2021年3月の140字小説 6 黒井 2021年4月12日 19:18 3.3「死んだら灰は空に撒いて欲しい」それが唯一の遺言だったから叶えてあげたら骨だけが残った。完全に実行するなら粉にして撒くべきか。でも灰って言ってたから骨は例外かもしれない。手放したくない。ねえまだずっと先の事になるかもしれないけど、私がそっちに行ったらどうして欲しかったか教えてね。— 黒井 (@b_cr_w) March 3, 2021 3.4白っぽい青のランドセルが気になって声をかけた。「水色なんだね」「違うよ、これは空色」「空色?」その青は僕には水色に見えたけど、使う本人が空色と言うならそうなんだろう。「でも空は曇りだと白だし夜は真っ黒にもなる」そう返すと僕のランドセルを指して「そっちも空色だね」と笑顔で言われた。— 黒井 (@b_cr_w) March 4, 2021 3.5地元の空港が好きだった。旅における始まりの高揚と終わりの安堵、その両方がある場所だった。でも実家を出て恋をして新しい土地に家を持って、旅立ちやがて戻る場所だったそこは訪れた後に旅立つ場所へと変わった。今では高揚も安堵も、新しく最寄りになった巨大な空港が担っている。変化は不可逆だ。— 黒井 (@b_cr_w) March 4, 2021 3.15空の果てに待つ光景が見たくて歩き始めた。昼と夜が何度となく入れ替わってもなお歩き続けるうちに一羽の鳩に出会った。「面白そうだね。僕が先に見てくるよ。戻ってきて教えてあげる」言うが早いか勢いよく飛び去り小さくなって見えなくなった。そのうち後ろから呼ぶ声がして振り向けば先ほどの鳩が。— 黒井 (@b_cr_w) March 15, 2021 ※こちらの企画に参加しました。遅くなってしまいましたが、3月の星々の告知をさせていただきます!こちらは昨日ご連絡した通りですが、【3月の星々】のテーマ(文字)は「空」 です。【月々の星々とは】 月ごとに定められた文字を使った140字小説コンテストです。— hoshiboshi (@hoshiboshi2020) March 1, 2021 いずれも本文内に「空」の文字を使用しています。 ダウンロード copy #小説 #ショートショート #掌編小説 #超短編小説 #オリジナル小説 #140字小説 #掌編 #140文字 #140字SS 6