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いつまで続く?コロナ禍における「自粛警察」企業で必要な炎上対策とは

こんばんは!デジタル・クライシス総合研究所です。

オリンピック・パラリンピックも終了し、どこか浮足立っていた世の中も通常の状態に戻りつつあります。

さらにコロナの新規感染者は後を絶たず、新たな変異株が見つかるなど依然として油断できない状況が続いている昨今。
そのような鬱々としたコロナ禍に伴い、人々の心理状態も随分と複雑化してきました。

普段であれば理性が働いてストップをかけられたことでも、コロナ禍の先行きが見えない不安やストレスから、突発的な行動発言をしてしまう方や、普段以上に反応が過敏になってしまう方が増加し、より炎上しやすい状況となっているのです。

今回話題に挙げる「自粛警察」もその影響を受けた事象の1つと言えます。

そして、このような特殊な環境下だからこそ、企業や店舗ごとでの炎上予防・対策、危機管理体制の構築が重要になります。

今回は改めて、自粛警察とは何か、実際の事例や傾向、企業が気をつけるベきポイントについてまとめてまいりますので、企業活動において炎上対策を講じる際などに、少しでもお役に立てれば幸いです。

直近の炎上件数と傾向

まず初めに、弊研究所で毎月調査を行っております炎上事案分析データを元に、直近の炎上件数や傾向について見ていきましょう。

直近8月の炎上件数は全体で144件
7月の125件と比べ、やや増加傾向にあることがわかりました。
なお、炎上の主体(炎上を引き起こした人物)の内訳は「著名人」53件(36.8%)「法人等」51件(35.4%)「一般人」40件(27.8%)という結果になりました。

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では、実際にどのような内容の炎上が多く発生していたのでしょうか。
以下の結果を見てみると、その他を除きコロナ関連での炎上件数が多いことがわかります。

コロナ関連については誰しも無関係ではいられませんし、現代においては関心度の高いトピックスであることは間違いないでしょう。また、自粛によるストレスも相まって、コロナ関連のニュースや投稿に対し、過敏に反応してしまう方も多くいるのではないでしょうか。

コロナ関連以外も炎上の原因はさまざまですが、現在の状況や時代の流れにより人々の心理状態は複雑化してきているため、今まで以上に炎上が起きやすい状況が続いているのは確かです。

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8月に行った調査媒体(Twitter・Facebookなどの主要SNSをはじめYahoo! ニュース・アメブロ・Fc2 ブログ・Yahoo! 知恵袋・2ちゃんねる)への投稿からは、「不謹慎狩り」や「自粛警察」などと呼ばれる事象の炎上は確認されていないものの、この一躍有名なワードとなった”自粛警察””不謹慎狩り”とは、そもそも一体何なのでしょうか。

自粛警察とは?

自粛警察とは、

行政による外出や営業などの自粛要請に応じない個人や商店などに対して、偏った正義感「自粛」というパワーワードを武器にして、まるで警察のように取り締まること・風潮。

を指しており、2011年東日本大震災の際に類似ワードである「不謹慎」という言葉が拡散され、2016年の熊本地震で「不謹慎狩り」、そして新型コロナウイルスによる「自粛警察」へ変遷したと言われています。

また、コロナ禍においては、自粛警察の他にも、コロナ自警団自粛自警団自粛ポリスなどさまざまな呼称が登場しました。

これらの風潮は、単に自粛を提案するというわけでなく、その行為や正義感がエスカレートし、企業への営業妨害となるケースも多数発生しており、一時は社会問題として取り上げられた非常に警戒すべき事象なのです。

実際に起きた自粛警察の事例

前述のとおり、個人でSNSを利用するときだけでなく、企業にとっても警戒をしていきたい自粛警察ですが、実際にどのような影響があったのでしょうか。
事例について、いくつか見ていきたいと思います。

サザエさん
昨年、国民的アニメである「サザエさん」でGWに家族と出かけるエピソードが放映された際に、

GWに出掛ける話なんてサザエさん不謹慎過ぎ!
他の話に差し替えられなかったのか?

など、複数の批判コメントがTwitterへ投稿されるという事象が発生した事例です。

しかしその中には、「現実とアニメを混同するな!」「自粛生活しているサザエさん一家を誰が見たいのか」など、行き過ぎた批判をいさめるコメントも多く投稿されていましたが、人々の記憶には「サザエさんが炎上した」という印象が強く刻まれてしまったのではないでしょうか。

例えば、投稿された批判が少数派の意見だったとしても、一度このような意見を取り上げられてしまえば、大衆にこの企業や商品・サービスは炎上したと記憶され、ブランドイメージの低下につながってしまう場合もあります。

■大阪・プロレス団体立ち上げによる被害
2021年4月、大阪市居住のAさんが所有するマンションに誹謗中傷の張り紙が大量に貼られ、さらに共用部に生ゴミを置かれる・鍵を壊されるなどの被害を受けた事例です。

