見出し画像

富士ヒルクライム挑戦記 2024(中咽頭がん 肺転移ステージ4)

2024年6月2日 富士ヒルクライムに挑戦してきました
今回は治療のお話ではなく、趣味のロードバイクについて綴らせていただきます。ご容赦ください😁

2023年に中咽頭がんを患ってから初めての本格的自転車レースへの参戦。
思うところも多く、とりとめもない文章ですが、記録に残させていただきます。


自己紹介です

富士ヒルクライムの記事のタグでご覧いただいている方もいらっしゃると思いますので、簡単に自己紹介を

レース当日 2024年6月2日時点 56歳 今年10月で57歳になるアラ還男です。
身長 183cm(30代ころまでは185cmはあったのに2cm縮みました😅)
体重 平時 67kg位
愛知県在住、東京出身 盆と正月、GWは東京周辺を走っています
20代後半にトライアスロンにはまり、それがきっかけで自転車を始めました。トライアスロンはここ10年ほどほぼお休み中。自転車のヒルクライムイベントとマラソンにゆるく出場するような感じがしばらく続いています。

富士ヒルクライムとは?

「ヒルクライム」とはその名の通り、坂を上るという意味で、富士スバルラインの上り坂を五合目まで自転車で走ります。そして、この富士ヒルクライム(略して富士ヒル)は、アマチュアのホビーライダーが約9000人参加する日本最大級の自転車イベントです。

私自身、ヒルクライムのイベント自体は昔から参加していたのですが、この富士ヒルに関しては、2年前の2022年が初参加でした。
富士ヒルの人気・規模や盛り上がりは認識していたのですが、なかなかスケジュールが合わず、参加できずにいました。

そして、コロナが落ち着き始めた頃、2022年6月、54歳で初参加
その時、自分比では練習が積めていて、75分切りのシルバーリング獲得を目指して挑戦しましたが、結果は76分55秒。。約2分足りずに涙を呑みまし
た。(シルバーリングってなに?って方は以下リンクを参照ください!)

初めて参加して、雰囲気、盛り上がり、参加している皆さんの熱い想いをSNSなどを通じてひしひしと感じ、このイベントが大好きになりました。
そして、絶対にまた来年参加してリベンジすることを誓ったのです。

しかし、2023年3月、中咽頭がんであることが発覚。治療のためやむなくDNSに。。
仲間がスバルライン五合目まで、ゼッケンを届けてくれました😭😭

2023年の富士ヒル 仲間が五合目までゼッケンを届けてくれました!!ありがとう!!😭😭

病気のこと

先述の通り、2023年2月に中咽頭がんがみつかりました。
すでに、富士ヒルやほかのヒルクライムレースも申し込んだ後のことです。。
それまで、周囲からは運動が趣味の健康がとりえの元気なオッサンとして認知されていて、自分でもそう思っていました。
アルコール成分は多めなものの😅たばこは大嫌いだし、早寝早起き、食事も三食バランスよく、人間ドックでも異常なしだったのです。
ところが、突然病魔に襲われました。そういうものなんでしょう。
ほんと、みなさんも気を付けてくださいね。

6月から治療を開始
治療方法は「陽子線と抗がん剤の併用治療」です。
35回の陽子線治療と2クールの抗がん剤治療での入院。
7月いっぱい約2ヶ月続いた治療は副作用もあり、辛いことも多かったですが、無事に終了。

がんに罹ると、手術や治療後、そのがんが発生した部分(原発巣と呼びます)の再発や遠隔部位への転移がないかを、およそ5年間の経過観察があります。具体的には、定期的な診察と、CTやMRIでの画像診断を行います。

そして、2024年1月末、肺への転移が見つかってしまい、がんのステージは4となってしまいました。

病気について詳しくはnoteに記載していますので、もしご興味のある方はご覧いただけますと幸いです😌

富士ヒル挑戦までの経緯

7月までの「陽子線と抗がん剤の併用治療」終了後、しばらくは副作用の首の皮膚のただれやひどい口内炎で水を飲んでも口の中がしみて痛むため、練習は再開できませんでした。
暑い夏でしたが、天気の良い日には、抜けるような青空を眺めながら「早く自転車に乗りたい!!」という気持ちがうずうずとしていたのを憶えています。

