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食べず眺めず日記

「デジタルデトックスをやってみようと思うから、今週末ツイート無くても気にせんといてね」と恋人に伝えたのが先週の木曜日。
でもこのnoteをパソコンを使って書いてる時点でデジタルの恩恵を受けまくっている次第なので、あの日わたしが言いたかったのは「SNS断ち」とでも呼ぶほうが正確だったなと今になって思っています。

自分でも自覚はあったんです。
ツイッターのトレンドをひらいて知らない人のつぶやきやらニュース記事へのリプライやらを延々と眺めるうちにびっくりするぐらいの時間が経っている事に驚かされたり。
インスタのおすすめ投稿をひらいたが最後、無尽蔵に湧き出てくる大量の写真を次から次へと眺める事にただただ時間を費やしたり。
昨年読んだアダム・オルターの著書『僕らはそれに抵抗できない』の影響もあって、こんな事じゃだめだよなと思いつつ、でも具体的な行動は起こさないままでした。

転機になってくれたのが、この記事のヘッダにもしているアンデシュ・ハンセン著の新潮新書『スマホ脳』を読んだことです。
SNSに脳の報酬中枢を煽る仕組みがある事に触れているのですが、その話題の中でフェイスブックの元副社長チャマス・パリハピティヤの言葉を引用しています。

「SNSが人々に与えた影響を悔いている」
「私たちが作り出したのは、短絡的なドーパミンを原動力にした、永遠に続くフィードバックのループだ。それが既存の社会機能を壊してしまった」

(本書には他にもスティーブ・ジョブズが自分の子供にiPadを触らせなかったエピソードなども登場するので、興味がある方は実際に読んでみてください)

実際に時間を吸い取られている自覚もあったので、この辺でちょっと本当にSNSを触らない時間を持ってみようと思ったわけです。
音沙汰がなくなる事でいらん心配をかけてしまいかねないこのご時世なので、あらかじめ予告をして。
そんなふうに過ごした三連休の日記です。


1日目(2021/1/9 土曜日)

もともとインドア派で家から一歩も外に出ずに過ごす事をおうち大好き人間の休日と呼んだりもしているのですが、この三連休は1日目と3日目をおうち大好き人間の休日として過ごそうと事前に決めてありました。
8日の金曜日もテレワークで自宅から出ずに過ごしてるので、2日目の日曜日は食材を買いに出たいなと思って。
休日をどう過ごすかは、出かける場所や読む本も含めて全部決めておきたい派なのです。そして決めた通りに過ごすのが好き。

この日は7時過ぎに起きて洗濯と部屋の掃除をして、恋人が言っていたのを見習ってスクワット50回をやったりもしました。しんどかった。
全部終わったあたりで8時過ぎ。
満を持してiPhoneの電源を切って、視界に入らないようにバッグの奥深くに入れました。
(スマホ本体が視界に入るだけでも集中力が削がれるという実験結果を、前述の『スマホ脳』で読んだのです)

とりあえずこの日は積読本の中からローン・フランク『闇の脳科学 完全な人間をつくる』を読みました。
普段はノンフィクションは出勤中の電車内で読むために取っておくけれど、これはなかなか厚みのある単行本なので持ち歩くのが大変だろうなと思って。
統合失調症やてんかん発作の患者に対する誠実な治療(行為は結果としてそう映らない部分もあるものの…)を行っていた人だとよく分かったので「完全な人間をつくる」なんていう邦題つけるの意味わかんないなと思ったものの、それに釣られて興味を持ったのも確かなので何も言えない。読みごたえがあって面白かったです。

普段おうちで本を読んでいると、例えば一章読み終わるとかトイレに行くために読むのを中断するとか、そういうタイミングでスマホを手に取ってツイッターをひらいてちょこちょこっと眺めてしまったり、という事をよくしていたんです。
実際これらのタイミングでスマホを手に取ろうとしている自分に何度も気付いて、その度に失笑したものでした。
だから気を紛らわす方法も考えましたよ。
8日の金曜日に届いた、大好きなプロレスラー・高橋ヒロム選手の直筆サイン本がいまわたしの手許にあるのです。スマホを手に取りたいと感じたら、これを開いてヒロム選手のサインを気が済むまで眺める。のびのびと勢いよく書かれた線にヒロムちゃんらしさをひしひしと感じ、ペンの擦れから伺えるリアルな筆致に幸せになり、満足したら本を閉じる。
おかげでこの日だけで多分10回はこの本ひらいてます。
代替物の必要性は『僕らはそれに抵抗できない』でも書いてあった重要なことなのだ。

