りょうそうしせい

統計、経済学、投資に関する記事を書いています。私も統計、経済学そして投資を学びながら、…

りょうそうしせい

統計、経済学、投資に関する記事を書いています。私も統計、経済学そして投資を学びながら、その理解を深めていく過程をみなさんと共有したいと思っています。専門用語が多く、どこから手をつければよいかわからないとお悩みの方々に、少しでも役立つ情報を提供できたらと願っています。

最近の記事

ポートフォリオの収益率

こんにちは。今回はポートフォリオの収益率についてお話します。ファンドが1つだけの場合、収益率はファンドのWebサイトを見ればすぐにわかりますよね。しかし、複数のファンドを組み合わせたポートフォリオの場合、収益率というのはどうやって考えればよいのでしょうか。 ポートフォリオの収益率は次のように計算します。 $${r_p=W_A・r_A+W_B・r_B}$$ ここで $${r_p: ポートフォリオの収益率}$$ $${r_A: ファンドAの収益率}$$ $${r_

    • 行動経済学について

      経済学にもさまざまな分野がありますが、最近特に興味を引いているのが行動経済学です。リチャード・セイラー教授がこの分野で受賞していることが広く知られています。 リチャード・セイラー教授とキャス・サンスティーン氏の共著『Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness(邦題:実践 行動経済学)』では、経済的なインセンティブや罰則を用いるのではなく、望ましい行動を催すナッジについて述べてられています。ナッ

      • ファンドの良さを測る基準:シャープレシオの活用

        ファンドを評価するとき、客観的な基準が必要です。この記事では、特にて重要な評価基準である「シャープレシオ」について解説します。 リターン:これは投資した金額がどれだけ増えるかを示します。リターンが高ければ高いほど、そのファンドは魅力的と言えます。 リスク:これは投資の安全性を示します。リスクが低ければ低いほど、投資は安全とされ、投資家にとって安心できる選択肢となります。 投資は本質的に、リスクを負うことでリターンを得る活動です。リスクとリターンの比率、すなわち「リスクリ

        • ポートフォリオの10年後の期待値とリスクについて考えてみましょう

          個人投資家にとって、最大の武器は「時間」ですが、その理由について考えたことはありますか?機関投資家は短期的な成果が求められますが、個人投資家にはそのような時間による制約がありません。この無制限に時間が使えることがどれほど強力か、一緒に探ってみましょう。 短期的な市場の動き、例えば明日や来年のファンド価格の変動に気を取られがちですが、長期投資では短期的な焦点から離れ、時間を味方につけることに着目します。長期にわたることで、リスクを低減させる効果があります。 これまでの記事で

        ポートフォリオの収益率

          新NISAのスタートと私がnoteで記事を書く理由

          新NISAの導入により、これまで投資経験のない多くの人々が投資を始める機会を得ました。国によるこの制度の後押しは、多くの人々に投資をやってみたいと思わせる動機となっています。 投資を始めようと考えたとき、ほとんどの人はまずインターネットで情報を検索します。銀行のホームページなどから基本情報は得られますが、具体的に何をすればよいかまでは提供されません。特に新NISAを効果的に活用するためには、ポートフォリオの作り方や投資のバランスの取り方を理解する必要がありますが、これが初心

          新NISAのスタートと私がnoteで記事を書く理由

          危険回避者と投資リターンの効用

          投資を決める際、私たちは予想されるリターンとそれに伴うリスクを考慮します。多くの人は、同じリターンを得るならリスクを最小限に抑えたいと望みます。一方で、ギャンブルが好きな人は、高リスク高リターンの投資を選ぶことがあります。しかし、日々の生活に影響する資金を運用する際には、大損をするリスクを避けたいです。経済学では、このようなリスクを避ける傾向のある人を「危険回避者」と呼びます。逆に、リスクを好む人を「危険愛好者」と呼びます。今回は危険回避者の投資戦略にスポットを当てて考えてい

