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バナナを回収1117

動くな。
少しでも動いたらお腹が鳴る。
今日は帰路の電車で書き留めてみることにした。
でもやっぱりお腹が空いたなぁ。

電車にはとことん多種多様な人がいる。
角っこのおじさんはサッポロポテトつぶつぶベジタブルを貪り食べている。
少し分けて欲しいくらいだ。
斜めのお兄さんはスーツの上に羽織ったコートのフードを被っている。
子供なんだか大人なんだか。
かくいう私はお腹を鳴らしている。
周りのみんなはサッポロポテトを分けてもらえと思っているに違いない。

そんなこんなで今は食べ物にしか目がいかない。
先ほど私を抜かした車のダッシュボードの上には
仲間がいないバナナが寝っ転がっていた。
そういえば今朝最寄り駅に
バナナの皮が3本分ほど散っていたな。
みんなバナナ好きなんだ。
今日の発見は黄色かった。

そんな言葉を並べてから1時間半が経つ。
用事を済ませてまた電車のお世話になっている。

ふと気づいた時、仲間ができた気分になれたあの空腹はどこかへ行ってしまった。
今は空っぽしか残っていない。寂しい。
ふと気づいた時、何も残っていない自分がいた。
やっぱりご飯は食べないといけないな。

童心を忘れず我が道をゆく大人は
どこかへ消えてしまった。
今一緒に運ばれているみんなは
心を亡くしてしまった大人たち。

しょうがない、師走も近いしね。
年明けのハワイアンミュージック期待しといて。

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