張り紙には、「アホ」「キエロ」などAさんを中傷する言葉が書かれており、発見時は100枚近く貼られており、これはプロレスラーであるAさんが、2021年1月の緊急事態宣言下に新たなプロレス団体を立ち上げたのが原因ではないかと考えられています。

そして、この被害はAさんだけに留まらず、関係のない同マンション1階にある飲食店に対する嫌がらせ行為も発覚したのです。

残念ながら、このように想定していない損害を被る可能性がどの企業や個人においてもあり、企業活動を行う上では特に、可能な限り有事の際の対応マニュアルの作成や、危機管理体制の構築や定期的な見直しをおすすめいたします。

■県外ナンバーへの危険運転
神奈川県の県道で、約2.7 kmという長距離にわたって他県ナンバーの車にあおり運転を行い、容疑者が書類送検された事例です。

警察の調べに容疑者は「残業が続いて疲れていた。コロナ禍なのに、県外ナンバーの車だったのでイライラしてやってしまった」と供述したことがわかっており、消えたと言われている自粛警察や不謹慎狩りが、どのタイミングで再度姿を表すか予想できないということがわかります。

企業で行うべき対策とは?

では、その予想できない自粛警察や不謹慎狩りからの攻撃や、その他の炎上も含め、企業は何をポイントにリスク管理をすべきなのでしょうか。
弊研究所は「炎上」リスクを最小限に抑えるため、キャンペーンなどのプロモーションやSNSでの発信をおこなう際、以下3点の実施をおすすめしています。

■社内外におけるリスクチェック体制の構築
企業として何かを発信する際は、可能な限り多方面(さまざまな部署・年齢・性別など)からのチェック体制の構築をおすすめします。
また、コロナ禍において「3密を避ける」「新しい生活様式」を前提としたプロモーションリスクを考え対策を講じることも、炎上リスクを抑えられる1つの策になります。

【例】コロナリスクチェック表を作成、部署を跨いだWチェック体制、外部へWチェックを依頼する、など

■他事例を分析し、自社対応に取り入れる
過去の事例を分析することで、炎上しやすいカテゴリや傾向を把握することが可能になります。さらにそのデータを元に自社対応(企画・クリエイティブチェック、SNS運用など)をおこなうことで、炎上リスクの低減に繋げられます。
【例】ソーシャルリスニングツールを活用しトレンドに関する反応を調査する、過去の事例や他社事例分析を行う、など

■必ず外部専門家の意見を取り入れる
自社のみの判断で誤った対応をおこない、炎上または二次炎上をさせてしまった企業は少なくありません。
また、自社内でのチェックをどれだけ慎重にやっていたとしても、全ての最新情報を網羅することには限界があり、さらにリスク対策の重要性を理解していたとしても、現場のリソースをあまり割けないという企業も多くいらっしゃるかと思います。
そのような場合、外部の専門家を頼る、意見を取り入れるというのも1つの手です。
外部への発注を行えば現場のリソースが最適化され現場に余裕が生まれたり、専門家の情報を入手することができれば、社内で知り得なかった情報を知り、より高度なリスク対策や予防を行うことが可能になります。
そうしたことで社内では埋められないような小さなリスクも
【例】外部専門家を雇う、チェックやモニタリング調査を委託する、専門家の本や記事を読む、など

まとめ

今回は、コロナ禍で姿を表した自粛警察について主に取り上げましたが、収まったように見えてどのタイミングで再度姿を表すかが予測できないということもあり、まだまだ油断できない状況が続くと考えられます。

また、自粛警察のターゲットは店舗や会社のみならず個人にまで及んでいることや、さらに人々の心理状態が複雑化しいつどこで炎上が起きても不思議ではない状況であることから、企業や著名人の方はもちろんのこと、個人のSNS利用についてもリスクを考えた利用をおすすめいたします。

その中でも、企業の炎上は現場の混乱を招き、想定以上の業務圧迫と損害を被るケースが多く、さらにその一瞬だけでなく、炎上した企業として人々の記憶に残り続けることで半永久的なブランドイメージの低下につながってしまう可能性もあるのです。

そこで弊研究所では、企業の危機管理体制をより強固なものにすべく、広報担当者や危機管理部門担当者などに向けて、最新の炎上傾向を調査・分析し、お知らせしています。
その時期やタイミングによって炎上の傾向というものが変わるため、月に1回炎上研究レポートの配信や、会員企業向けの炎上事例勉強会を行なっています。
その勉強会で得たケーススタディを自社のリスク対策に活かしていただくことで、より強固な危機管理体制の構築ができるかと思いますので、もしご興味をお持ちいただけた方がいらっしゃいましたら、HPのお問い合わせやフォームからお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。

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