9月ころから、副作用もだいぶ治まり、練習を再開。
しかし、年齢が年齢だけに衰えた体力を戻すのは容易ではなく(同年代の方はご理解いただけるはず😆)厳しい現実と向き合う事に。
時間を掛けて戻すしかありません。
ちなみに治療の副作用で唾液がほとんど出なくなってしまい、すぐに口の中がカラカラになるので、練習中の水分補給はそれまでの倍以上になりました!(これは身体にはいいのかも?😆)

そんな中、通勤中に通勤用のMTBで転んであばら骨にひびが入り、しばらく練習が出来なかったり、車で事故にあい、今度は反対側のあばらを痛め、またしばらく練習が出来なかったり。。
全然思うようにパフォーマンスは上がりません。。
自分の不注意でのケガしていて、救いようがありませんが、その時の気持ち的には
「これは、自分には死神が張り付いていて、隙があればあちらへ連れて行こうとしているに違いない。でも、がんも治療できて、ケガもこれくらいで済んでいるのは紙一重、死神を出し抜いているんだ。なにか大きな力に守られているに違いない。」
などと、自分勝手なストーリーを作り上げていました😅
でも、だからこそ、より一層注意深く気を付けながら、今元気でいられることに感謝して、目一杯人生を楽しまないと!と前向きに練習に取り組もう!!とも思うことができました。

ケガをしたのは11月と12月。9月から10月に積み上げたCTL(練習の積み上げによる基礎体力の指標)は年末には大幅に下がってしまいました。
ここから計画的に再構築するしかありません!
1月と2月はしっかりとベース作りを。2月は月間2000kmを目標としました。
そして、3月、4月はSST(レース強度より少し弱め)の積み上げ。
5月は高強度インターバル取り入れながら最後の調整。
という大まかな計画を立て、練習を重ねていました。

そんなさ中、2024年1月末、肺への転移が見つかります。。
正直、かなりショックを受け、動揺し、今年も富士ヒルは無理かも。。いや、もう自転車にも乗れないのかな??と絶望もしました。
しかし、不思議とその事実を受け入れて
「なってしまったものは仕方ない。できることを精一杯やって、前に進むしかない。
悲観してうなだれていたところで何も変わらないし、ヒーローが助けに来てくれるわけじゃない」
と考える自分がいて、
肺転移の治療方針を徹底的に調べ、自分で選択した治療を進めながら、出来ることをやるしかない。
という気持ちの切り替えは早かったように思います。

治療は免疫チェックポイント阻害薬(広義の抗がん剤の一種)での治療を選択しました。
2月21日から治療開始。
治療開始直後は副作用の一種の痛みが出てしまい、練習ができない時期がしばらくありましたが、痛み止めのカロナールを飲めばZWIFTで軽いワークアウトなら出来る事を発見!!😃
騙し騙し練習を重ねます。
2月の練習量は残念ながら1,500kmにとどまり、目標は未達となりました。😢

その後、できる範囲での練習は重ねていましたが、4月に入った頃のパフォーマンスの状況はブロンズ(90分切り)が取れれば御の字といった感じで、不甲斐ないにもほどがある、と悲しい気持ちでした。

そんなさなか、4月13日、今シーズン2度目の地元愛知のよく行く峠である「大多賀峠」でのTT(タイムトライアル)の感触が良く、これはもしかしたら、このまま順調に調子があがれば、シルバーに挑戦できるレベルまで回復できるかも?と思えるようになりました。

大多賀峠 豊田の山奥にあります

今年の10月に57歳になるという年齢と、病気の治療中であるという事を念頭に、疲労のマネジメントと栄養バランスには気を使い、様々な情報をあさりつつ、練習を重ねました。

