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危険回避者と投資リターンの効用

投資を決める際、私たちは予想されるリターンとそれに伴うリスクを考慮します。多くの人は、同じリターンを得るならリスクを最小限に抑えたいと望みます。一方で、ギャンブルが好きな人は、高リスク高リターンの投資を選ぶことがあります。しかし、日々の生活に影響する資金を運用する際には、大損をするリスクを避けたいです。経済学では、このようなリスクを避ける傾向のある人を「危険回避者」と呼びます。逆に、リスクを好む人を「危険愛好者」と呼びます。今回は危険回避者の投資戦略にスポットを当てて考えていきます。

リターンの価値をもう少し詳しく見てみましょう。たとえば10万円リターンが投資から得られたとします。元々10万円を持っている人がさらに10万円を得る場合と、元々1億円を持っている人が同じ10万円を得る場合では、その価値は大きく異なります。お金が増えるにつれて、一定額の収入から得られる満足度は低下します。下記のグラフでは、1000万円の利益と2000万円の利益を比較していますが、2000万円を得たときの満足度は1000万円を得たときの満足度の2倍にはならず、満足度がそれほど高くないことが示されています。


危険回避者の効用関数

この考え方は、効用関数として数学的に表現されます。効用関数は、リターンが増えるにつれてその価値が減少することを示します。無理リターンを増やそうとするのはリスクを高めるため、必ずしも望ましいとは言えません。このため、インデックスファンドのように、比較的リスクが低く安定したリターンを提供する投資手段が合理的です。危険回避者にとっては、無理に高いリターンを追求するよりも、目標リターンと許容するリスクをもとにしたバランスの取れたポートフォリオを構築することが望ましい投資戦略といえます。投資の意思決定には、単にリターンを増やすだけではなく、効用という観点も重要です。