          危険回避者と投資リターンの効用

          統計学の基本:標準偏差

          前回は、分散を使ってデータのばらつきを表す方法を学びました。分散はデータの差異を2乗して計算するため、時に実際の感覚よりもばらつきが大きく見えることがあります。これにより、実際のデータの感覚との乖離が生じることがあります。 では、どうすればデータを扱いやすくできるでしょうか?答えは平方根を使うことです。分散の値を2乗から戻すために平方根をとります。こうすることでデータのスケール感が元に戻ります。具体的には、分散の平方根のうち正の値の方を使用します。分散は常に非負であるため、

          統計学の基本:標準偏差

          統計学の基本:分散の理解その2

          前回は偏差について学びましたね。偏差とは、データが平均値からどれだけ離れているかを示す値です。偏差が大きいほど、データは平均値から離れており、ばらつきが大きいと言えます。これは、投資でいえばリスクが高いことを意味します。しかし、偏差だけでは全体のデータがどの程度ばらついいているかをつかむことができません。そこで、全体としてのデータのばらつきを示す方法を考えてみましょう。 分散の考え方 もし単純に偏差の平均をとればどうでしょうか。先ほどのファンドAの例を見てみましょう。

          統計学の基本:分散の理解その2

          統計学の基本:分散の理解その1

          統計学では「分散」が平均とセットでよく使われます。今回は分散を学ぶ前に、偏差について学びましょう。例えば、同年代の人たちの年収、クラスのテストの点数、ある株価の1年後の金額など、これまでの結果の平均値から予測を立てることができますが、実際には状況やタイミングによってばらつきがあります。これらの予測値からどれくらいずれる可能性があるかを知ることができれば、より計画が立てやすくなります。そこでばらつきを数値化することがよい方法です。 例として、あるファンドAの年ごとの価格を見て

          統計学の基本:分散の理解その1

          統計学の基本:平均の理解

          前回は標準偏差の話をしましたが、それを理解するために、今回は平均についてお話をしようと思います。これは投資にとって重要な統計学の用語です。統計学の基礎を学ぶことで、投資の理論がより理解しやすくなります。今回は、統計学のもっとも基本的な概念である平均について学びましょう。 平均とは、複数の数の合計をその数を個数で割った値です。 例を見てみましょう。ここに5つの数があります。 ・第1の数: 7 ・第2の数: 9 ・第3の数:-3 ・第4の数: 0 ・第5の数: 2 これら

          統計学の基本:平均の理解

          リスク

          リスクについて一緒に考えてみましょう。投資には利益を得るチャンスがありますが、それだけではなく損失を出してしまうリスクも伴います。これから投資を始めようという方にとって、損失の可能性は怖いと感じるかもしれません。だからこそ、リスクを理解して、上手に扱うことが大事です。 一般的にリスクとは、何か悪いことが起こる可能性のことを指します。投資でも株価が急落して大きな損失を被ってしまうことがその一例です。しかし、金融の世界ではリスクは単に悪い影響をさすだけでなく、もう少し広がりを持

          リターン

          リターンについて一緒に考えてみましょう みなさんは、持っているお金や資産をうまく使ってさらにお金を増やしたいと思ったことはありますか?そんなときに役に立つのが投資です。投資をすると、時には利益をえることができます。その投資から得られる収益を「リターン」と呼びます。たとえば、1000円をあるファンドに投資して、1年後に1050円になったとしましょう。この場合、50円増えているので、この50円がリターンです。 収益率 増えた金額だけを見ても比較が難しいことがあります。そこで、

          リスクとリターンの基本

          投資によってお金がどれだけ増えるかは、誰もが気になる点です。しかし、投資した株やファンドが大暴落するリスクも伴い、これには恐怖を感じることもあるでしょう。 多くの人は株価が上昇している間に、投資したお金が増えていると感じ、値上がりしている株を買いたくなります。一方で、株価が下落し始めると、急にリスクが気になり、下落したタイミングで株を手放すことも珍しくありません。私たちは感情の影響を受けやすく、直感に基づく行動に流されがちです。この傾向を克服することは、投資において非常に重

          リスクとリターンの基本