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竜泉寺成田
2020年9月23日 23:43
(1)はこちら前の話はこちらその瞬間、彼の頭に恐ろしい妄想が浮かんだ。もしかしすると、もう全員集まってグラウンドに行っているのかもしれない。そうなれば、遅刻した僕は......もう終わりだ。全身から血の気が引いていく。急いでグラウンドに行こうと思っても、足が動かない。遅れて着いた時のヤツらの冷ややかな顔を想像すると、いっそ窓から飛び降りてしまいたいくらいだった。彼はなんとか教室に入
2020年9月16日 23:57
(1)はこちら前の話はこちら「ハァ......ハァ......」ようやく修行場の前に着いた彼は、膝に手を置いて休んでいた。少し走っただけなのに、息が上がってしまう。こんなに体力がなかっただろうか。確かに、最近運動不足だったかもしれない。思えば、ベルトの上に乗る下腹が学生の頃より多い気がする。「運動......しないとな......」乱れた息を整え、彼は扉を開いた。修行場の奥
2020年9月9日 23:49
(1)はこちら前の話はこちら少年はしばらく口をあんぐりと開けたまま放心していたが、急に我に返ったようにかぶりを振って、勢いよくカーテンを閉めようとした。「ちょ、ちょっと待ってくれないか」思わず彼は声をかけた。そのあまりの怯えぶりに、何だか少し傷ついた気がしたのである。自分はそんなにも怖いだろうか。少年はカーテンを引く手を途中で止めて、カーテンの端から恐る恐る顔を覗かせている。そ
2020年9月2日 23:39
(1)はこちら前の話はこちら目が覚めたのは、医務室だった。白い天井、白いカーテンに、白い掛け布団。白いシーツに、白い枕、そして、白い床。何もかもが不気味なくらいに色がないこの空間は、一瞬彼岸かと錯覚するほどだった。身体を起こすと、まだ少しめまいが残っている。彼は目を瞑って頭を休ませようとしたが、意識を失った原因を思い出し、寸前でとどまった。「慣れないものだ。暗闇が恋しいな。」自