自転車のヒルクライムはパワーウェイトレシオという数値が高いほど早く走れます。
これは、自転車のべダルを漕ぐ力(ワット数で表します。よく自転車をこいで電気を点ける実験とかしてますよね)の1時間維持できる最大のワット数(これをFTPと言います)を体重で割った数値です。
そして、富士ヒルのシルバー獲得の目安のパワーウェイトレシオは4.0~4.2w/kgと言われています。
2022年の挑戦時の私のFTPは271W(ワット)で体重が65kgでしたので、パワーウェイトレシオは4.17w/kgとシルバー獲得圏内でした。(獲得できなかったけど😅)
今年は、FTPはそこまで戻らず、最終的に258Wでした。これは加齢よる衰えなのか、病気が関係あるのか、単なる積み上げ不足か。。それはわかりません。。
ただ、今年は体重が2年前よりも軽い。63kgなので、FTPは低くても、パワーウェイトレシオは4.1w/kgです。シルバー圏内です!!
体重は昨年の治療で急激に減ってから、少ししか戻っていないことが要因です。あまり良いことではないのですが、ちゃんと食事はできていますし、元気なので、自転車乗りとしてはウェルカムという事にしています😆

練習している峠のタイムもシルバー獲得ギリギリ位のレベルまで上げる事が出来ました。

一時はあきらめかけた富士ヒルシルバー獲得
なんとか挑戦権を得るまでにはパフォーマンスを整えることが出来たと思います。

富士ヒル本番へ向けての準備

パフォーマンスレベルはシルバーギリギリです
いかに、本番に調子を合わせられるか、上手に走ることができるか、という事が重要になります。
Youtubeにアップしてくれている様々な富士ヒル対策や走行動画をZWIFTをしながら見まくって予習しました。
その中で、自身の試走時のタイムと近くて、すでに2度もシルバーを獲得しているYoutuber「なすぴー」さんの動画を特に参考にさせていただきました。
私が練習で通っている愛知の大多賀峠のTTタイムもほぼ同じなので、非常に親近感を覚えました。
なすぴーさんがシルバー獲得できているのだから、自分も大丈夫なはず!!と言い聞かせていました。(20歳も年齢差があるのにあつかましい😅)

このなすぴーさんの動画を参考にさせていただきました!
富士ヒルはヒルクライムイベントの中では比較的平均勾配が緩めで、トレインという集団走行で風の抵抗を少なくすることのメリットが大きく、自分と同じレベルのペースの集団に上手く乗れることが目標達成のカギとなります。
もちろん、力がある方は単独でも余裕で走れるのでしょうが、私の実力では、このトレインのメリットを最大限享受することが重要です。
当日に良い集団に恵まれることを祈るしかありません。

また、自分が今走っているペースを把握することも目標達成には重要です。これもなすぴーさんが非常によいペース配分表を作成してくれていましたので、参考にさせていただきました!有料ですが、たった200円でこの情報を買えるのは安いものです!!
私は、自分の目標だけでなく、仲間のペース表も作成し、みんなの自転車にも貼り付けてもらいました!

あとは、自転車をしっかりと整備し、不要な保安部品を外し少しでも軽量化を図りました。

機材
フレーム:SPECIALIZED S-works tarmacSL7 サイズ58 
ホイール:ROVAL rapide CLX50
タイヤ:Panaracer AGILEST LIGHT 25C
チューブ:REVOLOOP RACE ULTRA
コンポーネント:DURA-ACE R9200セット

自身の軽量化は2週間前から脂肪カットメニューを心がけ、約1kgは減らせたと思います。
自転車重量 7kg 体重 63kg 
で本番に臨むこととなります。

前日からスタート前まで

前日は仲間と一緒に愛知から車で移動。お昼ご飯の吉田のうどんを楽しみに♬吉田うどんのお店で、宇都宮に住んでいる仲間も合流。

吉田のうどん🎵美味しいんだなー

うどんを堪能し、受付へ
受付では、「あれ?Tシャツ引換券がある。みんなは?」と宇都宮のM村。
それはお前が申し込んだからだろう。おかしなやつだ。さっさともらって来い。
「なんか、微妙なデザイン」とM村
いや、事前にデザイン公開されていたし、結構有名で人気のイラストレーターだし。。なんともとぼけたやつである。
そんなこんなで受付を済ませ、下山荷物を預けてからサイクルEXPOを楽しみます。お目当てのACTIVIKEでスピードウォーターとスピードジェルを購入。