ところでこの記事のタイトルを「食べず眺めず」としているわけですが、「眺めず」はまさしくSNSを眺める時間を減らす試みの事を指します。
そしてもうひとつ「食べず」
SNS断ちをするついでに、食べる量を減らす事もやってみようかなと思いまして。先日受けた健康診断で一年前と今の体重の違いに衝撃を受け、ちょっと本気で頑張ろうと心に決めたわけです。
運動もなかなか出来ず来月までは週3日テレワークゆえに動く機会が減る、それなのにいつも通り3食同じ量食べてて良いわけがないよなと。

なのでこの日は朝ごはんをホットのブラックコーヒーだけですませました。仕事だろうとお出かけだろうとおうち大好き人間の休日だろうと関係なく毎朝同じもの(チーズトーストときなこヨーグルトとコーヒー)を食べる人なので、コーヒーだけで済ませるというのは革命的なこと(言わせてやってください)。
ほんとはカフェインもやめたほうがいいのかもしれないけど、そこまで断ったら生活が荒野のようになってしまう。マジで。ということでコーヒーは我慢しない作戦。

結論から言うと全然大丈夫でした。
空腹感でしんどくなっても家だから耐えられるだろうぐらいに考えていたんですが、確かにおなかが鳴りはしたけど空腹を感じることは無くて、それがなんだか不思議だと思ったりもして。
以前読んだ何かの本で、おなかが鳴るのは胃がお掃除モードになっている証だと読んだのです。だからおなかが鳴ったらすぐ食べるというのはせっかくのお掃除モードを邪魔する事になってしまうから良くないと。
そんな感じで、我慢の自覚も特に無く過ごせたのは良かったです。

時間を置いて12時過ぎ頃、この日初の食事をしました。
チーズトーストとコーヒーと、あと以前買って置いておいたプロテイン飲料(たんぱく質15グラム)。
食べる回数を減らすのなら、食べるタイミングで出来る限り栄養を摂る事を心がけた方がいいよなと思って飲んでみました。以前ミニマリストの方の本を読んだ時にも、アボカドとか単体で栄養価の高いものを選んで食べる事を心がけていると書いてあったよな~~と思い出したりして。

お昼ごはんを食べ終わった後、残りのコーヒーを飲みながらアーモンドチョコをおやつがてら食べたんですが。
いつもならひと箱分を余裕で完食できるのに、この日は何故か全然美味しいと思えず。首を傾げつつ数粒食べて止めました。
良い意味での味覚の変化ならありがたいのですが。

その後ごろごろしつつ『闇の脳科学』を読み進めていたら、終盤に近付いたあたりで強烈な眠気に襲われたのでしばし本気のお昼寝。
寝る前にも起きた後にも時計を見ていないので、どれぐらい眠ったかは定かではないものの、目が覚めた後は本当に気分がスッキリしていました。
自分で言うのもあれですが、朝と昼にコーヒーを飲んだにもかかわらず、ちゃんとお昼寝が出来るというのはわたしにとっては本当に革命的なこと(二回目)。空腹が満たされた事で眠気に襲われたのか、それともスマホの画面を眺めない時間を長く持った事が良いほうに作用したのかは謎ですが、いつ以来だか思い出せないぐらいの本気のお昼寝、ずいぶん嬉しかったです。

そんな感じで『闇の脳科学』を読み終わり、この日は一日中スマホを起動させないつもりでいたので感想のようなメモを手持ちのノートに書き綴って、気分転換にとシャワーを浴びてから部屋に戻ってきて、時刻を確認すれば15時半。
まだこんな時間なの!?と軽く衝撃を受けました。
体感としては16時半過ぎの気分だったんですが、これ多分普段合間合間にスマホを触る事を5分や10分行っていたら、一回一回は短時間でも積もりに積もって1時間ぐらいを無意識のうちに消費してしまっている証左なんだろうなと思った次第。
多分スマホを触っていない分がまるまる浮いてる。

