踊る」(4,879字)

 いつもの食卓。いつもと違うところと言えば、机の上に四冊の日記帳が並んでいるとことくらい…

4

【ショートショート】「2Pカラーの僕」(4,172字)

 ある日、朝起きると2Pカラーの僕がいた。  2Pカラーというのは、二人以上でゲームをプレ…

6

【ショートショート】「異人交流譚」(4,361字)

 彼に初めて出会ったのは住処の近くの川のふもとだった。  山の中腹にあり、あまり人が寄る…

3

【ショートショート】「ザ・ゲームブック~未知の惑星からの脱出~」《1ページ》

 不時着した宇宙船DM2052——通称トイボックスは航行不可能な状況であった。  地球か…

1

【ショートショート】「『思考室』の殺人」(1,933字)

 その部屋には『思考室』という名前が付けられていた。  思考室の中には白衣を着た女が一人…

6

【ショートショート】「あなたのこと知ってます!」(3,721字)

「私、あなたのこと知ってます!」 「は? あんた誰だよ」  俺はスマートフォンから聞える女性の声に向けて問いかけた。朝から変な電話をかけてくる奴がいたものだ。スマートフォンの画面には非通知と表示されていた。 「あなた、二年前に私の会社の運用資金三百万円を持ち逃げした元社員の田中さんでしょう。しらばっくれたって、こっちには分かってるんですよ。二百万円に利子とかナントカその他諸々つけて四百五十万円。きっちりと払ってください!」  いきなりなんなのだ。俺は恐ろしくなって電話を

【ショートショート】「2人いる!」(1,755字)

 小型宇宙船U-507号は天の川銀河の最果ての星まで到達し、人類初とされる地球外生命体と…

2

【ショートショート】「鼻歌の響く美術館」(5,403字)

 私が意識らしきものを持ったのは、ちょうど私のおかあさんによって私の右眼が描かれたころで…

7

【ショートショート】「第七原稿用紙彷徨」(小説宝石からの挑戦状(テーマ『土壇場』…

 マズいことになった。  時計を見ると八月十七日の午前二時すぎ。どう計算しても締切まであ…

7

【ショートショート】「宇宙人たちのいるところ」(5,570字)

 ともだちになった宇宙人が人を食べていた。  その宇宙人は工業団地のはずれにある空き地に…

3

【ショートショート】「田中と佐藤のプレゼント大戦争」(2,393字)

 地球滅亡の原因は一通のラブレターにあると言って差し支えなかった。  幼なじみである田中…

5

【ショートショート】「革命を目指す文章屋」(5,782字)

 ヨハンは小さいころから作文が上手いと言われてきた。  物心ついたころから、ヨハンが書く…

7

【毎週ショートショートnote】「立方体の思い出」(410字)

「コロナの影響で今年の修学旅行の行き先は京都から立方体に変更になりました」  先生の言葉を聞いた生徒たちからはいっせいにブーイングが上がった。 「先生だって金閣寺見たかったわよ。でも職員会議で感染リスクが少ない場所について話し合ってたら、立方体くらいしか残らなくて……」  納得はできなかったが、中止よりはマシかと生徒たちはその一月後に立方体に向けて出発した。  立方体では本当に辺が直角か測ったり、辺の数が十二個であるか数えたりして過ごした。  田中が分度器を忘れてきた