52ヘルツのくじらたち 読書感想

泣きながら、一気読みしてしまいました。(半日で読んだ)


私は幸せな家庭で幸せに育って大人になったし、守られた世界にいたから、たぶん52ヘルツのくじらたちは身近にいなかったように思っている。
もしかしたらいたのかもしれないけれど、もしそうだとしたら私は52ヘルツのくじらたちの声を聞くことができなかった。

52ヘルツで鳴くくじらたちの声は、他のくじらたちと周波数が違うから、誰の耳にも届かない。
例えば虐待。身体的虐待。心理的虐待。ネグレクト。助けを必死で求めても誰にも届かずに、苦しんで毎日を必死で生きている人たち。

まれにいるその声を聞ける人たちは、聞ける能力があることで、もしかしたらそれはそれで苦しみを背負って生きているのかもしれない。

私には52ヘルツのくじらたちの声を聞く能力はないかもしれないけれど、聞こうとすること、アンテナを張ることはできる。
それはこの物語を読んで初めて、こういう声を上げている人たちのことを少し身近に感じられたからだと思う。

キナコ
52
アンさん


ここに出てくる人たちの人生はそれぞれがとんでもなく辛く苦しいけれど、読者がそれを背負うことを筆者は望んでいないはずだ。
だって、読み終えた今、こんなにも、心震える涙が流れているから。

生きよう

生きていれば、今日とは違うことが起きる

生きていれば、ある日、第二の人生が始まるかもしれない。
街で目が合ったその人が、魂の番(つがい)かもしれない。
その時に別の人生を歩む人は、私の人生の登場人物となる。

人に自分が読んだ本を勧めるのは、なんだか心の内を見られるようで恥ずかしいし、 

全く感性が違うと、この本のなにが良かったの?となるのも嫌で

あまり人と本をシェアすることなくブックオフに持って行ってしまうことが多いのですが、久しぶりに、人に勧めたくなる本でした。
まずは友達に読んでもらおう。

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