体調も良く気分も健やかな状態でiPhoneの電源を入れ、軽くツイッターのタイムラインを眺めてから読書メーターに『闇の脳科学』の感想を書き、また電源を落としてバッグの奥深くにしまい込みました。

その後17時過ぎぐらいに晩ごはん(キムチ鍋のようなもの)を作って、SNSをいっさい見られないiPadで高橋ヒロム選手のYouTubeを観ながら食べ、ついでに新日本プロレスワールド(動画配信サイト)でヒロム選手の過去の試合をひとつ観てから食器を洗って、ひと段落ついた段階で18時半ぐらい。
観た試合の事でどうしてもツイートをしたかったので、再度iPhoneの電源を入れてツイートしてから電源を切って、その後は連休3日目に読もうと思っていたケイト・アトキンソンの小説『世界が終わるわけではなく』を積読本の中から手に取って読み始めました。
(決めた通りに過ごすのが好きだけど、決めた事にこだわらずに予定変更するのも好きです。ひとりだから出来る事ではあるが)
12話収録の短編集。再読なんですがやっぱり面白くて、読み耽っている間にいつの間にやら寝落ち。


2日目(2021/1/10 日曜日)

何も食べず身支度だけして、8時過ぎに外出。
iPhoneの電源は入れてはあるものの、バッグの奥深くの取り出しにくいところにしまい込んで使わないようにしておきました。

池袋駅の東口側にはスタバがいくつかあるので気分で使い分けてるんですが、この日行った店舗はお客さんがわたし入れて3人でした。みんな一人客で広い店内に距離を取って座って、黙々と自分の作業に専念している感じ。
おかげで静かだから読書が捗ったけど、お店の方はこんな感じで大丈夫なんだろうかと気になったよ正直。
そしてこの日は出先だからノーカウント扱いで朝ごはんを食べました。なんかローストビーフのサンドイッチみたいなやつ。美味しかった。食べる間隔を空けることも体調に影響してそう。

10時になったところでジュンク堂書店へ。
自宅の最寄り駅だと週刊プロレスが買えないので、お休みだけど池袋まで出てきた次第。サッと買ってサッと帰宅。
途中でローソンに寄って新日本プロレスおみくじのロスインゴベルナブレスデハポン(ヒロム選手も所属する推しユニット)を購入したら、ずっと欲しかったSANADA選手を引き当ててたいへんうれしかった。手書きコメントに顔の緩みが自重できずマスクつけててよかったね状態。
という事をツイートしようか迷ったけど、まあいいやと思って心にとどめました。ここに書いたから形になったものの、どこにも記録されなかった感情というのはどこに行くんだろうね。

食器洗い用のスポンジが無かった事を思い出して、無印良品に寄ってサッと買って、その流れで最寄りのスーパーにもサッと寄ってサッと買って帰宅。
相変わらず時計を見ていないので時刻が分からないけれど、帰宅してシャワーを浴びた後も空腹感が全然なかったので鉄分のむヨーグルトを飲んで、無印良品で買った紅茶のケーキを食べつつコーヒーを飲んでお昼ごはんとしました。ケーキという名前だけど手のひらサイズのクッキーみたいな食べ物で、すごく食べにくかったけどすごく美味しかった、とツイートしようかまたも迷って結局やめました。今度は違う種類のものも買ってみようと思います。

帰宅してからは昨日と同じようにiPhoneの電源を切って、バッグの奥深くにしまい込んでからはひたすら本の続きを読みました。
昨日読み始めたケイト・アトキンソンと、本棚から引っ張り出した最果タヒ『きみの言い訳は最高の芸術』、ジュンク堂で買った週刊プロレスの最新号と増刊号、あと読友さんの影響で再読したくなったジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』を。
ケイト・アトキンソンの本と最果タヒの本の感想を書く際にiPhoneの電源を入れてメモアプリをひらいて感想を打ったものの、これまでに比べるとツイッターやインスタグラムを開く頻度は減ったと思います。以前だったら感想を入力している途中でもツイッター開いたりしてたし。
あとインスタグラムをひらいてフォローするアカウントを厳選しました。見逃したくないと思うからしんどいのだし、多ければ多いほどこまめなチェックが必要にもなるし。おかげでインスタを開いた時の最初の画面がとてもスッキリ。