前日のサイクルEXPOは非常に良い天気で、太陽が照り付けると暑い。。なのに、翌日の天気予報は雨。。おそらく参加の皆さん全員が「なんでだよ!」と思っていたはずです。
EXPOの各ブースでは翌日の雨を見越して雨対策グッズが前面でアピールされています。鬱。。
でも、soft99でサングラスの雨粒をなくすスプレーを購入。対策はしっかりと準備します。
対策をきちんとすればするほど、かえって雨は降らない、という説を信じて。
ゆっくりとEXPOを堪能し、立ち寄り温泉でまったりしてから宿にチェックイン。自転車を組み立て、ゼッケンをつけたりしてから、早めの夕食へ。
夕食はこれもここに来たら外せないほうとうをいただきました。旨かった♬

なめこほうとう🎵おいちい😋


と、ここで、大変参考にさせていただき、勝手に親近感を覚えさせていただいているYoutuberなすぴーさんに遭遇!!思わず一緒に写真を撮らせていただきました!!その節はありがとうございました!!

なすぴーさんと!!😎

宿に戻る途中、明日の下山の防寒のためにカイロを購入。
事前に口を酸っぱくして、下山の寒さについて伝えましたが、私の仲間は人の話を聞かない奴ばかり。手袋さえ持ってきていない奴がいる始末。。
直前になって不安を覚えたH川のご所望で購入することになりました。宿の近くのドラッグストアで無事ゲット。

宿に戻ってから、飲み足りない仲間は2次会。私は一滴も飲まず。
明日の出発の時間のすり合わせをします。
私「選抜のスタートが6:30、開会式が6:15 ここから自走で30分位だから、それに合わせて5:45位に出発。4時には起床だね」
M村「スタート7:10なのに、6:15着!?スタートまでなにしてるの?寒いよー。しかも開会式って、そんなの考えたこともない🤣🤣」
・・・まったく緊張感のない男だ。こちらのこのレースに賭ける意気込みなど微塵も考慮しない暴言。。昨年五合目までゼッケンを届けてくれた大切な仲間とは思えん。と、少し機嫌を損ねましたが、いや、こんな奴のために心を乱されてはいけない。いままで積み上げたことだけを考えるんだオレ。と冷静になりました。
私「会場についてから並んだり、トイレに行くやつがいたりもする。いいから5:45出発だ」
M村「(しぶしぶ)はーい」
このM村が当日直前にトイレに並び、スタート招集ギリギリになるのであった。。

2次会は8時には切り上げ就寝

過去の経験を踏まえ、よく眠れるように耳栓を準備してきた私。
これは当たった、よく眠れたし、起床時の体調も万全。近頃のGARMINの睡眠履歴の中でも優秀な睡眠スコア80をマーク。
心配された雨も止んでいる。予報もレース中に降雨はなさそう。
これはイケる!!

朝食はおにぎり3個とみそ汁、納豆、バナナ1本、ヨーグルト、野菜ジュースとコーヒー1杯
仲間のM山とH川は昨年の富士ヒルからサトウのご飯にカレーを掛けて食べるのにはまっており、今回もそのメニュー。
前日の買い出しで、私がおにぎりだけにする、というと「えー、カレーにしないの?美味しいのに」とカレーを勧めてくるが、丁重にお断りした。そんな重たいものをレースの直前に食べる胃腸の強さは持ち合わせていない。しかもM山のごはんは大盛だ。納豆も2パック食べていた。ヒルクライム前の軽量化など彼の視野にはない。
そして、H川はゴール後うわごとのように「胃の中のカレーの存在感が凄い。。」とつぶやいていた。うんうん、そうだろうそうだろう。

朝5時代の外は寒かった。
出発は少し遅らせて6時とすることにして、準備を進めます。
食後のトイレもばっちりで、無事軽量化完了。
足にはイナーメCXアップオイルを、レインジェルを上半身と足にしっかりと塗り、全員のサングラスにsoft99のレインホッパーを施し、出発。
路面はウェットなので、安全第一でスタート地点の富士北麓公園へと向かいます。

途中、某強豪チームのジャージを纏う軍団を見かけ、その中のにある方を見つけ、興奮気味にお声掛けさせていただく。

私「もしかして、Nさんですか?Twitterフォローしています!」
Nさん「あ、そうです。ありがとうございます」
私「今日はシルバーペース何分目標ですか?」
Nさん「一緒の仲間みんなに絶対獲ってもらいたいので、ギリギリペースでいきます」
私「(願ってもないペース!!😃)つかせてもらってもいいですか!?」
Nさん「もちろん!このジャージを探してください!」

