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「コードブルー」 救命措置で恐怖の心肺蘇生体験!

 皆さんは、「一次救命措置」に関わったことはあるでしょうか?

 今回は私の実体験である「一次(二次?)救命措置」の恐怖体験について、お伝えできればと思います。

 ただ、この記事を読むことで「一次救命措置」が必要な時に行動を回避する要因とならないことを願っています。

 むしろ、読んで頂いて「一次救命措置」に関わることがあった際に、あーあんな記事があったから、このポイントを押さえて実践しよう、という風に受け止めて頂けたらと思います。

 また、一次救命措置を改めて学ぶきっかけとして頂けたら幸いです。
 ※一次救命措置に必要な応急救護の講座は最寄りの消防署などで実施しています。

救命措置とは

【一次救命措置】
 「心肺停止または呼吸停止に対する、専門的な器具や薬品などを使う必要がない心肺蘇生」
 ↑自動車学校などで習うものです。

【二次救命措置】
 「病院等の医療機関において医師や救命救急士が行う高度な心肺蘇生」と定義されています。

単科の精神科病院

 当時の私は、単科の精神科病院(以下、精神科)で勤務していました。単科と言うのは精神科のみの診療を標榜していている医療機関をいいます。
 ↑簡単な内科の薬などは院内で処方していました

 そのため、内科や外科などの専門医や高度な医療機器はありません。
 ↑専門医の資格を持っていた先生もいたかもしれません

 入院していて受傷や身体合併症を発症し、手術や高度な治療が必要な場合は総合病院等へ転院の調整をします。

 自分たちは精神科が専門なので他科の治療が必要な場合は、
「お願いしまーす。」
 という感じです。

 しかし、これは、悪いことではありませんし、それぞれの専門性に特化するのは、むしろ良いことだと思います。

 どうして、こんな話しをしているかというと、精神科で行う救命措置は果たして「一次救命措置」なのか「二次救命措置」なのかという部分が「もやもやー」っと今でもしているからです。

 私が精神科で働いていた時に担当していた病棟は「身体合併症病棟」「男子急性期病棟」「療養病棟」の3病棟で計180名前後の患者さんの心理・生活支援も業務の一つでした。

 今回はそのなかの一つの「療養病棟」であった「救命措置」での出来事です。

コードブルー

 病院では院内でトラブルがあると「コードブルー」と言って隠語を使った緊急放送で職員の集合をかけます。

 今回の出来事は、私が担当していた療養病床で起きたコードブルーがその始まりでした。

 療養病床で長期入院をしている患者さんのなかには、娯楽が少ないこともあり、食事やおやつを楽しみにしていて、食事を掻き込んでしまう方もいます。

 嚥下機能が低下していなければ大きな問題にはならないんですが、高齢になったり、薬物療法の影響で嚥下機能が低下していたりすると、誤嚥を起こしてしまう場合があります。

 凄い量の掻き込みをする方もいるので、誤嚥から喉に食事が詰まってしまって窒息してしまうのです。

 当然、そうならないように要注意の患者さんはしっかりと見守ったり、別に分けて食事をとって貰うんですが、注意していても稀に事故が起きてしまいます。

 窒息を放置してしまえば当然、窒息死へと至ってしまうので、多人数で窒息の処置にあたるために「コードブルー」が発せられます。

 医療にせよ、トラブルにせよ、先ず人手を集めるのが「第一の選択」になります。そうすることで、問題の解決確率を高める状況を作っていました。

事故の発生

 あれは、入職後まだ間もなく、夕日が射す時間帯でしたので17時過ぎ頃だったでしょうか。

 私の人生初の「コードブルー」が掛けられます。
 (外来では経験済みでした)

 当然、私は召集の掛かった「療養病棟」に向かいます。
 もう、本当にテレビみたいに皆、走っていきます。

 病棟に向かうと「食堂で誤嚥があった」と詰所の看護助手さんに聞き食堂に向かいます。
 ↑「コードブルー」と言っても通常業務があるので、全員が行くわけではありません。

 病棟に入ると、かなりの早歩きで食堂に向かいます。
 ↑他の患者さんがいる所は極力、かなりの早歩きで向かいます。

 そこに、広がっていた光景は…

 食堂に横たわった患者さん、
 「気管挿管」している先生、
 「胸骨圧迫」をしている准看護師さん、
 そして、それらを取り巻く看護師さんや看護助手さん。

 私は、その光景に向かって近づいていきました。

 その時、胸骨圧迫をしていた准看護師さんに
 「代わって!」
 と言われました。
 ↑「胸骨圧迫」は大変疲れるので、2分前後で交代して実施します。

 えっ…

 えっ…

 えっ、えええええ…

 やったことありませんが....