3日目(2021/1/11 月曜日)

おお、一並びだ。成人の日ですね。
今日もおうち大好き人間の休日です。起きて洗濯をしてスクワットをしてコーヒー飲んで、iPhoneの電源を切ってバッグの奥深くにしまってからアントワーヌ・ローラン『赤いモレスキンの女』を読みました。
非難されないようにフォローしてる感じがする、、、なんて思う夢の無い奴でごめんな。選べなかった選択とか、起こり得たかもしれない出来事とかを物語に昇華させられるのが小説家という事なのかな。とりあえず途中の印象とは裏腹に清々しい作品でした。

iPhoneの電源を入れて感想を読書メーターにアップして、再度電源を切ってバッグの奥深くにしまい込んでからお昼ごはん。チーズトーストときなこヨーグルトとコーヒー。完全に朝ごはんをお昼にスライドさせてる感じ。
食べ終わってひといきついたところで、ひたすら読む事ばかりを続けていたせいなのかいいかげん頭の中が騒がしくなっていたので、パソコンをつけてnoteをひらいてこれを書き始めて今に至っています。だいぶ落ち着いたよ。


まとめ

・食べず
実際に試してみた事で、一般的な意見をただただ鵜吞みにするんじゃなくて自分の身体の声をしっかり聞きなさいよという事をひしひしと実感出来ました。
わたしの場合は仕事に行く日は起床時間も違うからこれまで通りにするとしても、おうち大好き人間の休日だと朝ごはんは無理に食べる必要は無さそうです。朝はコーヒー、11時~12時に昼食、17時半頃に夕食という間隔がいちばん身体にしっくりくるみたい。
実際この3日間で下腹の張りがなくなっておなか引っ込んだからね…。冗談抜きで。体重計持ってないんですけど買ってみようかな。
ただこうやって食べる回数を減らすのは単純に栄養摂取の機会が減るという事でもあるから、何を食べるかという事も意識した方がいいですよね。おやつを食べる事も好きなので、我慢ではなく自然なかたちで出来るように考えてみるよ。



・眺めず
iPadとパソコンではSNSを見られないようにしてあるので(noteはSNSなんだろうか?)デジタルデトックスというよりは本当に最初に書いた通りSNS断ちに挑んだ休日になりました。
今までだったらnoteを書いている時にも、キリが良い時やふと手が止まった時にスマホを手に取ってそのままツイッターをだらだら見てしまったり、、、という事が実際に何度もあったので、電源切って視界の外に置くという物理的な方法がいちばん効果的みたいです。
そしてそれを自分の意志の弱さだと思っていた事を『スマホ脳』で見直せたのも良かった。新年早々いい本を読めたと思います。

スマホを使わない事の個人的なマイナス面は、140字小説が書けない事です。ツイッターの投稿画面を使って字数を数えて書いていた事や、パソコンでSNSを使わないと決めている以上はどうしてもスマホを使わざるを得ない事、そして何の言葉から140字へと広げていくかをスマホの辞書機能を使って考えていた事などもあって、スマホ以外の方法で書くのは完全に新しい方法を構築しないと厳しそう。そこも過渡期ならではというやつでしょうか。

ツイッターでしか繋がってない人との交流もしたいので、完全に断ち切る事は考えてないんですけど。のめり込ませるための仕組みを持っているものだという認識は大事だ。ほんとに。
とにかく今回試したおかげで時間に余裕が出来て、読みたい本をたくさん読めた連休にもなりました。読むだけでなく書く事も含めて続けてゆきたい。

ヘッダにしている『デジタル・ミニマリスト』は、ジュンク堂で週刊プロレスと一緒に買った本です。明日から読もうと思うよ。