Twitterでフォローさせていただいている、某強豪チームのNさん。
この方はシルバー獲得請負人と呼ばれる方で、非常に精密なペース配分でトレインを回す職人と呼ばれているのです!!
実は、私は、事前に参加者リストで同じ第4ウェーブにNさんらしき方を見つけ、ゼッケン番号を覚えてたのです。(こう書くとストーカー味があって我ながら気色悪いですね😅)

トレインにつかせていただくことをご快諾いただき、不確定要素だった自分にあったペースの集団に乗れるか?という問題は解決です!!
あとは、今の自分の全てを出し切るだけ!!

富士北麓公園へ向かうまでの最後の信号で仲間と別れ、強度を上げてアップを行います。短い時間、距離ですが、最終的に心拍を150まで上げるようにして走ります。
スタート地点でも標高1000m程度あるので、やはり少し苦しい感じがしますが、調子はそれなりで、足の重さは感じません。あとは本番のアドレナリンが何とかしてくれるはず。

スタート30分前に、お饅頭1個とBOOSTSHOT(カフェイン飲料)を摂取。
ここでまたしてもM村が「クリートがハマらない。。」と騒ぎ出す。
クリートを確認すると、かなりへたっていて、一部ささくれていたので、そのささくれが主要因とみて、スタッフさんにハサミを借りて切除することに。「あ、なんとかハマッた」と笑顔を見せるM村。本当に緊張感のない男である。

第4ウェーブの招集が開始され、無事Nさんたちを発見。程近くに並ばせたいただく。
スタート直前に羊羹を一つ摂取。ボトルには前日購入したスピードウォーター。あ、スピードジェルを持ってくるのを忘れた。。

レース本番

いよいよ緊張のスタートです。
北麓公園からスタート地点まで約1kmは非常にゆっくりと進行。
Nさん率いる集団の後ろにつかせていただき進みます。有名な強豪チームの集団なので、ここに付こうとする方も多く、人が集まってきているのがわかります。
スタート地点を通過、職人Nさんの非常に安定したペースで順調に進みます。
私は先頭から7人目位の位置をキープ。私の前は某強豪チームメンバーの方々です。

熟練のトレインなので、声掛けも素晴らしく、斜面が緩む場面では「緩斜ー!!」と声がかかります。これは、緩斜面になると、トレインの先頭から順にスピードが上がり、集団が縦に延びてしまうので、後方の人が事前にスピードをあげてトレインから遅れないようにするための配慮なのです。
私も、それをまねて後方の方に伝えます。なんか勝手に一体感を感じて楽しいです。

ほかの集団をパスした際に、おーすごい集団!との声が。
私の後ろにも大勢が付いて大集団となっていた模様。

5km地点を通過。手元のペース表から約40秒ほどの遅れ。
10km地点を通過。約1分のビハインド。
あとからわかったことですが、今回は向かい風でコンディションはかなり悪かったようです。
でも、Nさんのトレインです。しっかりと、最後には合わせてくると思われ、終盤に上げなければならないやつだな。。と覚悟を決めます。
そして、大沢駐車場手前でNさんがドロップ。どうやら膝に故障を抱えていたようで、そんな状態でチームの皆さんをけん引するNさんの漢気に感動です!!😭
ここからチームの2名の方のローテでペースが上がります。私はスタートからずっとツキイチ。。(申し訳ないです)それでもキツイ。。
4合目を超え、山岳スプリット開始地点から斜度が上がります。集中して集団から遅れないようにペースを刻みます。サイコンを確認すると心拍数は148bpm。問題ない数値です。まだまだいける!しかし、体感的にはギリギリです。
山岳スプリット終了地点。ここから斜度が緩みます。ペースが上がるので集団の後方にいると不利なのですが、この時点で気が付くと集団の最後方になってしまっていました。ちょっと前まで大集団だったのに、かなり減っていたようです。
なんとかくらいつき着きます。ここで離されたらシルバー獲得は絶望的とわかっています。「出来る、出来る!行ける!」と自分に言い聞かせます。もう気合だけです、余裕のある時はフォームとか足の回し方に気をつかえていたのですが、もうこの時点ではまったくそんな余裕はありませんでした。
気持ちは前へ!まだ出来る!と思いながら、気が付くといつのまにか3車身ほど前から空いてしまっていました。そこから再度上げる事が出来ず、あっという間に集団は遠くへ。。