 しかし、そんなことは言ってられません。必死に授業や自動車学校の教習所で学んだことを思い出しながら、准看護師さんと交代して胸骨圧迫を行うと…

 初めて胸骨圧迫法をする人間でもわかる程、胸骨が折れているのです。しかも、かなり粉砕している状態で、そのことが頭から離れません。

 その時の衝撃が強すぎて、その後の記憶はちょっと曖昧ですが、先生が死亡確認をして私は家族に連絡をして状況をつたえました。

 これが、その時におきた事故の概要です。そのことを院内の誰かに伝えたんですが「精神科の患者さんは薬で骨が脆くなっているからねー」と言われました。

 そうなんですけど、そうなんですけど、今でも「もやもや」が残っています。

救命措置の大切さ

 この事故の後、私は「救命措置」の大切さを感じ、一時期「救命措置」を重点的に学びました。そのおかげで、その後数十回あった「救命措置」の際も慌てずに効果的に対処できたと思います。

 前の何かの記事に「死に魅入られるように」という表現をしたのも、精神科で稼働してから「救命措置」の場面や、ご遺体と向き合うことが多かったのが理由の一つです。

 私の場合は仕事だけでなく通勤中、事故に遭遇し「救命措置」をした経験もあります。

 「救命措置」ってとても大切なんですが、とても怖いものでもあります。
 理由は簡単です「胸骨圧迫」の経験者が圧倒的に少ないからです。
 ↑当然、救命救急のプロや経験豊富な医師、看護師さんは違います

 「胸骨圧迫」をする場所、場所や強さによっては胸骨骨折となってしまいます。そして、それらが臓器に損傷を与えれば、当然、生命に影響を与えてしまいます。

 しかし、心肺停止後の「救命措置」は5分以内での処置がその生死を大きくわけますので、「一次救命措置」の際に生じた悪意のない受傷は「刑事及び民事上で責任を問われる」ことはありません。

 「一次救命措置」のやることは限られています。

 呼吸の確認を行い、呼吸が認められない場合から開始します。

0.胸骨圧迫を開始する
1.助けを呼ぶ→人手を増やす
2.救急車を手配する、AEDを探す
3.AEDを取り付ける
(ペースメーカーが付いてないか貴金属を身に付けてないかなどを確認して、身に付けていた場合は取り外す)
4.AEDのスイッチを入れる(その後AEDの指示に従う)

 と言うのがシンプルな「一次救命措置」の仕方です。

 「胸骨圧迫」を0としたのは可能な限り継続して行うと言う意味です。

 昔は胸骨圧迫30回、人工呼吸2回と言うのが主流でしたが、たゆまない胸骨圧迫が重要と言う観点と、人工呼吸でリスクと考えられる感染症の問題もあり、現在は省略しても良いことになっています。

 あとは「二次救命措置」に命を繋いでいくことになります。

「もやもや」の原因

 そして、ここからが、ずっと腑に落ちていない「もやもや」している点です。

 あの時の出来事は「一次救命措置」だったのだろうか?「二次救命措置」だったのだろうか?

 仮に「二次救命措置」だったとしたら(一次救命措置であったとしても)、胸骨圧迫法での骨折状況は医療従事者の処置として医療過誤(適切な処置ではないとして)にあたらないか?

 なんだか、いまも「もやもや」ってしてます。

 でも、胸骨圧迫法って本当に経験が必要なことだなと思いますし、緊急時は100%の能力が出せないことが多いので仕方ないことなのかもしれませんが....。

 皆さんが「一次救命措置」が必要な場面に遭遇した場合は、迷わずに「救命措置」を行って下さい。悪意がなければ「刑事及び民事上で責任を問われる」ことは絶対にありません。

 一秒でも早い「一次救命措置」が大切な命を救うことに繋がります。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
 このコラムは私の個人的な知見に基づくものです。他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様の療育に役立てて頂けたらと思います。

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