とりかえばや

 ぼくは地球を取り替えたい。「世界を変えたい」と思っている人は多くいるだろうけど、どんな変化も結局は地球まるごとを取り替えることだ。大規模な変化も小規模な変化も、別々の並行現実、別の異なる地球を表す。
 世界を変えるという場合、根本的なシステムの変化とか理想の社会を実現するとか、たいていは現在との大規模な違いを想定しているよね。ぼくにも思い描いているそれがある。でも、一度の人生でどこまで実現できるのかが疑問だった。目的をもって活動したり特定の仕事に就いたりしても、物理的なアプローチでは限界があると感じていた。だから、現実の裏側から変えていくのがいいと思ったのだ。見えるところじゃなく見えないところから。

 着々と、目的に沿ってぼくは自分の心を変えていった。意識の使い方を訓練して変えた。ぼくの世界を理想の地球に変えるために。というと聞こえがいいかもしれないが、要は、そのまんまの地球ではぼくには水が合わないと結論付けたからだ。それなりに様々にトライはしたけど正直な話、そこで生きていたいと積極的に思えなかった。かといってSFか何かのように、地球外の宇宙船がある日突然やってきて「故郷に帰ろう」と連れて行ってくれるわけでもない。むしろぼくは、ここでやることをやるように応援されている風だった。あ、つまり彼ら――地球で暮らしていない仲間たち――の存在は感じてるんだ。このへん、ぼくには常識。表立ってそんなことを言わない人も含めたら、同じ常識を共有している人は相当数いるはずだと踏んでいる。

 あなたが悲しいと世界は悲しみの色になる。あなたが幸せだと世界は幸せの色になる。気分の問題と捉えられる傾向があるけれど、これはれっきとした物理法則だ。ぼくの地球をどんな地球にしたいかがわかったら、ぼくは自分の心をその地球と共鳴し合う心に変える。これがスムーズにできるようになるまで、丁寧にかなりの年月をかけた。でないと、外に見える世界につられるからだ。経験したもの、見えたものに反応し、一緒に悲しくなり、憤り、なんてしていたら永遠に世界を変えられない。自己再生しているようなものだからな。だから訓練が必要なんだ。裏側からのアプローチ、見えないところから変えると言った通りだ。心が世界を決める。見えないところが見えるところを決定していると肝に銘じる。

 外の状況によって内の状態を決めてしまうという逆転したサイクルがとうとう正常化し、生きたい世界を生きる基盤が整った手応えを感じたぼくは、理想の地球に取り替えるためのさらなるスピードアップを考えた。この人生でできることの中間地点までは来た感触があるが、これでゴールではない。残りはけっこうハイペースでやっていく必要があると感じた。あせりとかではなくて目算で、まだまだプログラムがありそうなんだ。ベストを尽くしておいて悪いことはないだろ?
 そこでぼくの心に浮かんだこと――望む地球に生きるための、これ以上に実行できる効果的な方法とは、以下の通りだった。

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