奥庭駐車場の500m手前当たり、残り約3km(内平坦2km)地点の出来事です。

赤丸の辺りで千切れてしまいました😭
画像はどなたかが作成して公開していただいていたものです。無断転用ご容赦ください🙇


後ろを見てもほかの集団もなく、ポツンと一人に。。
前に人はいるのですが、私のペースの方が早く、奥庭駐車場を過ぎた平坦も一人で走ることに。この時点で69分くらい。単独でここから6分以内でゴールする力は私にはありません。。
「あー、終わった。。」と全く力が入りません。
それでも、いままでの辛い練習を思い出し、ワークアウトではできたんだからできるはず!と気持ちを奮い立たせますが、足がついてきてくれません。非常にもどかしく、それでも精一杯ペダルを回し続けます。
最後まで後ろから来る集団は無く、そのまま単独でゴール。
なんとか自己ベスト更新はしたいと、最後は必死でしたが、全然スピードは上げられませんでした。。
それでも最後の上りでは脚が攣りそうになりましたが。。

結果は76分50秒
シルバーには1分50秒も届かず。。でもギリギリ自己ベストを5秒だけですが更新することはできました。

ご一緒させていただいたトレインのチームの方々は無事シルバーを獲得されたようです!!素晴らしいです!!おめでとうございます!
そして、ありがとうございました!!
ご一緒させていただかなければ、私は自己ベスト更新も叶わなかったと思います。感謝しかありません。
憧れのチームです。いつもみなさんのご活躍をSNSで拝見して、モチベーションをいただいています。代表のEさんもとても気さくな良い方で、こんなしがないおじさんにいつも優しく声をかけていただいて、年下の方ですが、憧れの方です。
ほんとうにありがとうございました!!

シルバーの夢は破れ、失意の中、仲間のゴールを待ちます。
今年、わがチームでのレースデビューの若手K作。大学時代、自転車部所属で、学連のレースを走っていたという経歴の持ち主。否が応でも期待が膨らみます。若いし、経験もあるので、目標はブロンズ!!
ゴールする姿をカメラに収めようと足早にゴール地点に戻ります。
ブロンズのペースならもうそろそろゴールするはずの時間をとうに過ぎてもやってきません。
もしかしたら、もうすでにゴールしてしまったのでは。。と頭をよぎります。
シャッターチャンスを逃さないように続々とゴールする選手の方々を注視します。だんだんおなかが減ってきて、ゴール後のご褒美のおやつを食べたいのですが、その瞬間にやってきたらマズイと思い、食べることができません。
しかし、遅い、何かトラブルか?と思い待っていましたが、ちょっと飽きてきて、おやつを食べることにしました😆(でも、ちゃんとゴールする人には注目しながら)
すると、M山がゴール!!カメラに向けて手を挙げてポーズをとります。
これは、2年前の富士ヒルのゴール地点で、私が同じくカメラを構えており、ねぎらいの言葉を掛けたにも関わらず、こちらを見向きもせずに通過したことを、
私「撮影する甲斐がない!なんだあの態度は!?」
M山「だって疲れてたんだもん」
私「ふざけるな!もう二度と撮ってやらないからな!!おれはいつも真っ先にゴールしちゃうから、撮ってもらえないんだぞ!」
と説教したことが効いているに違いありません。
ほどなくしてK作がゴール。全く生気がありません。
「お疲れ!よく頑張った!!」と声をかけていると、すぐにM村もゴール。僅差でした。
期待の新人はしょっぱいデビュー戦となりました。
でも、K作、君は伸び代しか無い!!とりあえず、大学の現役時代から増えた体重10kgをなんとかしなさい。
M村は結局クリートをうまくはめることができないままゴールしたらしい。え?下山危なくない?気を付けてね。
ほどなくしてH川もゴール。
「胃の中のカレーの存在感が。。」とつぶやいています。そうだよねー。

前日心配されていた天気ですが、五合目は好天!!富士山も見えました。

富士山を背に!!皆んな無事完走!!
左からM村、私、H川、K作、M山


シルバー獲得という夢はかないませんでしたが、自己ベスト更新、全員無事ゴールして、結果として天気にも恵まれました。
十分じゃないか。と。

仲間へも結果を報告し、下山後みんなで吉田うどんを食べながら
「シルバー獲得できなかったけど、病気とか色々あって、50後半にもなって、5秒だけだけど、自己ベスト更新できたんだから上出来たよ!」と自分で言いながら、涙が出てきました。
ちょっとしょっぱい吉田うどんでした。
去年五合目にゼッケンを届けてくれた、応援してくれている仲間のためにもシルバー獲得したかった。(本当は私が思うほど応援していないのかもしれないですが・・🤣)

ちょっとセンチメンタルな味がした吉田うどん

悔しかったけど、自己ベストは更新できました。
それに、富士ヒルに参加することができて、シルバー獲得に向けて挑戦できたことだけで、今の私には「生きてるだけで丸儲け!」大勝利です!!

まさかのがんの再発肺転移を受けて、一時は全てをあきらめかけました。
この病はもう治ることはありません。薬が効けば進行を抑えられて、症状が出ないで過ごせることもあるのですが、今はまだ薬が効いているかどうかも分かっていません。効果測定中です。
ですので、私は
「もう人生は残り少ない。だったら、身体が動くうちに好きなことを精一杯楽しもう」
と思っています。
(薬がめっちゃ効いて超長生きすることを信じて疑ってませんが!😆)

私は自転車が大好きです。
自転車で成長できたと感じる事ができる瞬間が大好きです。
凡人のおじさんの小さな小さな成長ですが、自分にとってはとっても大きな達成感なんです。
だから、日々少しづつでも、できる練習を積み上げる事にしました。
痛み止めを飲みながら練習し、徐々に体力を戻し、苦手だった短時間高強度インターバルトレーニング(HIIT)もこなせるようになり、峠のタイムも自己ベスト近くまで上げることができ、小さな成長を感じる事が出来ました。
それで得た今回の結果です。
今の全てを、精一杯を出し切ることはできたと思います。
そして、シルバーを獲得できなかったのは、また来年挑戦できるってことです。
ワクワクがまだ続くってことです。

治療をしっかりと行い、必ず来年リベンジします!!

その後、大多賀峠のタイムがほぼ同じのなすぴーさんが、自身の目標の72分を大幅に上回る70分台を達成したことを知り、凄い!!と思うと同時に自分が情けなく、あのトレインが遠ざかっていく景色が鮮明に思い出され、非常に悔しい気持ちがふつふつと湧いてきました。
なぜ、峠のタイムが同じでこんなに結果の差がでるんだ!?(だから20歳も歳がちがうんだって・・)
私は本番に弱いのか、距離が延びると後半に弱いのか。はたまた加齢のせいか。
加齢のせいにすると対策がなくなってしまうので、この先いろいろと練習を試し、積み上げて、来年の再チャレンジに向けて準備しようと思います!!🔥💪

最後に

長文駄文にお付き合いいただき、まことにありがとうございました。

4月に富士スバルラインの大沢駐車場で土砂崩れがあり、一時開催が危ぶまれましたが、実施に向けて尽力いただいた主催者、関係者の皆様、感謝の念にたえません。ありがとうございます。ほんとうに素晴らしいイベントです。
これからも、末永い開催、素晴らしい運営を期待しております!

いつも一緒に遊んでくれる仲間たちへ
こんなにわがままな人間に付き合ってくれて、支えてくれてありがとう。本当に感謝しています。でもこれからもわがまま放題させてもらうだけどな。🤣🤣
そして、M村、クリート交換しろよ。もしくは来年はフラペで出なさい。

今、私は元気です。
ステージ4のがん、という病でありながら、元気です。
一昔前ならおそらくもう病の床に伏しているとおもいます。
ここまで医療が発展した今に生きているという幸運。医療が受けられる場所にいる幸運。ささえてくれるたくさんの方がいる幸運。
全てに感謝を忘れずに。

生きている限り、身体が動く限り、これからも全力で、精一杯、楽しもうと思います!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?